2022/02/21

AWS ファイルサーバ|オンラインストレージのメリットや操作手順を解説!

 
  

何故オンラインストレージなのか?

結論から言うと、オンラインストレージは、オンプレミス(自社開発)におけるストレージ導入・運用フェーズの様々な課題を解決し、開発効率を飛躍的にアップしてくれます。 AWSを始めとしたクラウドコンピューティングの流れは、新規プロジェクトの立ち上げから既存システムの移行まで急ピッチで加速しており、その中でも特にオンラインストレージサービスの活用は、必須事項とも言えます。 この記事では、まずそもそもオンラインストレージのメリットは何なのか、という話から入り、AWSにおけるストレージサービスの比較解説を交えながら、それらをファイルサーバとして活用する方法について説明していきます。

インフラ面の課題とオンラインストレージによる解決

オンプレミスでストレージを導入するシーンにおいて、まずネックになるのがインフラ面です。オンラインストレージは、インフラ面の課題を解決してスムーズな導入を可能とします。 例えばスケール設計の問題です。ストレージの必要容量は、開発の規模や拡大戦略によって当然大きく変動するのですが、導入時点でこれを予測することは非常に困難です。 開発中や運用開始後に容量が枯渇することだけは避けなくてはなりません。そこでオンプレミスでストレージを導入する際は、見積りよりも多めの容量を確保する必要があるのですが、ほとんどの場合は大きな余剰が生まれ過剰投資となってしまいます。 しかし、オンラインストレージであれば簡単にスケールアップが可能です。そして何より容量が無制限なので、必要十分な容量で導入して、運用と共にその都度容量を追加していくといった使い方ができるのです。 インフラ面で見ると、RAID(ストレージの冗長構成)という課題もあります。オンプレミスでは、様々なディスク障害リスクに応じた対障害設計とRAIDの導入が必要となります。 ストライピングやミラーリングといったRAIDレベルはどうするのか、予備ストレージはどのくらい用意すべきか、など慎重な設計と選択が求められます。 この点においても、オンラインストレージは有利です。AWSが提供する各種オンラインストレージは、そもそも冗長化がサービスの中に組み込まれているため、利用者はこれらの設計に頭を悩ませることなく安心して利用できるのです。

コスト面の課題とオンラインストレージによる解決

オンプレミスのストレージ導入・運用シーンにおけるコスト面での課題も、オンラインストレージが解決してくれます。 まず時間コストの問題です。オンプレミスでは、ストレージのスケール設計や対障害設計を終えて予算を計上して発注に入り、ストレージが現場に到着してから設置を開始、設置後は設計通りにセットアップ、といった具合に運用開始までに多大な時間を要します。 その点オンラインストレージであれば、必要な時にすぐに導入が可能なので、時間コストが大幅に削減できます。 また、オンプレミスによるストレージ運用では、その運用コストが下がることは基本的にありません。更には、ストレージ個々のサポート終了というリスクもつきまといます。 オンラインストレージであれば、利用者はその時のニーズに応じた適切なストレージサービスを選択したり、不要な部分をスケール縮小したりすることによって、運用コストを下げられます。サポート終了といった問題も意識する必要がありません。

AWSのストレージサービス比較

オンラインストレージのメリットについて理解頂いたところで、具体的にAWSのストレージサービスについて見ていきましょう。 AWSのストレージサービスには、タイプ別にオブジェクトストレージ、ファイルストレージ、ブロックストレージの3種類があります。以下、個別に解説していきます。

オブジェクトストレージとは?

オブジェクトストレージは、データを「オブジェクト」と呼ばれる可変長単位で管理するストレージで、AWSの代表的なストレージサービスであるS3は、このオブジェクトストレージとして提供されています。 いわゆる「イレブンナイン(99.999999999%)」と呼ばれる非常に高い耐久性を誇り、容量が無制限、低コストといった特長を備えています。一方で、「結果整合性モデル」を採用しており、更新や削除などの反映に遅延が生じるという特性も持っています。 高い信頼性やスケーラビリティを生かして、大容量データの保存やバックアップデータ、分析データの保存などに活用されています。

ファイルストレージとは?

ファイルストレージは、データを「ファイル」と呼ばれる可変長単位で管理するストレージで、AWSではAmazon Elastic File System(EFS)、Amazon FSx for Windows File System、Amazon FSx for Lustreがファイルストレージとして提供されています。 ディレクトリ(フォルダ)構造という管理方式を採用し、普段私たちが利用するPCのフォルダとファイルをイメージしてもらえれば分かりやすいでしょう。複数のEC2インスタンスから同時にアクセスが可能となっています。 大規模コンテンツリポジトリやユーザーホームディレクトリなどに利用されます。

ブロックストレージとは?

