2022/05/25

AWSのインスタンスタイプとは?基礎知識と変更する際の注意点を解説!

 
  

AWSでEC2インスタンスタイプ変更についての基礎知識

クラウドサービスであるAWSでは、EC2インスタンスを起動した後でもインスタンスタイプを変更できます。 実機のサーバーと比較してはるかに手軽にハードウェア性能を変更する事ができますが、注意する点も多くあります。

インスタンスタイプとは

CPUやメモリなど、性能の異なるハードウェアの組み合わせをインスタンスタイプといいます。 AWS EC2には、規模や用途に応じて多くのインスタンスタイプが用意されています。一般的に販売されているサーバーのようにCPUやメモリをバランスよく搭載したタイプはもちろん、CPU能力に特化したりメモリ容量を重視した個性的なタイプもあります。 それぞれCPUやメモリ以外にもストレージやネットワークのパフォーマンスなどが異なり、料金も大きく変わってきます。

インスタンスタイプを変更するタイミング

どんなサーバーでも、アクセス数やデータ量が増加していけばいつかは性能不足が発生します。 CPU使用率が高すぎたり空きメモリ不足が原因で、想定よりも処理に時間がかかるようになってきたら性能不足のサインです。 AWSに新規登録した際、無料枠として提供されるt2.microを使用している方も多いでしょう。しかしながらt2.microはvCPUが1、メモリも1GBとかなり絞られたスペックとなっています。 バースト性能があるため瞬間的な負荷もある程度対応できるものの、平均使用率が増加していくシーンでは遅かれ早かれスペック不足に悩まされるでしょう。

性能不足の兆候を捉える

ハードウェアの状況を常に監視し、性能不足の兆候があった場合は早めにインスタンスタイプを変更しましょう。 CPU使用率や空きメモリといったハードウェアの状態は常に監視しておきましょう。また、ウェブページ表示速度などの外部から見たサービス提供の状態も把握しておきたい項目です。 CPU能力が不足するとサイトの応答速度が低下するでしょう。メモリ不足が恒常的に発生していると極端なケースではサイトそのものが落ちてしまう事態になってしまいます。 ハードウェア性能に余裕があれば、こういった問題を避けられる可能性が高くなります。

インスタンスタイプの検討

インスタンスタイプのうちt1、m3などの表記について、アルファベットが「インスタンスファミリー」、数字が「世代」を表します。続く「micro」「medium」「large」といったような表記は「インスタンスサイズ」です。 インスタンスファミリーは例えるなら用途です。一般的な用途で考えた場合はバランス型であるM系が最適です。小規模ならコストが低いT系、性能を重視したいならC系やその他を選択します。 世代については大きいものほど最近発表された物となり、通常はできるだけ最近の物を選択しましょう。 インスタンスサイズは表記が大きくなるほど性能がアップするというわかりやすい関係です。 公式の資料にインスタンスタイプごとのスペック表記がありますので、料金とのバランスを見ながらよく検討してください。

インスタンスタイプの変更にあたって注意する点

 実機サーバーであればCPUやメモリの増設は大変な作業ですが、クラウドサービスであるAWSなら手軽にインスタンスタイプを変更できます。ただしインスタンスタイプの変更にはいくつかの注意する点があります。

停止時間が発生する

インスタンスタイプを変更するには停止、変更、起動という手順を踏みます。 再起動が必要となるため、最短でも数分の停止時間が発生します。データ移行などの諸作業が発生する場合はその分の時間も必要になり、停止時間は更に伸びる事を織り込んでおきましょう。

インスタンスタイプには互換性がある

インスタンスタイプには互換性があり、現在使用しているタイプによって制限を受けます。 世代やインスタンスの元になったAMIによる制限の他に、仮想化タイプやアーキテクチャー、拡張ネットワークなど思いの外制限は多くなっています。 変更作業の段階になってから希望するインスタンスタイプが使用できない事が判明するという事態を避けるためにも、事前によく確認するようにしましょう。

IPアドレスが変わる

インスタンスタイプを変更するとパブリックIPアドレスは変更になります。ElasticIPアドレスを使用していれば付け替えが可能となりますので事前に取得しておきましょう。 外部に公開するサーバーであればElasticIPアドレスを使用したりELBを経由させ直接外部に公開しないようにするといった、IPアドレスに依存しない構成を取るようにしましょう。

