この記事の目次
AWS EventBridgeとは
Amazon Web Services(AWS)のEventBridgeは、アプリケーションとデータの接続を簡易化するサービスです。
AWSサービス、Software-as-a-Service(SaaS)などのデータをリアルタイムで配信します。
CloudWatch Eventsをベースにしており、同じAPIやエンドポイントを使用できます。
AWS EventBridgeの特徴
この項目では、AWS EventBridgeの特徴についてご紹介します。
AWS内だけでなく外部からのデータも取り込み、指定した場所へルーティングします。統合先が非常に豊富で、対応幅が広いことも特徴です。
特徴1:スキーマレジストリ
スキーマレジストリは、イベントをスキーマとして格納するコンテナです。
ここに格納されたイベントは、検索することで簡単に発見できます。
イベントバスで検出を有効にしておくと、スキーマを自動作成するようになり、手間が省けます。
特徴2:カスタムコードの記述を減らせる
EventBridgeは、カスタムコードの記述を減らせます。
スキーマレジストリでは、Java、TypeScript、Pythonの3種類のコードバインディングを生成できます。これをJetBrainsやVisual Studio Code(VSCode)などのIDEに直接取り込むことが可能であり、自分でコードを記述する必要がなくなります。
特徴3:SaaSとの統合
EventBridgeは、SaaSと統合できます。
EventBridgeを通じて、SaaSのデータをAWSへ取り込めるようになります。それらをAWSのサービスで処理することで、さまざまな活用ができます。
統合可能なSaaSプラットフォームは多数存在します。これについては後の項目でも触れていきます。
特徴4:ルールによるアクションの自動化
EventBridgeでは、ルールを作成することで特定のイベントが発生した時に自動でアクションを実行できます。
データの変更をリアルタイムで反映する、Lambda関数を呼び出す、Simple Notification Service(SNS)で通知を送る、イベントをフィルタリングする、といったさまざまなアクションが行えます。
特徴5:管理が容易
EventBridgeはマネージド型サービスであり、管理が容易です。
取り込んだイベントの容量に応じて自動でスケーリングする機能が搭載されています。また、サーバを使用しないため、それらの構築やプロビジョニングなどが不要です。
特徴6:統合可能なAWSサービスが豊富
EventBridgeは、多様なAWSサービスと統合しています。
Elastic Compute Cloud(EC2)、Lambda、SNS、Simple Queue Service(SQS)、Step Functions、Kinesis Data Streams、Kinesis Data Firehoseなど、その数は90種類以上にのぼります。CloudTrailを使用すれば、APIの呼び出しにも対応できるようになります。
公式ドキュメントに具体例があるので、合わせてご覧ください。
特徴7:イベント駆動型アーキテクチャを構築できる
EventBridgeは、イベント駆動型のアーキテクチャを構築できます。
イベントソースとターゲットを疎結合化する機能があり、互いの認識をせずにイベントを配信できます。これにより、開発を高速化させられます。
特徴8:信頼性が高い
EventBridgeは、高い信頼性を保つ設計が施されています。
アクセス権限がない、ネットワークの異常などでイベントの配信が正常に行われなかった場合、再試行する機能があります。SQSのデッドレターキューを使用すれば、配信に失敗したイベントを保存できるようになり、作成したイベントが消えてしまう心配がなくなります。
サービスレベルアグリーメント (SLA)も提供されており、高い可用性を保証しています。
特徴9:セキュリティ機能が豊富
EventBridgeは、豊富なセキュリティ機能を持ちます。
Identity and Access Management(IAM)によるアクセス権限の設定、Virtual Private Cloud(VPC)エンドポイントやTransport Layer Security(TLS)による暗号化などが行えます。また、SOC、PCI、FedRAMP、HIPAAなどのコンプライアンスレポートも使用できます。
AWS EventBridgeと統合可能なSaaSプラットフォーム
この項目では、AWS EventBridgeと統合可能なSaaSプラットフォームについて実例をご紹介します。
