2020/12/18

情報処理安全確保支援士とはどんな資格?7つの試験概要や試験対策を紹介

 
  

情報処理安全確保支援士とは


情報処理安全確保支援士と呼ばれる資格があるのをご存知でしょうか。この資格は、情報セキュリティの知識や技能を有しているとみなされた人物に与えられます。試験合格者には経済産業大臣から合格証書が交付され、所定の登録手続きを行うことにより国家資格として「情報処理安全確保支援士(登録セキスぺ)」の資格保持者に認定されます。今回は情報処理安全確保支援士の詳細について紹介していきますので、ぜひご参考にしてください。

情報セキュリティスペシャリスト試験との違いは?

情報処理安全確保支援士、通称登録セキスぺの試験は、情報セキュリティスペシャリストとは法律的には別の資格になります。異なる点としては、定期的な講習受講による情報処理安全確保支援士更新資格が必要になること・資格保有者の登録簿の内容がある程度公開されるようになること・業務上で得た情報について秘密保持義務が発生することなどがあります。

情報処理安全確保支援士の業務内容


情報処理安全確保支援士の業務では、情報セキュリティマネジメントに関するシステムの企画から設計、その開発や運用での「セキュリティ確保」に関する業務や対策の適用と管理に従事しながら適切なアドバイスもします。主な流れとしては、情報セキュリティ方針、規程の策定、リスクアセスメント及びリスク対応などへの推進、支援をしたり、セキュリティの観点からの暗号利用、マルウェア対策、脆弱性への対応などの適用を図ります。

情報処理安全確保支援士の試験概要7つ


情報処理安全確保支援士の試験を受けるにあたって、必要とする試験概要を7つピックアップしてご紹介します。情報処理安全確保支援士になるにはどれも必要な情報ですし、知っておくことで合格に繋がりやすくなるので、しっかりとチェックしましょう。

出典:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験|独立行政法人 情報処理推進機構

1:受験対象者

情報セキュリティの専門的な知識や技能を活用している人が、情報処理安全確保支援士の試験の受験対象者となります。この資格を有することで、企業や組織において安全な情報システムの企画・設計などを行い、調査分析などサイバーセキュリティ対策面でも必要なアドバイスができるようになります。

2:試験難易度

情報処理安全確保支援士の試験に合格する難易度はどのくらいなのでしょうか。この資格の合格率は、約13~15%程度だとされています。つまり、受験者の合格する割合は7人中1人程度です。どちらかと言えば難易度の高い資格試験で、中には3回以上の受験を重ねてようやく合格する人もいます。 応用情報技術者試験合格レベルの知識などを有している人物が多く受験するかなり難しい試験です。

3:合格点

試験の採点は、午前Ⅰ科目から行われ、全科目100点満点中60点以上という成績が必要になるため、他の科目や得意分野で点数を稼ぐのではなく、まんべんなく幅広い知識が必要になる試験です。

午前Ⅰ科目から午後Ⅱ科目まで、4つの範囲において様々な知識を持っていてはじめて情報処理安全確保支援士合格となります。

4:合格率

情報処理安全確保支援士の試験は、かなり難易度が高い試験です。合格率は19.1%となっているので、簡単といえる試験ではないことがわかります。

中には、2回試験で落ちたこともある人や、3回受験してやっと合格したという人もいるほどです。受からない人が多く、高い知識が求められる試験です。

出典:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験|独立行政法人 情報処理推進機構

5:試験時間・出題形式

試験時間は、1日の日程の中に午前2科目、午後2科目にわかれています。午前Ⅰ科目は50分、午前Ⅱ科目は40分です。また、午後Ⅰ科目は90分、午後Ⅱ科目は120分となっています。

試験形式は、午前Ⅰ科目と午前Ⅱ科目は多肢選択式で四肢択一となっています。午前Ⅰ科目は30問、午前Ⅱ科目は25問出題され、解答用紙に書き出すことが求められます。

また、午後Ⅰ科目と午後Ⅱ科目の出題形式は記述式となっており、午後Ⅰ科目の出題数は3問、午後Ⅱ科目の出題数は2問です。

出典:情報処理安全確保支援士試験(SC)│独立行政法人 情報処理推進機構

6:受験料

情報処理安全確保支援士の試験を受けるにあたって、受験料5,700円が必要となります。また、合格後には登録料として10,700円、登録免許税が9,000円の納付が必要です。

独立行政法人情報処理推進機構が登録事務を行い、経済産業大臣が取り消し失効事務、および命令業務を行うようになっています。

出典:受験手数料|独立行政法人 情報処理推進機構

7:試験会場

情報処理安全確保支援士の試験は、全国主要都市で行われています。試験日や試験内容とともに、試験会場も発表されます。ただし、コロナの影響で希望する都市での試験が難しくなったり、受験人数の関係で、希望している都市での受験が必ずしもできるとは限りません。

