2020/11/20

AWSのOutpostsを利用するメリット4選|AWSのOutpostsによる影響など紹介

 
  

この記事の目次

AWSのOutpostsについて

2019年12月に提供開始となった「AWS Outposts」は、オンプレミスの形式を取りながら、AWS(Amazon Web Services)をクラウド型インフラストラクチャーとして実行できるようにするものです。

いわゆるハイブリッド型クラウドであり、おおよそ900キロもの巨艦サーバーを契約企業内に設置するというもので、様々なサービスが用意されています。

AWSのOutpostsの詳細4選

AWSには多種多様のサービスがあり、また運用精度も高く、これらクラウドインフラをAWS Outpostsで利用することには、多くの特徴とメリットがあります。

これから4つの点について、サービスの概要、導入が想定される例、また実際の導入の仕方や料金について紹介していきます。

オンプレミス型が再評価されている流れでのハイブリッドクラウドを見ていきます。

AWSのOutpostsの詳細1:提供しているサービス

AWS Outpostsを導入するとAWSのサービスであるコンテナサービス、データサービス、分析サービス、ストレージなどをオンプレミスで利用できるようになります。

例えばコンテナサービスには、仮想サーバー構築(Amazon EC2)・ブロックストレージ(Amazon EBS)・仮想コンテナ構築(Amazon EKS)などのクラウド・ツールがあります。

AWSのOutpostsの詳細2:利用されるケース

Outpostsは特に通信遅延が問題となり、低レイテンシーが求められる場の活用が想定されており、具体例としては、金融取引でのプラットフォームや診療現場でのデータ処理・通信、あるいはオンラインゲームでのハイスペックな同期性の実現が挙げられます。

また、AWS Outpostsは製造ラインの自動化システムでの一元管理など、データ管理の厳格な環境での運用に適しています。

AWSのOutpostsの詳細3:導入の仕方

AWSマネジメントコンソールへのログイン後、Outpostsの構成(開発・テスト用・汎用・演算最適化・ストレージ最適化など)を決めて注文します。

その後、機材が設置場所に配送され、AWS専任スタッフがサーバーの設置、インストールなどの作業を行います。全サービスの集中管理は、AWSマネジメントコンソールから行われることとなります。

AWSのOutpostsの詳細4:料金について

AWSクラウドの場合、使った分だけの従量課金ですが、AWS Outpostsは物理的インフラ整備を含めた料金になり、また3年間継続利用が前提のため導入予算で考慮すべき点です。

ちなみに、開発およびテストの最小単位での価格はUSドルで$148,330.61となり、日本円で約\46,600,000(2020年10月現在のレート換算)となります。

AWSのOutpostsを利用するメリット4選

AWS Outpostsには数多のアプリケーションサービスが用意されているので、ユーザーは自社のインフラ設計に対応した計画を立てられます。

それはOutpostsの導入によって歴史あるAWSクラウドコンピューティングの実績を、オンプレミスで実行できるということです。豊富なサービス・ハイブリッド型・サポート体制・データ保護の4点にわたるメリットを見ていきます。

AWSのOutpostsを利用するメリット1:利用できるサービスが豊富にある

AWS OutpostsではすでにAWSで行われている様々なサービスを、オンプレミスで実行することが可能で、サービス数は優に120を超えており、選択に迷うほどの豊富さです。

データ分析ツールやコンピューティングに関するもの、ストレージ・コンテナ・データベースなど、クラウドサービスで得られるものをセキュリティに優れたオンプレミスで実践できます。

AWSのOutpostsを利用するメリット2:オンプレミスとクラウドで一貫し優れた体験が可能

ハイブリッドクラウドAWS Outpostsの利点は、設置企業の独自性を保ちながら、サーバー機器など保守管理はAWSが行うため、実質クラウドコンピューティングと変わりない動作環境を得られます。

こういったことから、オンプレミス・クラウドを通じた質の高い作業性を実現できるのです。それはAWSのフルマネージドサービスによるもので、大きなメリットの一つです。

AWSのOutpostsを利用するメリット3:質の高いサポート体制を受けられる

フルマネージドサービスによって、AWS Outpostsはサーバーの設置からインストール、運用までをAWSスタッフが行うので、運用までの手間はかからずスムーズに運用を開始できます。

また運用開始後のハードの保守管理、ソフトウェアのアップグレードやパッチ適用もAWSがOutpostsを監視・管理しているので、現場での保守管理は必要ありません。

AWSのOutpostsを利用するメリット4:データを安全に保存し処理できる

オンプレミスではEBSによるデータの永続的保存を行うとともに、クラウドではS3を利用することで安価で安全にデータを保護できます。

AWS Outpostsにおいてデータは全て暗号化されるのがデフォルトとなっており、クラウド上のデータ転送に関しても同様ですが、ローカルではユーザー管理となります。