Zendesk、Whispir、MongoDB、Auth0、Segment、Shopify、BuildKite、Datadog、OneLogin、PagerDutyなど、種類は多岐にわたります。
数が多いため、ここでは一部を抜粋してご紹介します。すべてのプラットフォームについては、公式ドキュメントをご覧ください。
Zendesk
Zendeskは、企業と顧客のコミュニケーションを円滑化するカスタマーサービスです。
チャット、SNS、メール、電話など、さまざまな連絡手段に対応し、顧客に合わせた最適なサポートができます。
EventBridgeを使用してAWSにデータを送ることで、分析や機械学習、ビジネスインテリジェンス(BI)などに活用でき、サポートの改善に役立てられます。
MongoDB
MongoDBは、データ処理に適したドキュメント型データベース(NoSQL)です。
Atlas、Realm、Chartsなどの種類が存在し、高可用性データベース、開発サポート、データ可視化といったサービスを提供しています。
EventBridgeと統合することでAWSのサービスを使用できるようになり、開発体制を強化できます。
Auth0
Auth0は、ID管理をサポートする認証プラットフォームです。
ログイン画面のような認証システムを簡単に作成できます。多要素認証(MFA)、シングルサインオン(SSO)、ステップアップ認証などの機能を導入することも可能です。
EventBridgeと統合することで、ユーザーの活動をイベントとしてキャプチャし、使用状況を可視化します。
Segment
Segmentは、顧客データを管理するプラットフォームです。
顧客に関するデータを収集し、マーケティングや分析、製品開発などの分野に活用できます。
EventBridgeを通じて、AWSに顧客データを送ることができます。さらに、SQSなどを使ってデータの分析・処理が可能になります。
Shopify
Shopifyは、ECサイトを作成するツールを提供するプラットフォームです。
自前のECサイトを簡単に作れる他、マーケティング、売上、顧客などの管理を一元的に行えます。
EventBridgeと統合することで、データを同期したり、製品タグを抽出・更新したりできます。
BuildKite
BuildKiteは、継続的インテグレーションのパイプライン(CI/CDパイプライン)を形成するプラットフォームです。
Windows、Mac、Dockerなどさまざまな環境でパイプラインを形成し、アプリケーションのビルドやテストなどを自動化できます。
EventBridgeと統合することで、パイプラインのモニタリング、通知の発信などの機能を取り入れられます。
AWS EventBridgeの料金
AWS EventBridgeの料金は、取り込んだイベントの数によって決定します。
東京リージョンの場合、イベント100万件ごとに1.00USD(約105円)の料金が発生します。スキーマの検出機能での使用に限り無料利用枠が存在し、月500万件まで無料です。
出典:Amazon EventBridge の料金
参照:https://aws.amazon.com/jp/eventbridge/pricing/
AWS EventBridgeを活用しよう
この記事では、AWS EventBridgeについてご紹介しました。
さまざまなリソースからデータを取り込み、AWSのサービスを使って分析や処理、リアルタイム配信などが行えます。コード記述の省略やリソースの疎結合化により、開発速度の向上にも繋がります。
アプリケーションにAWSの機能を取り入れたい方は、検討してみましょう。
この記事の監修者・著者

-
未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを支援するサイト「キャリアチェンジアカデミー」を運営。これまで4500人以上のITエンジニアを未経験から育成・排出してきました。
・AWS、salesforce、LPICの合計認定資格取得件数:2100以上(2023年6月時点)
・AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞
最新の投稿
- 2023年12月6日キャリア・転職システムエンジニアへのキャリアチェンジで必要な資格は?
- 2023年12月6日キャリア・転職キャリアチェンジでエージェントを活用するメリット
- 2023年12月6日キャリア・転職プログラマーへのキャリアチェンジに必要な資格は?
- 2023年12月6日キャリア・転職サーバーエンジニアへのキャリアチェンジで必要な資格は?