2021/04/26

AWSにおける「マイクロサービス」とは?その概要やメリットについて解説します!

 
  

AWSにおける「マイクロサービス」とは?


AWSにおける「マイクロサービス」とは、小規模(マイクロ)なAWS上のサービスを複数組み合わせることで、1つのソフトウェアやソリューションを構成する考え方のことです。

これらのサービスは、AWS上ではそれぞれ独立(個別のインスタンス)しています。サービス間での情報のやり取りは、AWSの各サービスで用意された「API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)」によって行われます。

そして、「マイクロサービス」に基づいたアーキテクチャ(基本設計や設計思想)のことは、「マイクロサービス・アーキテクチャ」と呼ばれています。

最初に、AWSでの「マイクロサービス」が生まれた理由やその利点について解説していきます。

「マイクロサービス・アーキテクチャ」とは?

「マイクロサービス・アーキテクチャ」とは、「マイクロサービス」の考え方をベースにし、アプリケーションのスケール(※ここではシステム全体の処理能力を向上すること)や開発期間の短縮を目指したアーキテクチャです。

具体的には、AWSにおける「マイクロサービス・アーキテクチャ」のアプリケーションは、独立した複数の「コンポーネント」で構成されます。この「コンポーネント」は、AWS上の単一「サービス」としてアプリケーション実行されます。

この「サービス」は、ここでは「マイクロサービス」に該当しますが、単一の機能のみを実行し、軽量のAPIによってサービス間で通信が行われます。

「マイクロサービス・アーキテクチャ」の特徴

「マイクロサービス・アーキテクチャ」の特徴は、AWS上で「サービス」が独立している点です。

具体的には、「サービス」は独立したアプリケーションとして実行されるため、サービスごとにデプロイやアップデートすることが可能です。またサービスを多数のAWSインスタンスを並列化することによって、いわゆる「水平スケール」することもできます。

他にも、「サービス」が独立していて他のサービスに影響を与えないアーキテクチャであるので、アプリケーションとして特別な機能を盛り込むことも簡単に行えます。

一方で、複数の「サービス」が依存関係を持ったまま結合した状態のアーキテクチャのことを「モノリシック・アーキテクチャ」と呼びます。

「モノリシック・アーキテクチャ」とは?

「モノリシック・アーキテクチャ」とは、複数の機能(ここでは「コンポーネント」)が強固に結合されており、単一ながら大規模な「サービス」としてアプリケーション実行されるアーキテクチャのことです。

つまり、複数の機能で一塊の「コンポーネント」となっているため、これに含まれるいずれかの単一機能がボトルネックとなり、システムとしてスケールする必要が生じると、コンポーネント全体をスケールしなければならないという欠点があります。

「モノリシック・アーキテクチャ」の問題点

「モノリシック・アーキテクチャ」の問題点は、アプリケーションの機能を追加するにつれて、コンポーネントの大規模化が進み、コード体系の「複雑さ」が一層増大することです。

この「複雑さ」の増大によって、ビジネス的なサービスのトライアルが制限され、新規サービス等のアイディアの実装が難しくなります。

他にも「モノリシック・アーキテクチャ」は、アプリケーションの「可用性」にも影響をもたらします。

多数のサービスが強い依存関係で結合された状態でアプリケーションが実行されています。そのため、いずれかの単一サービスにでもシステム障害が発生した場合は、その影響がアーキテクチャ全体に伝播してしまいます。

「マイクロサービス・アーキテクチャ」は、「サービス」が独立していて他のサービスに影響を与えないアーキテクチャであるので、上記のような問題を解決することができます。

AWSの「マイクロサービス」の特徴について


AWSの「マイクロサービス」の特徴としては、「自律性」と「特殊化」があります。

これは「モノリシック・アーキテクチャ」のアプリケーションを分割して、「マイクロサービス」化にすることでも同様の特徴が生じます。

これらの特徴について、次に解説していきます。

「マイクロサービス」の特徴1:自律性

「マイクロサービス」の特徴として、「自律性」があります。

具体的には、「マイクロサービス・アーキテクチャ」を構成しているそれぞれのサービスは、他のサービスの機能に影響しないように、改修、リリース、アプリケーション実行、スケールすることが可能です。

また各サービスは、他のサービスとソースコードを共有していないので、開発も個別に実施できます。またコンポーネント間の通信は、APIのみで実施され独立性が保たれています。

