2021/03/15

LPIC資格の難易度とは?3つのレベルや勉強方法も詳しく解説

 
  

LPIC資格とは?


「LPIC」は、Linuxの技術者であることを認定する資格で、正式名称を「Linux技術者認定試験」と言います。NPO法人「Linux技術者認定機関」、略称「LPI」が運営するベンダー資格です。日本国内では、同法人の日本支部が提供しています。

LPICは、世界共通の認定資格です。資格取得者がLinuxに関する技術力の持ち主であることを国際的に認定してくれます。

LPIC資格の必要性

LPICの取得は、Linuxを扱える技術を持っていることの証明になります。

取得の過程でLinuxに関する知識や技術が身に付くLIPCは、就職や転職の際に、有用な人物であることをアピールする材料になります。

日本企業の多くがLinuxを使っているので、トラブルに対処できる人材と判断してもらえるからです。Linux技術者として採用されることを考えているのなら、取得しておくと便利な資格になります。

また、国際的にLinux技術者として認定される世界共通の資格なので、日本企業だけではなく、外資系への就職・転職活動にも役に立つ資格です。

LPIC資格のレベル3種類


LPIC資格は、難易度によって3種類のレベルがある認定試験です。やさしいレベルの「LPIC-1」から、「LPIC-2」、「LPIC-3」と難易度が上がっていきます。

LPIC-1に合格することが、LPIC-2の受験条件です。LPIC-3は単独で受けられますが、LPIC-1、LPIC-2に合格できるだけの知識や経験がなければ、合格は難しいレベルの高難易度となっています。

LPIC-1、LPIC-2は、それぞれ2種類の試験を受けて、両方に合格しないと取得することができません。LPIC-3の試験は3つの分野に分かれており、1つの分野の試験に合格すれば、その分野の技術者であると認定されます。

LPIC資格のレベル1:LPIC-1

LPIC-1は、実際にLinuxのシステムを管理するためのスキルを持っていることを認定する資格です。

具体的には、Linuxをインストールして使用するコンピューターを構成できるか、それによって、基本的なネットワークを構成する知識や技術を持っているかについて、試験を受けることになります。

LPIC-1の難易度

LPIC-1は入門者向けの資格で、未経験者がインフラエンジニアを目指す入り口として適した難易度です。したがって、それほど高い難易度ではありません。

新卒の人やLinux未経験の人でも、しっかり勉強することで合格できます。Linux初心者に向けた参考書やLPIC取得のための教科書を理解し、問題集を勉強、習得することが重要です。

4つの選択肢から解答を選択するタイプの問題のほか、難易度が高い記述式の問題も出題されます。記述式問題は、Linuxを実際に動かせる環境を作り、動かしながら学習しておくことで、より合格しやすくなるでしょう。

LPIC-1の試験範囲

LPIC-1の試験範囲は、Linux初心者が基礎を一通り習得しているかを押さえた内容となっています。Linuxを利用するための幅広い知識全般が求められます。LPIC-1には、101試験と102試験の2種類があり、両方に合格しなければ資格は取得できません。

101試験の試験範囲は、Linuxのシステム構成、インストールとパッケージ管理、GNUとUNIXのコマンドライン上の操作、デバイスやファイルシステムについてです。

102試験の試験範囲は、シェルやスクリプト、データ管理について、インターフェイスとデスクトップ、簡単なメンテナンスタスクの実行、セキュリティの処理、ネットワーキングの基礎についてです。

LPIC資格のレベル2:LPIC-2

LPIC-2の取得者は、ネットワークシステムの構築ができるレベルのスキルがあると認定されます。Linuxの応用的なシステム管理をするための知識を持っていると認められるのです。

具体的には、Linuxサーバーの設計・構築ができる、また、ネットワークについても、構築やクライアントの管理、セキュリティの導入、システムの修正、キャパシティプランニングができるだけの技術があると判断されます。

LPIC-2の難易度

LPIC-2は、Linuxの実務を経験したことがある人に向けた難易度の資格です。ほとんどの受験者が、実際にLinuxに関わる業務に就いています。

LPIC-2を受験するためには、LPIC-1に合格している必要があります。したがって、受験者はLinuxの基礎知識を身につけている人ばかりです。そうした人たちは、仕事のかたわら、通勤の時間や休日など時間が取れるときを使って、試験勉強をしています。

