2021/03/16

AWSのCloudで出来ること10選|使う時に必要な用語11選なども紹介

 
  

この記事の目次

AWSの Cloudとは

AWS(Amazon Web Services)は、Amazon.comが提供しているクラウドコンピューティングサービスのことです。 「クラウド」という言葉が1996年に初めて使われてから現在に至るまで、様々なIT企業が様々なクラウドコンピューティングサービスを提供しています。 それでは、AWSではどのようなクラウドコンピューティングサービスが提供されているのでしょうか。

クラウドコンピューティングのサービス

一般にクラウドコンピューティングサービスとは、インターネット経由でITリソースをオンデマンドで提供するサービスのことです。 提供されるサービスは主に3種類に分類されます。 GoogleのGmailやMicrosoftのMicrosoft Online Servicesといったソフトウェアサービスを提供する「SaaS(Software as a Service)」、GoogleのGoogle App EngineやMicrosoftのMicrosoft Azureといったアプリケーションをユーザが配置できます。 また、プラットフォームを提供する「PaaS(Platform as a Service)」仮想化されたサーバーやデスクトップ環境や、共有ディスクなどの仮想ハードウェアを提供する「HaaS(Hardware as a Service)/IaaS(Infrastructure as a Service)」の3種類があります。

クラウドコンピューティングの仕組み

インターネット経由でITリソースをオンデマンドで提供するクラウドコンピューティングサービスですが、どのような仕組みで提供されるのでしょうか。 前述した3種類のサービスのいずれにしても、サービスを提供するためのサーバーやストレージ等のITリソース実体は提供側が設置したデータセンター内にあり、ユーザは提供されたウェブアプリケーションを用いてインターネット経由でITリソースを利用します。

Cloudとオンプレミスサーバーとの違い

Cloud(クラウド)とオンプレミスの違いは、サービス利用側が保有するか、サービス提供側が保有するかにあります。 「オンプレミス」は従来から用いられている形態で、ITリソースはサービス利用側が保有します。ITリソースの保守や運用はサービス利用側で行いますので、ITリソースを自由に管理運用出来ますが、設備費や保守料のコストがかかります。 一方「Cloud(クラウド)」では、ITリソースはサービス提供側が保有します。 ITリソースの保守や運用はサービス提供側が行います。利用に際してはサービス利用料とネットワーク回線、パソコンやスマホ等の接続端末が必要になりますが、ITリソースの管理はサービス提供側で行うため、サービス利用側には設備費や保守料がかかりません。

AWSのCloudで出来ること10選

Cloud(クラウド)では、ITリソースはサービス提供側が保有すると説明しました。そうすると出来ることが限られるのではないかと思われがちですが、実は様々なことが出来ます。オンプレミスでは到底出来ないようなことが、Cloudでは出来るという例もあります。 ここでは、AWSのCloudで出来る代表的なものを10例挙げて説明していきます。

AWSのCloudで出来ること1:仮想サーバーの作成

AWSのCloudでは仮想サーバーを作成することが出来ます。仮想サーバーとは、1台の物理サーバー上に複数のOSを稼働させ、あたかも複数のサーバーがあるかのようにしたものです。 AWSでは、「Amazon EC2」というサービスで利用者が要望するOSやCPUのクロック数やコア数、メモリ容量等を搭載した仮想サーバーを提供します。 更に、仮想サーバーの構築は数分で完了します。これはCloudならではのメリットとなります。

AWSのCloudで出来ること2:大量のデーターを保存

AWSのCloudでは大量のデータを保存できます。 昨今の企業が扱うデータは膨大となっているため、非常に膨大な容量のストレージが必要となっていますが、企業がそのデータを保存するためのストレージを保有するにはコストがかかります。また、容量を増設するにはコストも時間もかかります。 AWSでは、「Amazon Simple Storage Service」というサービスで膨大なビッグデータを十分保存できるだけのストレージ容量を準備しており、利用者の要望に応じて必要な容量のストレージを提供します。 ストレージ容量の増減設が必要になった場合でも、運用中に変更できます。これもCloudならではのメリットとなります。

AWSのCloudで出来ること3:コンテンツの配信

AWSのCloudではコンテンツの配信を行えます。 AWSでは、「Amazon Simple Storage Service」で保存したビッグデータを「Amazon EMR」や「Amazon Kinesis」に連携させ、ビッグデータを分析した結果をコンテンツとして配信出来ます。 複数のサービスを連携させることが出来るのは、AWSのCloudを利用するメリットとなります。