「マイクロサービス」の特徴2:特殊化

「マイクロサービス」の特徴として、「特殊化」があります。

具体的には、各マイクロサービスは、特定の機能を果たすことにフォーカスして設計されています。つまり、サービスに複数の機能を持たせないようにするのがポイントとなります。

実際のサービス開発の際には、プログラマーが機能追加や改修等でコードを継続的に追加していくことになります。その結果、コードが複雑化してしまった場合には、サービスをより小さなサービスに分割することを検討することになります。

「マイクロサービス」の利点について


「マイクロサービス」の利点としては、「俊敏性」、「柔軟性のあるスケーリング」、「容易なデプロイ」、「技術的な自由」、「再利用可能なコード」、「耐障害性」の6点があります。

これらの利点について、詳しく解説していきます。

「マイクロサービス」の利点1:俊敏性

「マイクロサービス」の1つめの利点として、「俊敏性」があります。

「マイクロサービス」は、独立した小規模な複数のチームによって開発が行われます。またこれらのチームは少人数であるメリットを活かして、開発の背景や目的等が正確に共有され易く、自主性を持って迅速に開発を進めることができます。

この結果として、各サービスの開発サイクルが短縮されるので、プロジェクト全体として「俊敏性」を発揮することが可能です。

「マイクロサービス」の利点2:柔軟性のあるスケーリング

「マイクロサービス」の2つめの利点として、「柔軟性のあるスケーリング」があります。

具体的には、「マイクロサービス・アーキテクチャ」でシステムを構築することで、各アプリケーションの機能要求(改修や処理性能向上等)を実現するには、その機能を含む各サービスのみを個別にスケールすればよくなります。

また「柔軟性のあるスケーリング」によって、開発チームはインフラ基盤に対する性能要件を適正化しやすくなります。また各機能の開発コストを精確に見積りし、急激なシステムの負荷が発生しても対応できる「可用性」を維持することも可能となります。

「マイクロサービス」の利点3:容易なデプロイ

「マイクロサービス」の3つめの利点として、「容易なデプロイ」があります。

具体的には、「CI(継続的インテグレーション)」と「CD(継続的デリバリー)」によるデプロイが、「マイクロサービス」では実現しやすくなります。この容易なデプロイ手法を活かして、新規のアイディアを試行したり、不具合があった場合にはロールバックしたりすることが可能です。

デプロイが容易で迅速に行えることで、不良発生時のコストが抑えられます。そして、より高頻度で様々なサービスを試行し、改修のスピードや新規サービスの市場投入を加速させることもできます。

「マイクロサービス」の利点4:技術的な自由

「マイクロサービス」の4つめの利点として、「技術的な自由」があります。

具体的には、「マイクロサービス・アーキテクチャ」では、特定のツールやソフトウェアを必要としないため、各開発チームは、必要に応じて最適なツールを選択することが可能です。

「マイクロサービス」の利点5:再利用可能なコード

「マイクロサービス」の5つめの利点として、「再利用可能なコード」があります。

具体的には、ソフトウェアを小さなモジュール(マイクロサービス)に分割することで、開発チームは目的に合わせた機能を利用できるようになります。

例えば、ある機能用に開発されたマイクロサービスのコード類は、他の機能のための構成要素として再利用が可能となります。

「マイクロサービス」の利点6:耐障害性

「マイクロサービス」の6つめの利点として、「耐障害性」があります。

具体的には、各マイクロサービスが独立しているため、システム障害が発生した際に、他への影響が抑制されるため「耐障害性」が保たれます。

一方、「モノリシック・アーキテクチャ」では、単一のコンポーネントで障害が発生すると、アプリケーション全体に影響する可能性があります。

AWSで「マイクロサービス」を構築して開発効率化を目指そう!


AWS上での「マイクロサービス」について、その概要や実現するための「マイクロサービス・アーキテクチャ」について解説してきました。

また「マイクロサービス」の利点や、「モノリシック・アーキテクチャ」との比較で有利な点についても紹介してきました。

こちらの記事を参考に、AWSで「マイクロサービス」を構築して開発効率化を目指しましょう!

ITエンジニアへのキャリアチェンジならキャリアチェンジアカデミー

この記事の監修者・著者

株式会社オープンアップITエンジニア
株式会社オープンアップITエンジニア
未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを支援するサイト「キャリアチェンジアカデミー」を運営。これまで4500人以上のITエンジニアを未経験から育成・排出してきました。
・AWS、salesforce、LPICの合計認定資格取得件数:2100以上(2023年6月時点)
・AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞

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