実務経験のある人が、きちんと学習し、理解していけば取得できる難易度であると言えるのです。

LPIC-2の試験範囲

LPIC-2の試験範囲には、LPIC-1で必要な基礎知識に加え、より実践的な内容が含まれています。LPIC-1と同じく、2種類の試験(201試験、202試験)に合格しなければ、資格は取得できません。

201試験の試験範囲は、キャパシティプランニング、Linuxカーネルのハードウェア、システム実装、構成、システムの起動、ファイルシステムの操作、ネットワークシステムの管理、メンテナンスについてです。

202試験の試験範囲は、サーバーの構築管理がメインになります。ドメインネームサーバー、Webサービス、電子メールサービス、ファイル共有、ネットワーククライアントの管理、システムのセキュリティについてです。

LPIC資格のレベル3:LPIC-3

LPIC-3は、3つの専門的な分野で、高いレベルの技術を持つエキスパートであることを認定する資格です。試験は分野別に3種類あり、どれか1つに合格すれば、その分野のエキスパートとして認定されます。

3つの分野とは、Sambaを利用した、OSの混合環境システムの設計、構築、運用、保守の分野、アプリケーション、オペレーション、ネットワークのセキュリティです。

それが実装されたシステムの設計、構築、運用、保守の分野、クラウドコンピューティングシステムに代表される仮想環境の技術や高可用性システムの設計、構築、運用、保守の分野です。

LPIC-3の難易度

LPIC-3は、LPICのうち、最も難易度が高い資格です。3つの分野に分かれており、資格取得にはそれぞれの分野の十分な知識と実践経験が必要になるため、高度なスキルを持ったエンジニア向けの資格であると言えます。

LPIC-3の試験範囲は非常に広いので、独学での合格は難しい難易度かもしれません。しかし、LPICの運営団体であるLPIが主催する勉強会などを利用することで、経験豊富なLinuxエンジニアであれば取得できる難易度でもあります。

LPIC-3の試験範囲

LPIC-3の試験範囲は非常に広く、3つの分野について試験があり、それぞれ細かい内容を聞かれるため、難易度が高くなっています。試験範囲の項目ごとに重要度を表す数値が付けられており、重要度が高い項目ほど、多くの問題が出題される仕組みです。

300試験の試験範囲は、Sambaの基礎知識、設定、ユーザーとグループの管理、ドメイン統合、ネームサービスについて、LinuxとWindowsのクライアント操作についてです。

303試験の出題範囲は、暗号化、ホストセキュリティ、ネットワークセキュリティ、アクセス制御についてです。

304試験の出題範囲は、仮想化、高可用クラスタの管理、高可用クラスタストレージについてです。

なお、301試験、302試験は、現在用意されていません。

LPIC試験の基本情報5選


LPICを受験するには、まず運営団体であるLinux技術者認定機関「LPI」でアカウントを作成し、LPI-IDを登録する必要があります。実際に試験を運営し、事務的な情報を提供するのは、LPIの依頼を受けたピアソンVUE社です。

ピアソンVUE社はCBT(コンピュータ・ベースド・テスティング)を利用して、様々な資格認定団体にサービスを提供し、試験を運営しています。

LPIC試験は難易度によって3段階に分かれており、受験料などに違いがあります。基本的な情報を見ていきましょう。

LPIC試験の基本情報1:受験料

LPIC-1、LPIC-2の受験料は、1科目につき15,000円、LPIC-3の受験料は、1科目につき30,000円です。LPIC-1、LPIC-2は、2科目受験する必要があるので、合格までに30,000円が必要になります。