ブロックストレージは、データを「ブロック」と呼ばれる固定長単位で管理するストレージで、AWSではAmazon Elastic Block Store(EBS)の他、EC2インスタンスの揮発性ストレージであるインスタンスストアが、ブロックストレージとして提供されています。 データがブロック単位に切り分けられ分散して格納されるため、データ取得が迅速であり、ブロックをパーティション化することで、異なるOSからアクセス可能となります。一方で、コストは高くなるという特性も持っています。 低レイテンシストレージが求められる企業アプリケーションや、定期的なバックアップなどの用途で利用されます。

ファイルサーバとしてのAWSストレージサービス

AWSにおけるオンラインストレージをタイプ別にご紹介したところで、それぞれのタイプのオンラインストレージを、ファイルサーバとして活用するケースについて見ていきましょう。

ファイルサーバとしてのオブジェクトストレージ

オブジェクトストレージであるAmazon S3を、ファイルサーバとして構築するケースについて説明します。 まず前提として、S3はOS標準のファイルシステムと異なるため、それ単体ではEC2インスタンスから直接マウントして利用できません。そのため、AWS Storage Gatewayというサービスを間に組み込む必要があります。 大まかな構築手順としては、S3のバケットとStorage Gatewayのファイルゲートウェイを作成し、これらをファイル共有設定で同期させたら、ファイルサーバ用に起ち上げたEC2インスタンスからS3バケットをマウントする、という流れになります。 S3は、ファイルの作成・更新・削除などの反映に遅延が生じるというパフォーマンス上のデメリットはありますが、高い耐久性や可用性を生かしてバックエンドでの運用に適しています。またコストを低く抑えたい場合にも有力な選択肢となります。

ファイルサーバとしてのファイルストレージ

ファイルストレージであるAmazon EFSとAmazon FSxを、ファイルサーバとして構築するケースについて説明します。 なお、Amazon EFSは、LinuxやUnixで利用されるNFSと呼ばれるファイルシステムを提供し、Amazon FSxは、Windowsファイルシステム(for Windows)またはLustreファイルシステム(for Lustre)を提供します。

Amazon EFSのケース

Amazon EFSは、構築手順がシンプルで素早く構築できるため、AWSにおけるファイルサーバとしてごく自然な選択肢と言えます。 EFSで構築したファイルサーバは、複数のEC2インスタンスからマウントやアクセスが可能です。また、フルマネージドファイルシステムサービスのため、フェイルオーバーの管理やバックアップなどの運用負荷を軽減することができます。 大まかな構築手順としては、作成・起動したEC2インスタンスに対して外部からSSH接続し、EFSファイルシステムを作成して、これをEC2にマウントするという流れになります。

Amazon FSxのケース

Amazon FSxは、EFSに比べて構築に時間がかかるものの、やはりフルマネージドサービスとして運用負荷の軽減というメリットを享受できます。またfor Windowsは、Windowsアプリケーションが共有ファイルストレージとしてアクセスが可能という利点もあります。 大まかな構築手順としては、WindowsのEC2インスタンスを作成しリモートデスクトップで接続します。続いてFSxファイルシステムを作成し、EC2インスタンスからマウントするという流れになります。

ファイルサーバとしてのブロックストレージ

ブロックストレージであるAmazon EBSを、ファイルサーバとして構築するケースについて説明します。 EBSを使ったファイルサーバは、構成が非常にシンプルでオンプレミスからの移行も容易です。また、スナップショット機能によりデータのリストアやバックアップが容易に行えます。一方で、拡張が煩雑であったりEC2が単一障害点になったりすることに注意する必要があります。 大まかな構築手順としては、作成したEC2インスタンスに外部からSSH接続し、EBSボリュームを作成してEC2にアタッチするという流れになります。

AWSでファイルサーバを使ってみよう

この記事では、前半でオンラインストレージを導入するメリットを、オンプレミスにおける課題解決という観点から説明しました。 後半では、AWSが提供する3タイプのストレージサービスをファイルサーバとして活用する場合に、判断基準となる特性や簡単な導入の流れを説明しました。 それぞれのストレージサービスの特性を把握することで、目的やユースケースに応じたファイルサーバの構築に役立ててください。]]>

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この記事の監修者・著者

株式会社オープンアップITエンジニア
株式会社オープンアップITエンジニア
未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを支援するサイト「キャリアチェンジアカデミー」を運営。これまで4500人以上のITエンジニアを未経験から育成・排出してきました。
・AWS、salesforce、LPICの合計認定資格取得件数:2100以上(2023年6月時点)
・AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞

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