AWSとは
AWSとは世界的なネット通販企業のAmazonが提供しているクラウドコンピューティングサービスです。
AWSは世界的なシェアを獲得しているクラウドプラットフォームで、コンピューティングやストレージ、データベース、人工知能や機械学習などのさまざまなサービスを提供しています。
また、世界中にデータセンターがあり、日本でも多くのユーザーがAWSのサービスを利用しています。
Azureとは
Azureとはマイクロソフトが提供しているクラウドコンピューティングサービスです。
2010年に「Windows Azure」としてリリースされたサービスで、2014年に現在の「Microsoft Azure」に名称変更が行われました。
AzureもAWSと同様に使用した分だけ支払う従量課金制となっており、AWSやGoogleのGCPと並ぶ人気のクラウドサービスとなっています。
AWSとAzureの違い
AWSは幅広いサービスを提供しているのに対して、Azureは専門特化しているという特徴があります。
AWSは175種類以上の豊富なクラウドサービスを提供しており、さまざまな分野で活用できます。一方、Azureは特にAI分野の開発に注力しており、マイクロソフト製品との連携をスムーズに行うことが可能です。
そのため、それぞれ異なる特徴を持ったクラウドコンピューティングサービスとなっています。
AWSとAzureのシェア推移3つ
AWSとAzureのシェア推移をご紹介します。
世界的な大手クラウドコンピューティングサービスであるAWSとAzureですが、それぞれ分野ごとのシェアはどのような割合になっているのでしょうか。
ここではAWSとAzureのシェア推移3つをご紹介しますので、どのように推移しているのか参考にしてみてください。
AWSとAzureのシェア推移1:IaaS分野
IaaS分野でのシェアはAWSが約45%、Azureが約18%となっています。
世界のIaaS市場の規模は約44ビリオンドルとなっており、2018年と2019年を比較すると市場成長率は約37%と拡大を続けています。
また、IaaS市場ではAWSがトップのシェアを獲得しており、2019年でのIaaS型クラウド市場でのシェアは1位のAWSが約45%、2位のAzureが約17%という結果になっていました。
AWSとAzureのシェア推移2:IaaS・PaaS分野
IaaS・PaaS分野でのシェアはAWSが約40%、Azureが約20%となっています。
IaaSとPaaSを合わせたクラウドサービス市場では、AWS、AzureのシェアはIaaS市場とは割合が異なっています。
また、特にAzureを提供するマイクロソフト社のシェアの上昇が著しく、急速な下降ではないものの少しずつシェアを下げているAWSとの差を縮めている状況です。
AWSとAzureのシェア推移3:IaaS・PaaS・ホステッドプライベート分野
IaaS・PaaS・ホステッドプライベート分野でのシェアはAWSが約33%、Azureが約18%となっています。
米調査会社のSynergy Research Groupがクラウドインフラと呼んでいるIaaS・PaaS・ホステッドプライベートクラウドを合わせた市場では、AWSがトップのシェアを獲得しているものの、全体でのシェアは下がっていました。
そのため、2位のAzureとの差はより近くなっています。
AWSの戦略性3つ
AWSの戦略性をご紹介します。
Azureと共に世界のクラウドコンピューティングサービス市場を牽引しているAWSですが、その戦略性にはどのような特徴があるのでしょうか。
ここではAWSの戦略性3つをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
AWSの戦略性1:サービス機能面
AWSは非常に種類豊富なサービスを提供しています。
AWSのサービス機能面の特徴として大きいのが、AWSが提供する175種類を超える膨大な数のサービスです。
他社のクラウドサービスでは手が届かないようなサービスや機能を網羅しており、さらに1ライセンスという最小構成から、グローバル企業規模のエンタープライズまで対応可能となっています。
AWSの戦略性2:パートナー選び
AWSはパートナーを実績に応じてランク分けしています。
パートナーは「プレミア」「アドバンスド」「スタンダード」にわかれており、毎年パートナー登録月に要件を見直し、パートナーのランクを判定して3カ月の猶予を設けた後でランクダウンなどを行うしくみです。
また、特定領域に強みを持つパートナーを認定する「コンピテンシー」という仕組みもあり、現在はコンピテンシー取得を増やす方向で推進しています。
AWSの戦略性3:アプリケーション面
AWSのアプリケーション基盤は「AWS Elastic Beanstalk」です。
アプリケーション面での特徴では、アプリケーション作成を簡単に行える環境としてマネージドな「AWS Elastic Beanstalk」を提供しています。
そのため、ユーザーはインフラ環境を気にすることなくアプリケーションの開発作業に専念することができます。
Azureの戦略性3つ
Azureの戦略性をご紹介します。
ここまでAWSの戦略性についてご紹介しましたが、一方でクラウドサービス市場2位のAzureはどのような戦略性を持っているのでしょうか。
ここではAzureの戦略性3つをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
Azureの戦略性1:サービス機能面
Azureは特定の業界に強いサービスを提供しています。
前述のとおり、Azureはマイクロソフト社が提供する既存サービスとの連携やデータ移行に強みを持っています。そのため、Microsoft365などの他のクラウドサービスやアプリケーションからの移行もスムーズです。
また、Azureは金融業界や航空業界、電力業界などの業界の課題解決に特に強みを持っているのが特徴的です。
Azureの戦略性2:パートナー選び
Azureもパートナーにコンピテンシーを設定しています。
AWSと同じくパートナーの強みを示すためのコンピテンシー制度を設けており、認定資格取得者数や顧客事例といった実績に応じて「Gold」「Silver」などのランクが設けられています。
また、パートナーとしてコンピテンシーを取得したベンダーは、サポートやロードマップ情報の参照などの特典を受けることが可能です。
Azureの戦略性3:アプリケーション面
Azureのアプリケーション基盤は「Azure Web Apps」です。
AzureもAWSと同様に、マネージドなアプリケーション開発環境として「Azure Web Apps」を提供しています。そのため、Azureを利用することで、開発者はアプリケーション開発のみに専念できます。
AWSとAzureの今後の推移
今後AWSとAzureの差は縮まっていくでしょう。
現在はクラウドサービス市場での高いシェアを獲得しているAWSですが、IaaS、PaaS、ホステッドプライベート市場まで含めたクラウドインフラ市場ではAWSの優位性は大きくはありません。
また、AWSよりもAzureの成長率が上回っていることから、今後は両者の差は縮まっていくことが予想できます。
AWSとAzure以外にも注目
クラウドサービスにはAWSとAzure以外にも多くの種類があり、その中でも特に中国のAlibabaやGoogleのGCPが高いシェアを獲得しています。
また、市場全体の成長率が約37%であるのに比べてAWSの成長率は29%と低く、逆に中国のTencentは約101%の成長率を獲得していることからも、今後は他のクラウドサービスの成長にも注目するべきでしょう。
AWSとAzureのシェアを把握しよう
AWSとAzureは世界のクラウド市場で1位2位のシェアを獲得しています。
しかし市場規模の拡大と比較してAWSの成長率は低く、市場でのAWSのリードは減りつつあります。
ぜひこの記事でご紹介したAWSとAzureのシェア推移やAWSとAzureそれぞれの戦略性などを参考に、今後のクラウドコンピューティングサービスのシェアの推移にも注目していきましょう。]]>
この記事の監修者・著者
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株式会社オープンアップITエンジニア
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未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを支援するサイト「キャリアチェンジアカデミー」を運営。これまで4500人以上のITエンジニアを未経験から育成・排出してきました。
・AWS、salesforce、LPICの合計認定資格取得件数:2100以上(2023年6月時点)
・AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