また、システムの停止でメモリ上のデータは消去され無防備な保存は皆無です。

AWSのOutpostsの特徴11選

クラウドコンピューティングAWSにアクセスできるOutpostsは、AWSの特徴をそのまま引き継ぐことが可能で、そのままOutpostsの特徴としても発揮されるものです。

またOutposts自身にも多くの特徴があり、コンピューティング・ストレージ・ネットワーキングなどで優れた拡張性、パフォーマンスを各カテゴリーに合致して実行できます。

AWSのOutpostsの特徴1:コンピューティングが利用できる

AWS Outpostsには5種類のインスタンスが用意されており、それぞれタイプの異なったパフォーマンスに適した仕様となっているため、多用するアプリケーションに合わせた選択が可能です。

一般的な汎用型から、コンピューティング、メモリ、あるいはグラフィックやI/Oに特化したものまで多様なインスタンスがあり、AWSコンピューティングがオンプレミスで利用できます。

汎用(M5/M5d)インスタンス

汎用性としてカテゴライズされたM5インスタンスは、コンピューティング・メモリ・ネットワークなどのリソースをバランスよく供給するため、多様なアプリケーションの実装が可能です。

またEBSとのネットワークが最適化されているので、ストレージ性能での向上と障害の排除が期待できます。なお、M5dは内臓ストレージ(インスタンスストア)を装備しているバージョンです。

コンピューティング最適化(C5/C5d)インスタンス

CPUの性能比率がメモリよりも高いのがコンピューティング最適化インスタンスであり、C5はインスタンスファミリーの中でもオーソドックスな仕様です。

また、コンピューティング集約型でCPUの作業負荷が高く、ハイパフォーマンスを要求されるアプリケーションの実行に適しています。これもEBS最適化がデフォルトとなっていて、高いコストパフォーマンスが得られます。

I/O最適化(I3en)インスタンスファミリー

I/O性能に特化したI3enは、I3と比較してインスタンスストレージ容量、EBS帯域幅、ネットワーク帯域幅が向上し、GB当たりのコストパフォーマンスが高くなっています。

また、I3enはデフォルト仕様で非揮発性メモリ Express(NVMe)SSDが実装されているので、大容量を要求するパフォーマンスやハイスペックな低レイテンシーの実行に適しています。

グラフィック最適化(G4dn)インスタンス

大量のグラフィックパフォーマンスを実行するようなプログラムを高速処理するのに適しているのが、G4dnインスタンスです。

画像へのメタデータ追加・自動音声認識・言語翻訳などの、アプリケーションのための機械学習推論にも向いています。また、グラフィカルなアプリケーション構築や運用においてコストパフォーマンスの高いプラットフォームの実行も可能です。

メモリ最適化(R5/R5d)インスタンス

R5/R5dインスタンスは、規模の大きいデータの処理について高いパフォーマンスを実現できるようにできています。R5/R5dいずれのインスタンスも仮想CPU及びメモリ容量が大幅に増加しており、その分コストパフォーマンスが上がっています。

また、R5dはR5に内蔵ストレージを加えたものです。いずれもメモリ集約型のアプリケーションを構築するのに適しています。

AWSのOutpostsの特徴2:ストレージが利用できる

AWS OutpostsにはローカルなインスタンスストレージとEBSgp2ボリュームが提供されており、またデータの暗号化がデフォルトで行われるので、セキュリティもハイスペックで保持されます。

また、すべてのEBSボリュームとスナップショットはS3で暗号化して保存され、EBSは2.7 ・11 ・33 ・55の各TB(=10244)のティアで提供されます。

AWSのOutpostsの特徴3:ローカルゲートウェイ(LGW)が利用できる

ゲートウェイとは、プロトコルの違うネットワーク同士が通信する時の中継機器のことであり、ローカルゲートウェイ(LWG)とは、Outpostsのリソースをオンプレミスでのネットワーク接続を可能にするツールです。

また、LWGはOutpostsと他のローカルネットワークとの低レイテンシーな接続を可能にするもので、その対象にはデータソース・データベースなどがあります。

AWSのOutpostsの特徴4:VPC拡張機能が利用できる

VPCとはVirtual Private Cloudの略で、プライベートなクラウド環境をユーザーが構築できるサービスを言い、AWS Private Linkを利用してインターネットを経由せずに安全にAWSのサービスを受けられます。

一方、プライベートサブネットを作成してリソースを置き、必要に応じてパブリックネットワークにつなぐことで安全にWeb開発を行えます。

AWSのOutpostsの特徴5:ツールを利用しクラウドと同様に作業ができる

Outpostsはオンプレミス上にあっても、リージョンで動作しているAWSツールへのアクセスが可能なので、オンプレミスの制限された作業域を超えて、クラウド上の無限ともいえる作業空間の使用が可能です。

