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インスタンスとは

英語のinstanceが語源
今回紹介するインスタンスとは、英語のinstanceが語源のIT用語です。英語のinstanceの意味は、「事実」「実例」「実態」といった意味を示す名詞で、a past instance(過去の事例)やin this instance(この場合)といった使われ方をします。 特にプログラミング言語では抽象的なものがよく使われます。そしてその抽象的なものを実際に利用するには実体化させなければなりません。抽象的なものを実体化させたものが、instance「実例」に当たるインスタンスです。オブジェクト指向言語で使われる
先ほどインスタンスとは、抽象的なものを実体化させた場合に使われると紹介しましたが、よく使われるのがオブジェクト指向のプログラミング言語におけるインスタンスです。 オブジェクト指向言語のプログラム言語では、設計図にあたるクラスをプログラムの中で実体化させて利用します。つまりこの実体化したプログラムがインスタンスです。 クラスは実体を伴わないので、それだけではプログラムとして動作はしません。しかし、newメソッドなどでインスタンスにすることで、実際に動作するプログラムとして使用できます。仮想サーバーもインスタンスと言う
先ほどオブジェクト指向言語で使われるインスタンスを紹介しましたが、インスタンスが使われるはプログラム言語だけではありません。 今のクラウド環境では、仮想化技術を使った1台の物理的なサーバー用コンピューターで幾つものOSが起動しており、それぞれのOSがサーバーとして稼働しています。 そして、まるで設計図のようなファイルが、仮想化技術を利用することでサーバーとして実体化し、そのサーバーでアプリケーションを実行しています。 インスタンスとは、クラウドで新規に設定した仮想サーバーを指す言葉としても使われます。インスタンスは仮想サーバー

仮想化技術
WindowsなどのOSは、パソコンを構成するハードウェアとアプリケーションのようなソフトウェアを仲介して、アプリケーションを動作させるための仕組みです。このようにOSがハードウェアを直接操作することから、パソコン1台につき1つのOSしか起動できません。 仮想化技術とは、1台の物理的なサーバーに、サーバーのハードウェアをエミュレートするソフトウェアを導入することで、複数のOSを同時に実行させる技術です。 ただし仮想サーバー上のOS1つにつき、最低でも1つのコアが必要です。とはいえ、最新のサーバー用CPUには50個を超えるコアが搭載されています。そのため、メモリーさえあれば1つの物理的なサーバーに10以上の仮想OSを起動することが可能です。インスタンスを作成するには
仮想サーバーは、サーバーのハードウェアをエミュレートするソフトウェアさえ同じなら、物理的なサーバーが違っていても動作します。 仮想サーバーを作成するには、物理的なサーバーにゼロからインストールするのと同じ方法も使用できますが、既に動作しているサーバーのメモリーイメージをコピーすることで新しい仮想サーバーの作成も可能です。 つまりサーバーのメモリーイメージをファイルとして用意しておけば、必要に応じてそれを読み込み、新規の仮想サーバーを起動できます。 このように抽象的なメモリーイメージから、仮想化技術を利用してOSを実体化したのが仮想サーバーです。先ほどインスタンスとは抽象的なものを実体化したものと説明しましたが、これにより仮想サーバーはインスタンスと呼ばれます。インスタンスによる仮想サーバーのメリット
インスタンスを利用した仮想サーバーのメリットとして、真っ先に上げられるのがクラウドの活用によるリソースの最適化と費用削減です。 先ほど紹介したように最新のサーバー用CPUを利用すれば、1台の物理サーバーに50もの仮想サーバーを起動できます。そのためクラウドで高価なサーバーとその保守を複数の企業でシェアすればコスト削減が可能です。 また、インスタンスとは、基はファイルのため容易にコピーが可能で、必要に応じて仮想サーバーを増やせます。さらに、物理的なサーバーにトラブルがあっても、短時間に復旧できる点もメリットです。 ただし、メリットだけではありません。クラウドで仮想サーバーを前提としたシステムを構築し運用するには高いスキルのエンジニアが必要です。そのためクラウドで仮想サーバーを運用する場合でも、その管理を任せられるエンジニア確保が課題です。インスタンス作成の例

クラウドサービスを利用するには
クラウドサービスを利用するには、アカウントを登録しなければなりません。アカウントを利用することで、管理用のWebサイトにアクセスし、インスタンスの作成などが可能です。さらにアカウントにクレジットカードなどの支払い手段を紐づけして、利用したサービスに応じて課金されます。 AWSでは、専用のWebサイトにアクセスするだけでアカウント登録が可能です。そしてアカウントが登録できたらすぐにインスタンスを作成できます。 また、AWSでは1年間利用可能な無料枠が設定されており、一部のサービスを無料で試すことが可能です。試しにインスタンスを作って動作を確認したい場合は、この無料枠を利用してください。インスタンスを作成する手順
AWSの管理用Webサイトにログインすると、AWSの各機能を管理するコンソールが開きます。そしてインスタンスを管理する画面がAmazon EC2 ダッシュボードです。 AWSでインスタンスを作成する手順は、Amazon EC2 ダッシュボードで「インスタンスを起動」をクリックし、Amazon マシンイメージを選択して、さらにインスタンスタイプを選択し、その画面の「確認と作成」ボタンを押します。 なお、インスタンスに接続するにはキーペアが必要です。インスタンス作成手順の途中でキーペアを作成し、確実に保存してください。これだけでインスタンスが作成され、すぐに利用できます。インスタンスへの接続
AWSで作成したインスタンスに接続するには、先ほどの手順で作成したキーペアを使用します。AWSでインスタンスを作成すると、デフォルトのアカウントが1つ設定されており、そのアカウントとキーペアを利用した認証方式でログインできます。 例えばTeraTermやWinSCPなどでAWSのインスタンスに接続するには、ユーザー名に「ec2-user」などのデフォルトのアカウントを指定し、パスワードは指定せず、代わりに認証方式の秘密鍵にキーペアのファイルを指定してください。 この操作でネットワークに接続してあるサーバーと同じように操作できます。インスタンスなら簡単にサーバーを起動できる

この記事の監修者・著者

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未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを支援するサイト「キャリアチェンジアカデミー」を運営。これまで4500人以上のITエンジニアを未経験から育成・排出してきました。
・AWS、salesforce、LPICの合計認定資格取得件数:2100以上(2023年6月時点)
・AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞
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