この記事の目次
データサイエンティストとは?
データサイエンティストとはビッグデータを分析、解析して有益な発見を行う仕事です。
「データサイエンス」とは、ビッグデータを分析して予測をおこなったり、有益な発見をすることを意味します。
つまりデータサイエンティストは、統計学や数学、機械学習などを利用してデータを分析することで、さまざまなビジネス課題に答えを出すプロフェッショナルであると言えます。
この記事では、データサイエンティストに必要なスキルを紹介していきます。
データサイエンティストの主な仕事内容7選
大きく分けて7つのデータサイエンティストの仕事内容を紹介します。
勿論、企業によって仕事の流れは異なるため、専門的に取り組む作業の内容は違うかもしれませんが、これから紹介する以下の7つの業務はどれもビッグデータを解析するうえで重要な仕事ばかりです。
データサイエンティストになった場合はどのような仕事をするのか、実際にこれから紹介する業務に携わる自分をイメージして読み進めてみましょう。
1:データ収集と整理を行う
データサイエンティストの仕事内容の一つは、必要なデータを収集し、整理をすることです。
データサイエンティストは、企業のビジネス上の課題を解決するために必要な情報を、ビッグデータの中から探し出さなければなりません。
そのときに扱うデータは、業務システムに記録されているものやSNSから収集するものなど、出どころや形式は様々です。そのため、これらのデータはただ集めるだけでなく、分析しやすいように整理する必要があります。
2:データ分析を行う
収集して整理したデータは、分析手法に沿ってデータ分析をおこないます。
データ分析はビジネス上の課題解決につながるような情報を取り出すことを目的としており、統計的に有意なデータ項目を探すために、様々なツールが利用されます。
その中には専門的なソフトウェアや解析に特化したRやPythonなどのプログラミング言語も含まれており、データサイエンティストはこれらの分析ツールに精通する必要があります。
3:意味のある情報を見つけ出す
データ分析の主な目的は、意味のある情報を見つけ出すことです。
データ分析の対象となるビッグデータは常に更新されていくため、データ量が増えるに従って、重要な情報が埋もれてしまう傾向があります。
そのため、企業のビジネス上の課題解決にはどのような情報が必要なのかを踏まえ、重要な情報の指標(KPI)を設定したり、常に分析したデータを見える化したりしておくなどの工夫が求められます。
4:問題定義を行う
データ分析によって見いだされた情報は、企業の抱えるビジネス上の課題を解決するための問題定義に利用されます。
企業の所有する顧客情報などのビッグデータは、企業の過去の活動を評価する指標を含んでいます。これらを解析、整理することで、企業の解決すべき課題を見出すことが可能です。
そのため、データサイエンティストはビッグデータの解析から得られた情報をもとに、企業の課題を見出す力が求められます。
5:課題解決を行う
データサイエンティストはデータ分析の結果から課題を見出すと共に、その解決までを担います。
課題解決のためには、企業のマネジメントを担当する人物や、実際に現場で働く人達と共同で動く必要があり、専門的な知識を持たない人にも分かりやすく情報を伝える技術が求められます。
また、課題解決をおこなう際には、再びビッグデータの分析から得られた知見を活用することもあるため、適宜必要な情報を整理しておくことも必要です。
6:レポートを共有する
データ分析によって得られた結果をレポートで共有することも、データサイエンティストの主な仕事の一つです。
分析結果をグラフや図表を用いて可視化し、経営者や各事業担当者に説明することで、企業全体で分析結果を共有することが出来ます。
これにより、各事業においても課題の発見や解決の施策をたてることが出来るため、データサイエンティストには適切でわかりやすく情報を共有することが求められます。
7:データの下処理を行う
データサイエンティストの仕事には、データを分析するだけでなく、その下処理をすることも含まれています。
ビッグデータには複数の系統の情報が含まれているため、そこから有意な情報を取り出すためには適宜処理が必要です。
あらかじめ重要な情報の種類を定めておき、それらに該当する情報をビッグデータから取り出して、さらに不要なデータを取り除きます。これにより、スムーズにデータ分析をおこなうことが出来ます。
データサイエンティストに必要なスキル18選
データサイエンティストに必要なスキルをご紹介します。
データサイエンティストの仕事はさまざまなデータを収集し、分析を行って結果を出すことです。そんなデータサイエンティストになるには、どのようなスキルが必要なのでしょうか。