その場合は、他の都市に振り分けられることもあり、試験会場変更の連絡が来るようになっています。

情報処理安全確保支援士に必要なスキル


情報処理安全確保支援士として円滑な業務を行うために、必要な水準はいくつかあります。すべてに関して言えることは、情報セキュリティの知識をベースにしながらも、IT全般についての知識をフルに活用できるだけの知識や経験を有していることにあります。例えば、セキュリティのみではなく、ネットワークやデータベースなどの構築や設計、その運用なども理解していなければ、セキュリティも機能しないからです。

情報システムや基盤への脅威分析に関する知識を持っていること
情報セキュリティの動向・事例をもとに、対象システムに適用し評価できること
リスク対応に関する知識があり、他者へのアドバイスができること
ネットワークやデータベースの知識を持ち、暗号、認証、フィルタリングなどが適用できること
システム開発や品質管理などの知識を持ちアドバイスもできること
トラブル発生時の分析と監査に関する知識があり専門家として取り組めること

情報処理安全確保支援士のメリット6つ


情報処理安全確保支援士の資格を取得すると、いくつかのメリットがあります。主に、個人のメリット、そして所属している企業や会社にもメリットがあります。ここではメリットを6つご紹介します。ひとつひとつ見てみましょう。

1:継続的に知識・スキルを身に付けられる

情報処理安全確保支援士の資格を有すると、毎年行われる支援士定期講習に参加する必要があります。そこでは、最新の情報を入手できますし、情報処理安全確保支援士同士の交流の場になり、情報交換ができます。

情報処理安全確保支援士として活躍するにあたって、継続的な学習ができる環境が設けられているので、自分が必要とする知識や次の資格ヘのスキル、そしてスキルレベルをアップさせるコツなどを身に着けていけます。

2:ITベンダーの信頼性向上に繋がる

ITベンダーとは、情報機器やソフトウェアなどを製品化し販売したり、それらを組み合わせたオーダーメイドシステムの開発や構築をする、主なIT関連サービス企業のことです。システムインテグレータ(SIer:System Integrator)とも呼ばれています。ITベンダーの中に登録セキスペが存在すること自体がかなり頼もしいと言えます。顧客の視点を持ってセキュリティ強化が可能となり、信頼性を向上させられます。

3:経営とITを一体化できる

ITを活用する企業や組織が常識となりつつあります。そのため登録セキスペが社員として配置されていれば、事業リスクとセキュリティの両方の側面から、経営とITが一体化し、同時にセキュリティ対策も取れるというメリットが生まれます。その後も最新技術の情報やそのシステム調達、セキュリティベンダーと密接に連携ができるので、よりスピーディな対策が実現できます。

4:年収・スキルアップに繋がる

情報処理安全確保支援士の求人にも、年収は約700万円~900万円の提示も多く、IT関連の職種の中でも高い年収が期待できるといえるでしょう。年収アップを狙っている人には、おすすめの資格です。

また、ネットワークスペシャリストとしてスキルアップする機会も増えるので、自分の学び次第でいろいろな資格を取得する道も開かれます。

5:転職の際に有利になる

情報処理安全確保支援士の資格を有していることで、転職も有利になります。転職する際に、情報セキュリティに関する知識・スキルを保持していることをアピールできるからです。各企業は情報セキュリティに力を入れなければならない状態なので、少しでも資格ある人が欲しいと考えています。

情報処理安全確保支援士のデメリット4つ


情報処理安全確保支援士の資格を有することで、いくつかのメリットがありましたが、デメリットも同じようにあります。ここでは、情報処理安全確保支援士の資格を有することでデメリットとなる点を4つピックアップします。メリットとデメリットを比較してみましょう。

1:試験合格後に経済産業省への登録申請が必要となる

情報処理安全確保支援士の試験に合格すると、自動的に情報処理安全確保支援士の資格が与えられるわけではありません。経済産業省に登録の申請を行ってはじめて情報処理安全確保支援士の資格を有するものとして認められます。試験合格後に、登録をしなければなりません。

2:必ず定期講習を受けなければならない

情報処理安全確保支援士の資格を維持するには、必ず定期講習に参加しなければなりません。年に1回のオンライン講習に参加し、その際には20,000円の受講料が必要です。また、3年に1回の集合講習にも参加義務が発生するので、その際の費用としても80,000円を準備しておく必要があります。3年で14万円の自己負担が必要になります。

情報処理安全確保支援士の受講する研修については、自分での技術を維持する努力も求められるので、常に新しい情報に接するという向上意欲も必要です。定期的に行われている講座を受講しない場合は、更新手続きが出来なくなることもあるようです。