受験料は、ピアソンVUE社でバウチャー(受験チケット)を購入して支払います。クレジットカード払い、銀行振込のどちらかを選択できます。

バウチャーの有効期間は、LPICの場合、発行日から6ヶ月間です。他のピアソンVUE社が扱う資格試験と比べて短期間なので注意しましょう。

LPIC試験の基本情報2:申込方法

LPIC試験は、ピアソンVUE社に受験を申し込みます。申し込みには、LPICの運営団体であるLPIに登録するLPI-IDが必要です。

LPI-IDを登録後、ピアソンVUE社の公式サイトでバウチャー(受験チケット)を購入します。また、ピアソンVUE社のアカウントを登録します。

登録後、公式サイトから試験会場と試験日を予約することで、申し込みが完了します。

LPIC試験の基本情報3:試験会場

試験会場は、全国に100か所以上あるピアソンVUE社の試験センターから選択することができます。公式サイトで、近辺の会場を検索して選びましょう。

OnVUE オンライン監督試験を利用した自宅や職場での受験も可能です。OnVUE オンライン監督試験で受験する場合には、受験に使うコンピューターのシステムや周辺機器についての規定を確認し、システムテストと試験シミュレーションを行う必要があります。

LPIC試験の基本情報4:日時

LPIC試験は、○月○日に実施する、と決められているものではありません。

祝日を除く月~土曜日のうちで好きな日を、試験が開催される時間帯のうちで好きな時間帯を選択することができます。ただし、テストセンターによっては休日や開催時間帯が異なってくるので、事前に調べる必要があります。

OnVUE オンライン監督試験を利用して受験する場合も同じです。

LPIC試験の基本情報5:合格発表

試験の結果は、試験終了後すぐ、試験に使用したコンピューターの画面に表示されます。試験のスコアは、ピアソンVUE社のマイページにログインすれば確認できます。

合格証書が郵送されてくるのは、試験合格から1ヶ月ほど後のことです。LPIC-1、LPIC-2については、2科目ある試験の両方に合格してから1ヶ月後になります。

LPIC資格取得に向けた勉強方法3選


LPIC試験は、難易度によって3つの段階があり、難易度が上がるに連れて、Linuxの実務経験が必要になってきます。

しかし、試験問題は実務経験があれば解けるものばかりではありません。たとえば、日常的にコマンドラインを使用せずに業務をしている場合、シェルやコマンドについての問題は難易度が高く、解答に苦労することになるでしょう。

LPIC試験合格のためには、実務経験だけではなく、試験対策としての勉強が必要です。勉強方法としては、学習サイトを利用する、参考書や問題集を読むといった方法があります。具体的に、どのようなサイトや書籍を使えば良いかを見ていきましょう。

LPIC資格取得に向けた勉強方法1:サイトを利用する

LPIC試験はもちろんのこと、プログラミング言語やIT系の資格を取得するために、学習サイトを利用する人は多くいます。

学習サイトを利用することのメリットは、費用が無料もしくは安くおさえられること、自分の都合がいい場所や時間で勉強できること、わざわざ環境の構築をしなくても勉強を始められることといった点です。

LPICの場合は、実際の試験がコンピューターを使って行われるので、本番と同じような環境で、問題を解く練習ができる点もメリットになります。

Ping-t

「Ping-t」は、LPICの学習サイトとして有名なサイトです。LPICの他にも、ITパスポートやオラクルマスターなどの資格取得のための勉強ができます。

Ping-tの特徴は、問題集が充実していることです。「最強Web問題集」というコンテンツがあり、受験勉強のまとめとして利用する人がたくさんいます。また、問題集の内容を暗記するためのコマ問も充実しており、実際に入力しながらの勉強に向いています。

無料で利用できるのは、難易度の低いLPIC-1の101試験に対応した問題集のみですが、試験の手がかりとしては充分な学習サイトです。102試験や難易度が高い試験の問題集は有料コンテンツとなっており、月額2400円で提供されています。

LPICイージス

「LPICイージス」(現サイト名「LinuCイージス」)」は、LPICやLinuCの受験勉強をするための、Web教科書サイトです。

LPICは世界標準の資格で、LinuCはLPI日本支部が提供する日本向けの資格という違いはありますが、ともにLinux技術者の認定資格であり、難易度順になっている試験の構成や、試験そのものの難易度には、ほとんど違いがありません。

Web教科書サイトということで、体系的にまとめられており、効率的にLinuxを学習することができます。また、実際にLinuxのコマンドを入力したほうが勉強しやすいため、Windowsで擬似的にLinuxを動かせるようにする仮想化ソフトを提供しています。

LPIC資格取得に向けた勉強方法2:参考書で勉強する

LPIC資格取得をするためには、複数の勉強方法を併用するのが効率的です。とくに、初心者向きの難易度であるLPIC-1を受験する際には、参考書を使ってLinuxについての基礎的な知識をインプットしてから、重要な点を暗記、問題集を解いていく方法に効果があります。