ここではデータサイエンティストに必要なスキルをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。データサイエンティストを目指している方は、自分にはどのスキルがあって、何が不足しているのかをしっかりと把握しましょう。
1:プログラミングスキル
データサイエンティストにはPythoやRなどのプログラミングのスキルが必要です。
データ分析を行う場合、統計ツールを利用することもありますが、機械学習や統計分析が可能なプログラム言語を利用してデータサイエンティストがコーディングを行うこともあります。
特に機械学習や統計処理ができるPythonや、統計解析に最適なRに関するスキル、さらにSQLを使ってデータを抽出するスキルが必要になります。
2:機械学習の知識
データサイエンティストには機械学習の知識やスキルが必要です。
データサイエンティストはデータ分析を行う場合、手法として機械学習やデータマイニングなどを用いることも多いです。
膨大な量のビッグデータに対して人が自ら作業を行うのは難しいため、機械学習を利用することになります。統計的なモデルによって、データがどのような分布になっているのかを可視化します。
3:システム開発のスキル
データサイエンティストにはシステム開発のスキルが必要です。
データ分析を行う際にはさまざまなツールを利用することになりますが、既存のツールでは分析できないケースもあります。そういった場合にはデータサイエンティストがどのようなシステムが必要になるのか検討し、開発する必要があります。
そのため、システム開発ができるだけの広範囲のプログラミングスキルが必要です。
4:データベースの知識
データサイエンティストにはデータベースの知識やスキルが必要です。
データ分析で利用するデータはデータベースに格納されています。そのため、データサイエンティストはデータベースから必要なデータを抽出するスキルが必須となります。
また、SQLでデータ取得ができるだけでなく、頻繁に条件指定されるカラムにはインデックスを作成しておくなど、データベースに関するさまざまな知識が必要になります。
5:データ処理の知識
データサイエンティストにはデータ処理の知識やスキルが必要です。
データ分析を行うための分析基盤やコンピューターで情報を処理するための環境構築も、データサイエンティストの仕事になることもあります。
データ処理では、データを抽出してコンピューターが処理できる形式にし、データウェアハウスにひとまとめにしておく必要があります。これらの処理を「ETL」と呼びます。
6:クラウドの知識
データサイエンティストにはクラウドの知識やスキルが必要です。
データ分析で必要な機械学習は、通常のコンピューターでは負荷が高いため分散処理を行うのが一般的です。よって、データサイエンティストは分散処理を行うためにクラウドの知識を身に付けると良いでしょう。
昨今はさまざまなクラウドサービスが登場し、データ分析をしやすい環境が整備されてきています。
7:データクレンジングのスキル
データサイエンティストにはデータクレンジングのスキルが必要です。
データ分析を行う場合、いきなり分析に入れるわけではありません。データサイエンティストは集めたデータから不適切な情報や不要なデータなどを取り除くデータクレンジングを行う必要があるため、不必要なデータや情報を見分けるスキルが必要になります。
また、データ分析の精度を上げるためにデータ整形をおこなったり、加工するスキルも求められます。
8:適切な分析設計
データサイエンティストには目的に応じた適切な分析設計を行うスキルが必要です。
データ分析を行う目的はさまざまです。企業がビジネス上のどのような課題を解決したいのか理解し、目的達成のために適切な分析設計ができるスキルは、データサイエンティストとして重要です。
分析設計には、統計学的な知識や数学の知識、さらにデータサイエンティストとしてのノウハウが必要とされます。
9:データの可視化
データサイエンティストにはデータの可視化を行うスキルが必要です。
膨大な量のデータを可視化するには、データを最適な形で集計することが重要になります。可視化は一般的にグラフで表現されますが、ネットワーク図などが適切なのか、折れ線グラフが適切なのかは、データ分析で何を知りたいのかによって変化します。
そのため、データサイエンティストは最適な形式でデータを可視化するスキルが求められます。
10:データを正しく理解する
データサイエンティストにはデータを正しく理解するスキルが必要です。
データを分析した後は集計結果を正しく読み取り、そこから課題解決に繋げたり、新たなパターンを見つけ出すことが求められます。そのため、データサイエンティストには分析結果を正しく読み取るスキルが必要になります。