料金が変わる

AWSではEC2インスタンスタイプに応じた料金が設定されており、インスタンスタイプを変更すれば使用料金も変動します。 一例として、t2.microであれば1時間あたり0.0076USD、1ヶ月(750時間)で57USDとなります。 これをt2.xlargeに変更したとすると1時間0.2432USD、月間で182USDとなり単純計算で3倍以上になります。(料金は2021年1月現在の東京リージョンのものです)

リザーブドインスタンスが適用されなくなる

変更前のインスタンスタイプでリザーブドインスタンスを購入し、残り期間がある場合は注意が必要です。 インスタンスタイプを変更すると、以前のタイプ向けに購入したリザーブドインスタンスは適用されなくなります。 同タイプのインスタンスを新規に稼働させる場合は問題ありませんが、そうでない場合はAWSマーケットプレイスに出品する等してできるだけコストを回収したいところです。 ただしAWSマーケットプレイスは米国の銀行口座が必要になるなど手続きが煩雑なため、米国以外からでも利用しやすいように改善が待たれます。

インスタンスストレージの消失

現在使用しているインスタンスのルートデバイスは何になっているでしょうか。 インスタンスのルートデバイスがインスタンスストアになっている場合、インスタンスタイプを変更するとルートデバイスの内容が消失してしまいます。 AWS ManagementConsoleのEC2メニューでAMIの詳細を開き、ルートデバイスをチェックしてみましょう。 「instance store」という表示の場合、ルートデバイスがインスタンスストアです。インスタンスタイプ変更の前にデータの移行などを済ませておきましょう。「ebs」という表示であればEBS-Backedなので問題ありません。

AWSコンソールからEC2インスタンスタイプを変更する手順

 インスタンスタイプはAWSコンソール上から簡単に変更できます。変更作業の実例と、注意するポイントを紹介します。 インスタンスタイプを変更するにあたり、何を目的として変更するのかを明確にしましょう。 メモリ不足が発生している状況でCPUを強化しても性能改善は見込めません。監視項目を参照し現状のボトルネックを把握するのが重要です。

事前作業

トラブルが発生した時に備えて現状インスタンスのイメージを作成しておきましょう。 EC2コンソールから「イメージの作成」を選択すれば現在のインスタンスのバックアップを作成する事ができます。また、インスタンスタイプ変更後に性能改善を比較できるように、現状のCPU使用率や空きメモリを把握しておきましょう。

インスタンスを停止、変更、起動

この作業がインスタンスタイプ変更の中心です。 手順そのものは単純ですが、インスタンスの状態表示を見ながら確実に作業しましょう。 EC2コンソールからインスタンスを選択し「停止」をクリックします。 インスタンスが停止したら続けて「インスタンスタイプの変更」をクリックします。 リストから目的のタイプを選択します。その後インスタンスの状態から「開始」をクリックしましょう。問題がなければインスタンスが起動します。

インスタンスタイプ変更後の確認

EIPやストレージの割当がある場合はコンソール上からアタッチします。再起動の影響でハードウェア構成やネットワークの設定やアプリケーションの状態が変化している可能性もありますので、設定値の確認や動作テストを実施しましょう。 アプリケーションを稼働させCPUやメモリの状況、サービスのパフォーマンスを計測し、変更前と比較してパフォーマンスの改善やボトルネックが解消されたことを確認しましょう。

AWSのインスタンスタイプを理解して適切なタイプに変更しよう!

 EC2インスタンスタイプを変更するための基礎知識を紹介しました。 インスタンスタイプを理解すれば、AWSで用途に応じたコストパフォーマンスの高いサーバーを用意できます。 タイプの変更も手軽にできるため適切なインスタンスタイプを選択するようにしましょう。

ITエンジニアへのキャリアチェンジならキャリアチェンジアカデミー

この記事の監修者・著者

株式会社オープンアップITエンジニア
株式会社オープンアップITエンジニア
未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを支援するサイト「キャリアチェンジアカデミー」を運営。これまで4500人以上のITエンジニアを未経験から育成・排出してきました。
・AWS、salesforce、LPICの合計認定資格取得件数:2100以上(2023年6月時点)
・AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞

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