利用できるツールには、AWS CloudFormation・Amazon CloudWatch・AWS CloudTrailなど数多のAWSツールがあります。

AWSのOutpostsの特徴6:様々なサービスをオンプレミスで構築と実行ができる

AWSサービスには、Amazon ECS(コンテナオーケストレーションサービス)・Amazon EKS(Kubernetes実行のマネジメントサービス)・Amazon RDS(データベースエンジンのサポート)などがあります。

以前ではクラウド上でしか享受できなかったサービスをオンプレミスで受けることができ、ローカルでのアプリケーション構築と実行が可能です。

AWSのOutpostsの特徴7:AWS Nitro使用によるセキュリティの強化

AWS Nitroは、そもそもEC2実現のためのサブシステムだったものをソフトウェアからハードウェアへと負荷分散したものです。このことによってベアメタルサーバが実現して、ホストサーバから独立したため、セキュリティの強化につながりました。

つまりソフトウェアにあった仮想化リソースの負荷が専用のハード・ソフト両面に分散したため、外部からの攻撃を最小化できるということです。

AWSのOutpostsの特徴8:データ保護機能の向上

データの保存については、EBSボリュームでの暗号化と、リソースの停止によるデータの消去とをAWSでは適宜自動的に行うため、堅牢な形でデータ保護が行われています。

また、オンプレミスではEBSボリュームにデータの永続的保存を行い、クラウドではS3を利用することで、データの重要度に合わせた振り分けが可能です。

AWSのOutpostsの特徴9:責任共有モデルの更新

責任共有モデルとはAWSとユーザーとの、負うべき責任領域を明確化するというもので、AWSとユーザー双方がセキュリティとコンプライアンスにおいて、それぞれのなすべきことが理解できます。

AWSはOutpostsのインフラ保護に、ユーザーはOutpostsで実行されるアプリケーション保護とOutpostsが実装されたラックの物理的保護に、それぞれ責任を負います。

AWSのOutpostsの特徴10:リソースを共有できる

AWS Outpostsでは、ユーザーはEC2インスタンス、EBSボリューム、サブネット、ローカルゲートウェイ(LGW)といったOutpostsリソースを共有できます。

これは、自社内で分散されている作業チームにおいてOutpostsのリソースを共有できるので、作業効率とコミュニケーションの向上に資することができます。

AWSのOutpostsの特徴11:高い自動災害復旧機能が利用できる

Outpostsは高可用性を担保するために、物理的な冗長性をラック内に保持しており、つまり途切れることのない稼働状態を実現するために、物理的なキャパシティの増加を行っているわけです。

これを根拠にしてOutpostsは、AWSリージョンと同様の高い自動災害復旧機能が利用できます。また、さらなる高可用性のための自動回復ワークフロー採用も推奨しています。

AWSのOutpostsによる影響

AWS Outpostsのみならず、Web業界ではオンプレミスからクラウドへ、そしてまたオンプレミスへの揺り戻しとハイブリッド化への進展が、急激な変化をもたらしています。

さらなるAIテクノロジーの発展は、歓迎すべき便利で迅速な世界を招来させるでしょう。あるいはまた、AIが仕事を奪うとして戦々恐々とした風潮も生まれています。どちらにもコミットする必要があるでしょう。

新しくできる可能性がある仕事

AWS Outpostsは完全マネージド型なので、ユーザーはほとんど煩わしい現場に携わる必要はありません。

そういう状況が進んでいく中で、システムの統合作業やオンプレミスとクラウドとの接続・拡張・保守などを担う部門が必要になってくる可能性があります。

また、Outpostsハードウェアそのものの販売といったことも新しい仕事として可能です。

無くなる可能性がある仕事

フルマネージドサービスによる導入と設置が前提となったAWS Outpostsは、これまでのシステムインテグレーターがやっていた作業を不要にします。

クラウド環境へのシームレスな接続がAWS Outpostsの機能性として組み込まれているので、クラウド環境エコシステムが崩れてしまいます。結果、それに関わるベンダー、いわゆるサプライヤー関連の仕事が喪失することはあり得るでしょう。

AWSのOutpostsは今後のため活用してみましょう

AWS Outpostsの登場は時代的要請とも考えられ、クラウドコンピューティング一辺倒の欠点を補完するものです。人間の技術的進展は失敗とその乗り越えを通して行われてきましたが、AWS Outpostsも乗り越えの対象となります。

新しい技術と安定性を持つハイブリッド型のAWS Outpostsを、新たなネットワーク構築に活用して、今を乗り越えましょう。

ITエンジニアへのキャリアチェンジならキャリアチェンジアカデミー

この記事の監修者・著者

株式会社オープンアップITエンジニア
株式会社オープンアップITエンジニア
未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを支援するサイト「キャリアチェンジアカデミー」を運営。これまで4500人以上のITエンジニアを未経験から育成・排出してきました。
・AWS、salesforce、LPICの合計認定資格取得件数:2100以上(2023年6月時点)
・AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞

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