データサイエンティストはあらゆる角度からデータを分析し、得られた結果からビジネス上の課題を解決へ導く必要があります。
11:プレゼンテーションスキル
データサイエンティストにはプレゼンテーションスキルが必要です。
データ分析の結果は一般的にレポートでまとめることになりますが、専門家ではない人が見てもデータからわかることや取るべきアクションが伝わらなければ意味がありません。
よって、誰が見てもわかりやすいようなレポートを作り、分析結果を報告するときにはそれを元にプレゼンを行うスキルが必要とされます。
12:コミュニケーションスキル
データサイエンティストにはコミュニケーションスキルが必要です。
データ分析で利用するスキルは専門性が高いため難しい言葉も多いですが、専門知識がない人に対して説明する際にはできるだけわかりやすく伝える必要があります。
そのため、専門用語をうまく置き換え、相手に伝わりやすいようにするコミュニケーション能力が必要とされます。
13:ロジカルシンキング
データサイエンティストにはロジカルシンキングが必要です。
データサイエンティストはデータを分析するだけでなく、問題解決を円滑に進める事が求められます。また、データ分析から正しい結論を導きだすにはロジカルシンキングが必要です。
たとえばロジックツリーなどのロジカルシンキングのアプローチを利用して、誰もが納得できるような論理的な結論を導き出すことが重要です。
14:マネジメントスキル
データサイエンティストにはマネジメントスキルが必要です。
データサイエンティストはいつでも提示された課題解決のためにデータ分析を行うわけではありません。ときには曖昧な内容だったり、直接成果に繋がらないこともあるため、自らマネジメントスキルを発揮してビジネスの成果へつなげることが期待されます。
そのため、目的を達成するためにはマネジメントスキルも必要となります。
15:課題発見スキル
データサイエンティストには課題発見スキルが必要です。
データサイエンティストがデータ分析を行うのは、データ分析によって問題点のパターンを抽出し、企業のビジネス上の問題点の解決や経営的な判断を行うためです。
そのため、データサイエンティストは何を目的として分析を行うのか理解し、分析結果から誰も気づいていなかったような課題を発見することも求められます。
16:ビジネスとして捉える能力
データサイエンティストには課題発見スキルが必要です。
データサイエンティストはビジネス上の課題解決のために、最適なデータ分析プロセスを考案し、実行することが仕事です。さまざまなデータをビジネスとして捉え、ビジネスにおける課題を解決する必要があります。
そのため、ビジネスのどのような課題を解決するために分析を行うのか、十分理解できる力が必要になります。
17:データ分析ツールを使いこなすスキル
データ分析の手法は煩雑なため、多くの場合、データ分析用のツールが用意されています。
分析手法によってはExcelなどでも分析可能な場合もありますが、より専門的なデータ分析をおこなう場合には、専用のツールを使いこなす力が必要です。
ツールには初心者でも扱いやすいマウス操作のものや、一部の分析に特化したものなど、多様にあります。データ分析に強いRやPythonなどと合わせて使いこなせるようにしましょう。
18:ビッグデータを扱う知識
ビッグデータとは、従来のデータ管理システムでは解析が難しいような膨大なデータ群のことです。内部には、企業がビジネスで活用できる情報や利益につながる情報が含まれています。
近年は社会の情報化の影響によりビッグデータ市場が拡大し、データ解析に取り組む企業が増えています。
データサイエンティストはこのビッグデータの解析を主な仕事とするため、データの統計処理の方法や活用の方法の他に、ビッグデータを扱う知識が必要となります。
データサイエンティストに役立つ知識を取得する方法
データサイエンティストには多くの知識やスキルが必要になるため、専門的な勉強が必要です。
ここではデータサイエンティストに役立つ知識を取得する方法についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
資格勉強で学ぶ
独学での勉強はモチベーションを保ちにくく、挫折しやすいです。しかし「情報処理技術者試験」や「統計検定」などの資格取得を目指して勉強することで、モチベーションを保ちながらデータサイエンティストに必要な知識を習得することができます。
スクールに通って学ぶ
独学が難しい場合は専門のスクールに通うのが良いでしょう。独学よりも高額な費用はかかりますが、カリキュラムに沿ってプロの講師から指導してもらうことで、効果的に専門知識を学ぶことができます。
データサイエンティストに必要な資格7選
データサイエンティストには、上記に挙げた様々なスキルが求められます。しかし、これらは実践的なスキルのため、書面や面接だけで測ることは出来ません。