Linuxの参考書は数多く出ていて、実務経験がある人向けのもの、未経験の初心者向けのもの、というように内容の難易度に差があります。ここでは、両方のタイプの代表的な参考書を紹介します。

Linux教科書 LPICレベル1

「Linux教科書 LPICレベル1」は、表紙があずき色であるため、通称「あずき本」と呼ばれるLPICの代表的な教科書です。

LPI法人日本支部の認定テキストであり、LPIC受験のための定番の書となっています。現在の試験のバージョンに合わせ、「Version5.0対応」のもので勉強しましょう。

試験範囲を広くカバーしているので、ある程度の実務を経験し、Linuxの基礎知識がある人ならば、この本1冊で充分です。今後の業務で活用できる知識の習得にも向いています。

Linux初心者には多少難易度が高いので、その場合は、Linuxの基礎が学べる参考書を先に読むのがおすすめです。

1週間でLPICの基礎が学べる本

LPIC受験前に頭に入れておかなければならないLinuxの基礎知識について書かれているのが「1週間でLPICの基礎が学べる本」です。Linuxを初めて勉強する人でも理解しやすい難易度なので、初心者の多くがこの本で勉強しています。

基礎知識のほかに、練習問題が掲載されており、Linux環境を構築する方法も紹介しているなど、受験のためだけではなく、普通にLinuxのことを知りたい人にとっても良い教科書です。

LPIC資格取得に向けた勉強方法3:問題集で実力を確認する

LPIC資格取得のためには、参考書での勉強にくわえ、問題集を使用した勉強が必要になります。参考書を読んだだけでは、知識が身につきません。

知識をしっかりと理解し、記憶するためには、問題集をくりかえして解くことが重要です。また、正答率によって、自分の実力がどの程度なのかを確認することもできます。

問題集には書籍とWeb問題集とがありますが、状況によって使いわけると良いでしょう。ここでは書籍を紹介します。

徹底攻略LPIC Level1問題集Version 4.0対応

「徹底攻略LPIC Level1問題集」は、LPICを運営しているLPI-Japanが教材と認定している問題集です。「徹底攻略」というタイトルどおり、1問ずつ丁寧に解説しているので、初心者にもやさしい難易度になっています。

LPIC-1の試験範囲をすべてカバーしていて、101試験、102試験それぞれの対策問題のほか、本番と同じ構成の仕上げ問題が掲載されています。問題数が多いので、ある程度の知識を得たあと、問題を解くことで実力をつけていきたい方にもおすすめです。

Linux教科書 LPICレベル1 スピードマスター問題集

LPIC資格取得に向けての問題集として多くの人が使用しているのが「スピードマスター問題集」です。通称「白本」と呼ばれていて、LPICを運営するLPIによってトレーニング教材として認定されています。問題を解く練習や出題傾向を理解するのにおすすめです。

解答と解説の内容が充実しているので、間違えた箇所がすぐにわかり、不足していた知識を補充していくことができます。LPIC-1の合格を目指すのに適した難易度の問題集です。

LPIC資格の難易度を把握して効果的な勉強をしよう!


「LPIC」はLinux技術者として、世界的に認定される資格です。取得していれば、就職・転職の際に大きな強みになるでしょう。

LPICは、難易度順に3段階の試験があります。Linux初心者から実務経験者、長くLinuxを利用している人、それぞれに適した難易度になっているので、自分に適した難易度の資格試験を受けることが、取得への近道です。

難易度によって、出題範囲も基礎的な知識全般から専門的な掘り下げた内容まで様々です。難易度に合った参考書や問題集を使い、効果的な勉強をして、資格取得を目指しましょう。

ITエンジニアへのキャリアチェンジならキャリアチェンジアカデミー

この記事の監修者・著者

株式会社オープンアップITエンジニア
株式会社オープンアップITエンジニア
未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを支援するサイト「キャリアチェンジアカデミー」を運営。これまで4500人以上のITエンジニアを未経験から育成・排出してきました。
・AWS、salesforce、LPICの合計認定資格取得件数:2100以上(2023年6月時点)
・AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞

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