2022/02/25

AWS 大阪リージョンがフルリージョンに拡張?障害対応のための活用法

 
  

AWS 大阪リージョンとは

AWSには、リージョンと呼ばれる概念があります。これは、世界中の都市に設置されているデータセンターを指します。日本国内には、東京と大阪にAWSのリージョンがあります。AWS大阪リージョンとは、大阪に設置されているAWSのデータセンターのことです。 大阪リージョンは、簡単にいうと、立ち上げ時には機能限定されていたものが、東京と同じ機能をもつリージョンに拡張している途中なのです。 ローカルリージョンについては、後の節で詳しく説明します。

なぜ大阪リージョンが必要なのか

さて、なぜ東京にリージョンがすでにあるのに、大阪にもリージョンが必要なのでしょうか。 1つの理由は、東京に加えて、大阪にリージョンがあると障害に強いシステムが実現可能であるからです。 クラウドで実現されたシステムには、機器や部品の故障、災害などの障害がつきものです。このような障害が起こった時にもサービスを停止せずにすむように、AWSではさまざまな機能が二重に設けられています。万が一、あるリージョンに設置したシステムに大規模な障害が起こった場合に、バックアップのシステムに切り替えることができると、システム全体の信頼性を向上させることができます。 大規模な障害といっても、停電や地震や火事などいろいろなパターンが考えられます。バックアップのシステムがあまり地理的に近くにあると、地震などの場合にバックアップ側も同じ被害を受けて、バックアップとして使用できないことがあり得ます。 そこで、東京から地理的に離れた大阪にリージョンを設けることに意味があるのです。システムを障害で停止させることなく稼働できることを可用性(Availability)とよびます。つまり、大阪リージョンとして、東京と同じクラスのリージョンが大阪にあることで、高い可用性を持つシステムを実現出来ると言えます。 さらにもうひとつ、AWS大阪リージョンの利点があります。AWS大阪リージョンがあると、西日本のユーザーは現在よりも低いレイテンシでリージョンにアクセスできます。 例えば広島や大阪といったエリアのユーザーが東京リージョンにアクセスするには、東京のユーザーより当然通信回線のレイテンシが多くかかります。地理的に近い場所へのアクセスが早いのは当然のことです。サービスによっては、アクセスに必要なレイテンシは重要なポイントになりえますので、アクセスのレイテンシが少なく出来ることは大きな利点です。

大阪ローカルリージョンの特徴

大阪ローカルリージョンは、東京リージョンと広帯域の専用ネットワークで接続されています。 また、現在の大阪リージョンはローカルリージョンです。バックアップ用途として使われることを主に想定しているため、さまざまな制限があります。 ・アベイラビリティゾーン(AZ)の数が1つのみです。 ・大阪リージョン単体での利用はできません。 ・オンデマンドインスタンスがありません。 ・利用できるEC2インスタンスタイプに制限があります。 ・利用には事前の申し込みと、審査が必要です。 現時点では制約が多くて使いづらい状況ですが、これらの制限は大阪がフルリージョンになった場合には解除される予定です。フルリージョンになる時期は2021年初頭とアナウンスされています。

アベイラビリティゾーン(AZ)とは

アベイラビリティゾーン(AZ)とは、物理的に独立しているデータセンター内の単位です。 インスタンスを起動する時に、どのアベイラビリティゾーンを使うか自分で選ぶことができます。また、自動的に選ばれるようにもできます。 あるインスタンスで障害が発生した場合に、他のインスタンスに素早くアドレスをマッピングすることもできます。 アベイラビリティゾーンは、具体的にはリージョンコードとそれに続く文字によって表現されます。例えば、東京リージョンのリージョンコードはap-northeast-1なので、アベイラビリティゾーンの名前はap-northeast-1-1a等となります。

大阪リージョンのDR(障害復旧)シナリオ

DR(Disaster Recovery)シナリオとは、障害が起こった時の回復方法、対応方法をあらかじめ検討したシナリオです。大阪リージョンではバックアップ・リストア、パイロットライト、ワームスタンバイ、ホットスタンバイに対応します。 障害とは、例えば、停電、火災、洪水、ハードウェアの障害、人為的なミスなどがありえます。これらの障害でサービスが停止すると、ビジネスに大きな影響を与えます。そこで、障害が起こった場合の対応計画は、事前に十分検討した上で対応プロセスを作成しておく必要があります。 また、システムの用途や目的によってこの障害への対応にどの程度投資できるか、どこまでのデータ損失や停止期間が許容できるかなどは変わってきます。よってシステムに応じてDRシナリオを検討しておく必要があります。 次に、現在の大阪ローカルリージョンで、技術的に対応可能なDRシナリオについて説明します。ここでは簡単に概略のみまとめましたが、詳しくは以下AWS社公式資料を参照してください。
20180717 AWS Black Belt Online Seminar AWS大阪ローカルリージョンの活用とAWSで実現するDisaster Recovery

バックアップ・リストア

バックアップ・リストアは、全てのデータをAWS S3にあらかじめ退避させておくDRシナリオです。障害が起こった時には、あらかじめ退避させておいた、このバックアップイメージを使って復旧させます。 他のDRシナリオに比べて、復旧に時間がかかることが短所ですが、DRのためのコストは低減できます。

パイロットライト

パイロットライトは、システムの重要なコンポーネントをあらかじめ実行させておくDRシナリオです。 多くの場合、データベースが復旧に時間がかかるケースが多いので、データベースを常時実行させておきます。バックアップ・リストアに比較して復旧時間が短くできます。 例えば東京リージョンがメインのサイトの場合に、大阪リージョンをDR用のサイトとして、データベースのみ大阪リージョンで実行します。この場合、当然大阪リージョン側にもインスタンスの費用が必要となります。

ワームスタンバイ

ワームスタンバイは、パイロットライトよりさらに多くのコンポーネントを実行させておくDRシナリオです。 パイロットライトよりも多くのコンポーネントが動作しているので、システムの復旧時間はさらに短くできます。また、インスタンス等のコストはさらに増加します。

ホットスタンバイ

ホットスタンバイは、本番サイトの完全なコピーを常時動かしておくDRシナリオです。メインサイトの障害を検出した場合に、すべてのトラフィックをDRサイト側に転送することで、障害時には素早く復旧することが可能です。 ただし、ここで挙げた4通りのDRシナリオの中では、コストは一番高価な構成になります。

AWS大阪リージョンのまとめ

AWS大阪リージョンとは、大阪に設置されているAWSのデータセンターです。現在はローカルリージョンと呼ばれるバックアップ用途の構成であり、機能制限も多いのです。しかし、東京リージョンと同じ機能をもつフルリージョン化を目指して現在拡張をしています。 大阪にリージョンがある利点は2つあります。まず、東京にメインサイトがある場合の障害対応のためのバックアップとして活用出来ることがあげられます。大阪リージョンはDR(障害対応)シナリオとして4つのパターンに対応しています。 さらに、西日本のユーザーにとっては、地理的に近い大阪にデータセンターがあるので、アクセスレイテンシの低下が期待できます。]]>

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この記事の監修者・著者

株式会社オープンアップITエンジニア
株式会社オープンアップITエンジニア
未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを支援するサイト「キャリアチェンジアカデミー」を運営。これまで4500人以上のITエンジニアを未経験から育成・排出してきました。
・AWS、salesforce、LPICの合計認定資格取得件数:2100以上(2023年6月時点)
・AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞

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