AWSのCloudで出来ること4:データーベースを利用できる

AWSのCloudではデーターベースを利用出来ます。 AWSが提供する「Amazon RDS」というサービスでは、簡略化された手順で、利用者の要望するデーターベースエンジンを使ってデーターベースを構築出来ます。 利用者がオンプレミスからデーターベースを移行する際でも構築が楽にでき、システム変更も最低限で済み、管理負担が低く抑えられるので、AWSのCloudを利用するメリットになります。

AWSのCloudで出来ること5:専用線の接続

AWSのCloudでは専用線接続が利用出来ます。 AWSが提供する「Direct Connect」というサービスでは、利用者環境とAWS環境を専用線でプライベート接続します。 インターネット経由の接続に比べて回線品質が上がり、回線にかかるコストも低減される「Direct Connect」は、AWSが提供するすべてのサービスに互換性がありますので、AWSのCloudを利用する際はメリットとなります。

AWSのCloudで出来ること6:セキュリティ対策

AWSのCloudはセキュリティ対策が万全です。 AWSが提供するITリソースを構成するハードウェアは、セキュリティ要件に準拠したデータセンターで運営されていますので、利用者独自でセキュリティ対策をすることなく安全にシステムを利用出来ます。 また、AWSはインターネットや利用者側システム環境といったAWSデータセンター外の環境に対するセキュリティに対しても、利用者側の要望に応えられるサービスを提供しています。 長年に渡って大きなトラブルを発生させることなく運営を続けているAmazonが人気なのは、こういった信頼性の高さとセキュリティの高さの賜物と言えるでしょう。

AWSのCloudで出来ること7:AIを活用できる

AWSのCloudはAI機能を利用することが出来ます。 AWSが提供する「Amazon Personalize」は、ネット販売で培ったレコメンデーション実績をもとに開発されたAI機能です。蓄積したビッグデータを分析し、狙った市場の将来の動向を見定めることが出来ます。 AIの経験のない利用者でも、簡単にAI機能を構築し、実践的な運用を短期間で開始出来るのがメリットになります。

AWSのCloudで出来ること8:ワークフロー形式の管理

AWSのCloudでは、ワークフロー形式の管理が出来ます。 一般にワークフローとは、業務(work)の流れ(flow)のことです。企業内の社員同士や企業同士で行われる情報や業務のやり取りの一連の流れを指します。この流れがIT化によって「ワークフローシステム」として確立し、業務の流れの可視化が実現しています。 AWSの「Amazon Simple Workflow」では、複数に分散したアプリケーションにまたがる処理を管理出来ます。 アプリケーションの従属関係や平行処理関係、次処理への引継ぎ処理などがAPIやコンソールで確認でき、処理が滞った場合でもボトルネックをすぐに把握して対処することが出来ます。 既存のワークフロー製品に使われる専門言語の習得を必要とせず、一般的なプログラミング言語が使用できるので、導入の敷居が低いのがメリットになります。

AWSのCloudで出来ること9:大量のメールを送信する

AWSのCloudでは、大量のメールを送信することが出来ます。 AWSが提供する「Amazon Simple Email Service」を利用すると、e-mailに関する様々なユースケースをサポートしますが、その中に大量メールの送信があります。メールを送信するだけでなく、送信した結果の統計から顧客の関心動向を分析出来ます。 パスワードリセットの申請に対する返信連絡メールや新製品の宣伝メールなど、メールを使った顧客ソリューションを行うのにメリットとなります。

AWSのCloudで出来ること10:AWSを使った開発の補助

AWSのCloudは開発の補助として利用することが出来ます。 AWSが提供する「AWS CodeStar」は、統合されたUIによってアプリケーションの開発に関する設定を簡単に設定したり、開発状況の把握や調整を行ったりすることが出来ます。 また、「Amazon Cloud9」は、Google ChromeやFirefox等の各種ブラウザ上で動作する統合開発環境を構築することが出来ます。 全体の状況把握が容易になり、クラウドにアクセスすることでどこからでも開発が可能となることから、開発プロジェクトをまとめる管理者にとっても、開発メンバーにとってもメリットのあるサービスです。