そのためデータサイエンティストとして就職や転職を目指している人は、これらのスキルがあることを示すために、資格を取得しておきましょう。
情報処理能力やディープラーニングの知識、データベースへの理解などを測定する資格を7つ紹介します。是非参考にしてください。
1:情報処理技術者試験
情報処理技術者試験は、情報処理推進機構の運営する国家試験の一種です。
この試験では技術の多様化・需要の変化に対応できるエンジニアの育成を目的としており、特定の機種やOS、製品に依存しない、包括的なエンジニア知識を問う問題が出題されます。
IT技術の基礎から応用まで段階的に問われるため、IT人材育成に活用している企業も多いです。また信頼性の高い国家試験であるため、就職の際にアピールポイントとなります。
2:オラクルマスター
オラクルマスターとは、データベースの管理スキルを証明する資格の一つです。
この資格では、主にOracle Databaseを主軸とした問題が出題されます。Oracle Databaseは、データベース管理システムとして様々な企業で導入されており、この資格を持つことは大きな武器となるでしょう。
また能力に応じて段階的に認定資格が異なるため、初学者からエキスパートまで幅広く受験していることも特徴の一つです。
3:OSS-DB技術者認定試験
OSS-DB技術者認定試験とは、技術力や知識などオープンソースデータベースについてを問う試験です。
非営利団体による公平な試験がおこなわれており、合格することで団体の定めた技術を保有するIT技術者として認定されます。
この試験は、認定する技術によってGoldとSilverに分かれており、データベースの設計や開発などが出来る場合はSilverを、より大規模なシステム管理をおこなう場合はGOLDを取得します。
4:データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験はビッグデータを扱う際に必要な知識を問う試験です。
この試験に合格することで、高品質なデータベースを企画、開発、運用、保守するための知識や実践能力が有ることが保証されます。
また、データベースから必要なデータを抜き出し、データ分析を適切におこなう力も求められるため、データサイエンティストに必要な技術力の証明をおこなうことが出来ます。
5:Python試験
Python試験は、データ分析の際に用いるPythonの技術力を測ることができる試験です。
基礎編とデータ分析編が存在し、いずれも受けておくことで採用時のアピールポイントになる他、Python自体にも詳しくなることが出来ます。
どちらの試験も専用の教科書が発売されているため、Pythonにあまり触れたことがない初学者でも、比較的取り組みやすい試験となっています。
6:G検定・E資格
G検定およびE資格は、ディープラーニングの活用の力を測る試験です。
G検定ではディープラーニングの基礎的な知識と、簡単な運用の仕方が問われ、E資格では更に発展して、理論的な内容を理解しているか否かが問われます。
特にE資格は実践的にディープラーニングを取り扱う力を問うものであるため、受験前にプログラミング力を測る必要があります。あらかじめ用意された項目に沿ってプログラムを作成し、提出して認定されなければ受験資格がありません。
7:統計検定
統計検定とは、統計に関する知識や活用力を評価する試験です。
中学生や高校生の数学で問われるようなレベルの問題から、実際にデータが用意され、それをExcelで処理・解析をおこなう実践形式の問題まで、統計に関する様々な系統の問題が出題されます。
特にデータサイエンス基礎の範囲では実際の問題解決力が試されるため、取得しておくことでアピールポイントの1つとなるでしょう。
データサイエンティストの仕事のやりがいとは
データサイエンティストは自分自身の力でデータ分析を行い、さまざまな課題を解決していく仕事です。そのため、困難な課題を解決することで、大きな達成感を得られる仕事だと言えるでしょう。
データサイエンティストになるには?
データサイエンティストになるにはさまざまな方法があります。
大学で統計学を学んでデータサイエンティストとして採用されるケースもあれば、数理統計を扱う他の職種から転職するといったケースもあります。
また、IT職種未経験の場合は決して簡単というわけではありませんが、キャリアチェンジとして転職することも可能です。
データサイエンティストに必要なスキルを身に付けよう
スキルを磨いてデータサイエンティストを目指しましょう。
データサイエンティストにはさまざまなスキルが必要とされます。ぜひこの記事でご紹介したデータサイエンティストに必要なスキルを参考に、スキルを身に着けてデータサイエンティストを目指してみてはいかがでしょうか。