この記事の目次
AWS Cost Explorerとは
Amazon Web Services(AWS)のCost Explorerは、AWSサービスのコストと使用量をグラフとして表示するサービスです。AWS Cost Managementの1つです。
過去12カ月分の使用歴を表示できる他、データや傾向を分析して、将来どの程度のコストや使用量になるかを予測します。
AWS Cost Managementとは
AWS Cost Management(コスト管理)は、AWSサービスのモニタリング、コストの分析・管理などを行えるサービスの総称です。
タグ付け、見積もり、スケーリング、使用状況のグラフ化など、コスト管理に便利な機能を持つサービスがまとめられています。
Budgets、レポート、Cost Anomaly Detection(コスト異常検出)などがあります。
AWS Cost Explorerの特徴7つ
この項目では、AWS Cost Explorerの特徴を7つご紹介します。
使用状況をグラフとして可視化することで、その把握や理解がしやすくなります。また、今後の使用状況を予測する機能もあり、将来の設計に役立ちます。
棒グラフと折れ線グラフの2種類が用意されています。見やすい方を選択すると良いでしょう。
Budgetsを始め、他のCost Managementのサービスともよく併用されます。それらについても合わせて理解しておくと良いでしょう。
特徴1:デフォルトレポートを使用してすぐに開始できる
Cost Explorerにはデフォルトレポートが用意されており、すぐに使用を開始できます。
デフォルトレポートは全部で9種類が存在し、それをフィルタリングやオプションを使って改変していくことで、独自のレポートとして運用します。デフォルトを使用せずに最初から自分で作成することも可能です。
特徴2:グラフ表示を日ごとまたは月ごとに設定できる
Cost Explorerでは、グラフの表示を日ごとまたは月ごとのいずれかに設定できます。
使用状況を1日ごとにチェックする、1カ月間の累積をまとめて見る、双方のデータを基に細かな計画を立てるなど、さまざまな使い方ができます。
コストと使用状況タイプに限り、1時間ごとの表示も可能です。
特徴3:将来の使用状況を予測する
Cost Explorerは、これまでの傾向を分析して、将来のコストや使用量などを予測します。
最大12カ月分まで表示できます。今後の計画を立てる時や、リザーブドインスタンス(RI)やSavings Plansを導入する時の参考として役立ちます。
ただ、あくまでも予測なので、いくらかのズレはあります。これまでの使用状況の変遷が大きいほど、ズレも大きくなります。あまり鵜呑みにはせず、参考程度にするのが良いでしょう。
特徴4:フィルタリングやグループ化によるカスタマイズ
Cost Explorerにはフィルタリングやグループ化の機能があり、グラフをカスタマイズできます。
フィルタリングでは、選択したフィルターに該当するパラメータのみが表示されるようになります。必要分だけを表示することで、グラフが見やすくなります。
フィルターの種類として、使用タイプ、タグ、請求エンティティ、アベイラビリティーゾーン(AZ)、プラットフォームなどがあります。
グループ化では、フィルタータイプ別のグラフを表示します。細かい指定をすることなく絞り込みができます。ただ、グループ化したグラフでは将来の予測はできないので注意しましょう。
特徴5:レポートや設定を保存できる
Cost Explorerでは、レポートや設定を保存できます。
保存するには、名前をつけて保存を選択するか、URLをブックマークまたはお気に入りに追加します。
ブックマーク・お気に入りに追加したURLに入ると、追加された時点の設定で新しいデータを取得・表示します。
その他、データをCSVファイルでダウンロードして、その時点のデータを保持しておくこともできます。
特徴6:APIでプログラムからアクセスできる
Cost Explorerでは、APIを使用してプログラムからアクセスできます。
コストや使用状況、データベースなどのデータをプログラムで取得・表示させられます。AWS Software Development Kit(SDK)に対応するプログラミング言語であれば、SDKを用いることで簡単に操作できます。
APIリクエストは有料なので、使用する時は注意しましょう。
特徴7:Savings Plansを購入できる
Savings Plansは、1年または3年間の利用契約を結ぶことで、AWSサービスの費用を削減できる料金モデルです。Elastic Compute Cloud(EC2)、Fargate、Lambdaで適用できます。
Savings Plansは、Cost Explorerを通じて購入できます。レポートにも対応しています。
AWS Cost Explorerのレポートのタイプ
この項目では、AWS Cost Explorerにおけるレポートのタイプについてご紹介します。
コストと使用状況、RIの使用率および網羅率、Savings Plansの使用率および網羅率の5つのタイプに分別されます。コストと使用状況タイプでは、デフォルトで5種類のレポートが用意されています。
公式ドキュメントに詳細ページがあるので、そちらも合わせてご覧ください。
コストと使用状況
AWSサービスのコストや使用状況を表示します。
Daily costs、Monthly costs by linked account、Monthly costs by service、Monthly EC2 running hours costs and usage、AWS Marketplaceの5種類のデフォルトレポートが存在します。使っていきたい形に近いものを選ぶと良いでしょう。
RIの使用率
RIの使用率、時間数、削減額などを表示します。
EC2、Redshift、Relational Database Service(RDS)、Elasticsearch Service、ElastiCacheの5つのサービスにおけるRIをチェックできます。
購入分を充分に活用できているか、現状からどの程度節約できるかが分かります。
RIの網羅率(カバレッジ)
RIの網羅率(カバレッジ)を表示します。
使用中のインスタンスにおいてどれだけRIでカバーされているか、どれだけの金額を削減できるかなどをチェックできます。状況によってステータスバーが色分けされ、どのインスタンスがどのような状況かが分かりやすくなっています。
対応するサービスは、使用率と同様です。
Savings Plansの使用率
Savings Plansの使用率、対象の原価、適用時の金額と原価の差額を表示します。
購入分を充分に活用できているか、適用することでどの程度節約できているかが分かります。
Savings Plansの網羅率(カバレッジ)
Savings Plansの平均網羅率、削減できる金額、オンデマンドの金額が表示されます。
削減できる金額は、推奨事項に基づいて計算されます。推奨事項についての詳細は、公式ドキュメントをご覧ください。
AWS Cost Explorerの料金
Cost Explorerは、コストと使用量のグラフ表示は無料で使用できます。
APIを使用した場合、リクエストごとに0.01USD(≒約1円)の料金が発生します。また、使用状況のレコードを1カ月間に1000個生成するごとに0.01USDが課金されます。
基本的な機能を使う分には無料ですが、APIを使うか、細かくレコードを取得しようとした場合は、料金が発生する可能性があります。
The AWS Cost Explorer API lets you directly access the interactive, ad-hoc query engine that powers AWS Cost Explorer. Each request will incur a cost of $0.01.
The cost is $0.01 per 1,000 UsageRecords month. UsageRecords are defined as one line of usage.https://aws.amazon.com/jp/aws-cost-management/pricing/
AWS Cost Explorerでコスト管理しよう
この記事では、AWS Cost Explorerについてご紹介しました。
これまでのサービスの使用状況をグラフとして可視化し、把握しやすくします。将来の予測も行われるので、計画を立てやすくなります。
テンプレートとなるレポートがデフォルトで用意されているので、準備に手間をかけず、すぐに開始できます。サービスを効率良く使用していきたい方は、活用してみましょう。
この記事の監修者・著者

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未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを支援するサイト「キャリアチェンジアカデミー」を運営。これまで4500人以上のITエンジニアを未経験から育成・排出してきました。
・AWS、salesforce、LPICの合計認定資格取得件数:2100以上(2023年6月時点)
・AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞
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