AWSのCloudを使う時に必要な用語11選

ここまでAWSのCloudを利用して出来ることを説明してきました。AWSのCloudを使いたいと思われた方も多いのではないでしょうか。 ところがAWSのCloudについて調べていくと、難しい用語がたくさん出てきてしまい、AWSのCloudについての理解がなかなか進まなくなることもあるでしょう。 そこで、AWSのCloudを利用ために必要な11の用語を取り上げていきます。 それでは、それぞれについて説明していきます。

AWSのCloudを使う時に必要な用語1:VPC

VPC(Virtual Private Cloud)とは、AWSアカウント専用の仮想ネットワークのことです。 この仮想ネットワークは簡単にカスタマイズすることができ、カスタマイズによってインターネットへのアクセス可否設定やネットワークアクセスの制御が出来ます。

AWSのCloudを使う時に必要な用語2:リージョン

リージョンとは、データーセンターが設置されている物理的な地域のことです。 1つのリージョンは複数のAZ(アベイラビリティーゾーン)で構成され、これにより強力な障害耐性を実現しています。 Cloudを利用する場合は、利用者の拠点に物理的に近いリージョンを選ぶことで、ネットワーク遅延をより抑えることが出来ます。 AWSにおいては、日本にはAZを3つ持つ「アジアパシフィック (東京) リージョン」と、AZを1つ持つ「アジアパシフィック (大阪) ローカルリージョン」があります。

AWSのCloudを使う時に必要な用語3:AZ

AZ(アベイラビリティーゾーン)とは、1つのリージョン内に設置された1つ以上のデーターセンターのことです。 リージョン内のAZ同士は高いスループットで、低遅延かつ冗長性のあるネットワークで相互接続されています。 AZはそれぞれインフラが隔離されており、特定のAZで停電や自然災害等が発生しても、他のAZに影響しないようにして可用性を確保しています。

AWSのCloudを使う時に必要な用語4:サブネット

AWSにおけるサブネットとは、VPCのIPアドレス範囲を区切ったものです。オンプレミス環境でIPv4のネットワーク設計をする際に、ネットワーク範囲をサブネットで分ける考え方と同じものです。 サブネットを設定することで、インターネットにアクセスできるウェブサーバーとインターネットから遮断されているデーターベースサーバーを設置しながら、ルーティング設定とセキュリティ設定によってウェブサーバーとデーターベースサーバー同士はアクセス可能にします。 なお、AWSにおいてはVPCをIPv6に設定できるオプションがあり、IPv6でもサブネットが設定出来ます。

AWSのCloudを使う時に必要な用語5:Amazon EC2

Amazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud )とは、Amazonのデーターセンターにある仮想サーバーを起動したり管理したりするためのウェブサービスのことです。 要は仮想サーバーを構築できるサービスなのですが、仮想サーバーを構築完了するのにかかる時間は数分なのが魅力です。物理サーバーの場合は購入手続きをし、納入されて構築完了するまでに数日から数週間かかるので、比べ物にならないくらいです。 仮想サーバー構築後も、ディスクやメモリの容量等のスペック変更が、ウェブ管理画面上の操作で簡単に行えます。

AWSのCloudを使う時に必要な用語6:インスタンス

AWSにおけるインスタンスとは、AWS内で仮想サーバーとして実行するマシンイメージ(AMI)のことです。 要は利用者が、Amazon EC2サービスを利用して起動し使うことのできる仮想マシンのことを指します。 AWSのインスタンスには、Linux系OSとWindows Server系OSが用意されています。

AWSのCloudを使う時に必要な用語7:Amazon EBS

Amazon EBS(Amazon Elastic Block Store)とは、仮想マシンで使用するためのブロックレベルのストレージボリュームを提供するサービスのことです。 要は仮想マシンに搭載する仮想HDDを提供するサービスです。用途によって5種類のボリュームタイプが用意されています。

AWSのCloudを使う時に必要な用語8:Amazon RDS

Amazon RDSとは、AWS内でリレーショナルデーターベースを簡単に設定運用できるウェブサービスのことです。 オンプレミス環境で必要なデーターベースのインストールやバックアップ設定等のセットアップ作業は行う必要がなく、Amazon RDSを契約した直後からデーターベースを使用することが出来ます。 Amazon RDSで利用できるRDBMS(RDB管理ソフト)は、「Amazon Aurora」、「Postgre SQL」、「MySQL」、「Mariaデータベース」、「Oracle」、「SQL Server」の6種類が選択出来ます。