3:登録手数料・免許税がかかる

情報処理安全確保支援士の資格を有することで、登録手数料や免許税がかかることは先にも触れました。まとめると、登録免許税の収入印紙代が9,000円、登録手数料が10,700円なので、合計19,700円はかかることになります。加えて、3カ月以内という期限内の住民票の写し300円も必要なので、20,000円は準備しなくてはなりません。情報処理安全確保支援士の資格を維持するためには、維持費用が掛かります。

4:知識や技術を維持する努力が必要

情報処理安全確保支援士の資格は所得して、その資格試験で終わりという訳ではなく、その後に業務などでも関わる技能や知識の向上に、自分なりの努力をしていく必要があります。先述したように、IT関連の技術は進歩し続けています。昨日までの常識がどんどんと旧態化していくので、時代のニーズと合わせて、自分自身もアップロードしていかなければ通用しなくなります。

情報処理安全確保支援士の試験対策

情報処理安全確保支援士の資格を取得するための試験対策はどのように行えばよいのでしょうか。この資格だけに限ったことではありませんが、資格試験の出題傾向というのは、おおむね決まっています。それらの情報を早めに把握して、公式テキストや過去問題集などを購入して、徹底的に学んでいく姿勢が重要です。では、具体的にどのようなテキストなどがあるのでしょうか。

本で勉強する

情報処理安全確保支援士の受験用として、公式販売されているテキストは存在しませんが、あらゆる出版社にて、この資格試験の傾向と対策を取りまとめた参考書が広く市販されています。その中でも、このシリーズを学習すれば大体の予測がつき役に立つと、過去の受験者から評価が高いものは、「情報処理教科書 情報処理安全確保支援士(上原孝之著)」です。まずはこのテキストを一冊丸々学習してみることをおすすめします。

過去問が見られるサイトで勉強する

当然、どのような資格試験でも過去の問題がどのようなものだったのかは気になるところです。情報処理安全確保支援士の資格の場合も、過去の問題を一般公開しています。情報処理推進機構が運用するWebサイトがあり、過去問がPDFにされています。一定条件によってダウンロードも許可されていますので、試験に臨むという方は、参考にしてみてください。

情報処理安全確保支援士の登録申請の流れ


情報処理安全確保支援士の試験に合格したのであれば、年に2回ある登録日までに書類を揃える必要があります。

必要書類としては、登録申請書(2枚)・現状調査票(2枚)・誓約書(1枚)・安全確保支援士試験の合格証書コピー又は原本(1枚)・マイナンバーなどを消した3カ月以内の住民票の写し(1枚)・登録事項等公開届出書(1枚)・登録申請チェックリスト(1枚)で、登録手数料の領収書を発行してもらいたいのであれば返信用の封筒(1部)が必要になります。

登録申請書は、IPAの「申請書類一覧」サイトより各種書類をダウンロードできます。登録申請書に印刷記載し、収入印紙や金融機関などへの支払いを証明できる書類すべてを、簡易書留で送るという方法で申し込みする必要があります。

情報処理安全確保支援士の資格保有者の年収はどれくらい?

情報処理安全確保支援士の資格を有してる人の年収も気になるところです。大手求人サイトなどを見ると、年収に幅があるのが現実ですが、平均してどのくらいの年収が見込めるのでしょうか。やる気にもつながる点なので、チェックしておくのは大切です。

資格登録者の場合

登録セキスぺは、600万円~1,300万円という高額な年収が得られるといわれています。登録していることが条件になるので、給与額を考えると登録するだけの価値があります。

大手企業になると、資格登録をしているかどうかを問うところもあり、人材を求める際にも登録者を最優先して雇用する傾向にあります。

情報処理安全確保支援士の取得を目指そう

情報処理安全確保支援士資格は、役立つ国家資格です。セキュリティ対策が必要な企業がたくさんあるので、将来性のある仕事ともいえます。まだまだ情報処理安全確保支援士資格の資格を有し、登録している人を必要としている求人が増えているので、ぜひとも合格しておきたい資格です。

ITエンジニアへのキャリアチェンジならキャリアチェンジアカデミー

この記事の監修者・著者

株式会社オープンアップITエンジニア
株式会社オープンアップITエンジニア
未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを支援するサイト「キャリアチェンジアカデミー」を運営。これまで4500人以上のITエンジニアを未経験から育成・排出してきました。
・AWS、salesforce、LPICの合計認定資格取得件数:2100以上(2023年6月時点)
・AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞

おすすめの動画

  • 【未経験からIT業界へ転職するなら】相談窓口とスキルの獲得はここで解決!IT転職が一気に有利に!【キャリアチェンジアカデミー】

  • 【費用一切不要】未経験からIT業界へ転職するならまずはここへ相談!【キャリアチェンジアカデミー】

  • 【何のエンジニアになれるのか?】未経験からITエンジニアを目指すとこんな道がある【キャリアチェンジアカデミー】