AWSのCloudを使う時に必要な用語9:IAM

AWSにおけるIAM(AWS Identity and Access Management)とは、AWS利用者がAWS内でユーザとユーザアクセス許可を管理できるウェブサービスのことです。 Windowsのユーザ管理画面と同様にAWSユーザとグループを作成して管理し、ファイルサーバーのフォルダアクセス権を設定するのと同様に、AWSリソースへのアクセス許可及び拒否を設定して管理することが出来ます。

AWSのCloudを使う時に必要な用語10:Amazon S3

Amazon S3(Amazon Simple Storage Service)とは、インターネット用のストレージを提供するサービスのことです。 このサービスを利用することで提供されたインターネット上のストレージは、あらゆる場所からあらゆるデバイスであらゆる用途でデータの保存や取得をすることが出来ます。

AWSのCloudを使う時に必要な用語11:Amazon CloudWatch

Amazon CloudWatchとは、管理者や開発者等向けのサービスで、AWS上およびオンプレミス上で実行されるAWSのリソースやアプリケーションおよびサービスを把握することが出来ます。 AWSのリソースやアプリケーションおよびサービスのモニタリングデータと運用データを収集し、ダッシュボード上に可視化します。利用者は閾値を設定したり異常状態検知を設定することでアラームを作成でき、異常状態の早期把握と対策を講じることが出来ます。

AWSを使う時の注意点3選

ここまでAWSのCloudで出来ることや、必要な用語を取り上げてきました。とても魅力的なAWSのCloudですが、利用するにあたって注意する点もあります。 ここでは、AWSのCloudを利用するにあたっての3つの注意点を挙げていきます。 それでは、それぞれについて説明していきます。

AWSを使う時の注意点1:定額サービスより料金が高くなる

1つ目は、AWSのCloudの利用料金が、定額サービスより高くなる場合があるという点です。 AWSのCloudを利用するにあたって初期費用は掛かりませんが、維持コストは従量課金制となっています。 使った分だけ料金が発生するというわけなのですが、例えば、AWS上に構築しインターネットに公開しているウェブサーバーに一般の閲覧者がアクセスすることも「使った分」ということになるので、一時的にアクセスが集中するとその月の利用料金が高額になる場合があります。 従量課金制ではいろいろな要因で、料金が上下する可能性があることに注意する必要があります。

AWSを使う時の注意点2:サービスが多い

2つ目は、AWSの提供するサービスが多いという点です。 AWSでは、ユーザのどんな要望にも応えるべく、提供するサービスは非常に豊富で多岐にわたります。そのため、どのサービスを選んでどんなサーバーを構築すればいいかを判断するためには、利用者側に専門知識やノウハウを持った人材が必要になります。 提供サービスの範囲が広いことがメリットでもあり、デメリットでもあるわけです。

AWSを使う時の注意点3:トラブルが起きた場合

3つ目は、AWS利用上起きたトラブルは自己解決が必要である点です。 AWSはインフラを提供しますが、システム障害が発生した際の対応はしませんので、障害対応は利用者で行う必要があります。 オンプレミスであってもクラウドであってもシステム障害は発生しうるものとして、構築の際にはシステムの冗長化やディザスタ対策を考慮に入れたり、障害発生時の対応マニュアルを作成したりしておく必要があります。

AWSのクラウドサービスを覚えて上手に利用しよう

AWSのCloudは今や多種多様な企業が導入しており、いつの間にか私たちの日常生活には欠かせないインフラとなっています。 AWSのCloudには、利用者のどんな要望にも応えられる様々なサービスが用意されていますので、メリットデメリットを見極めた上で導入を検討してみてはいかがでしょうか。 AWSを武器に仕事をしたいと考える人には、入門書や入門サイトの利用や、AWS認定資格の取得もおすすめです。]]>

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この記事の監修者・著者

株式会社オープンアップITエンジニア
株式会社オープンアップITエンジニア
未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを支援するサイト「キャリアチェンジアカデミー」を運営。これまで4500人以上のITエンジニアを未経験から育成・排出してきました。
・AWS、salesforce、LPICの合計認定資格取得件数:2100以上(2023年6月時点)
・AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞

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