2021/03/10

AWSのAmazon S3 Glacierとは?アーカイブ基盤として活用しよう!

 
  

AWSのAmazon S3 Glacierとは


AWSのAmazon S3 Glacierとは、AWSで利用できるAmazon S3のストレージクラスの1つです。

Amazon S3の中でも容量単位のコストが低く、3つのアベイラビリティゾーンへの冗長化を計り、耐久性は99.999999999%(イレブンナイン)のため、主にデータアーカイビングに利用されます。

このような特徴を持つAmazon S3 Glaicierの機能や導入メリット・料金体系について紹介していきます。

AWSのAmazon S3 Glacierの機能


AWSのAmazon S3 Glacierのサービスは通常のAmazon S3 Glacierと、Amazon Glacier Deep Archiveに分類され、それぞれ共通の機能と異なる機能・制約があります。

どのような機能や制約の違いがあるでしょうか。それぞれのサービスを比較しながら紹介していきます。

S3からの自動データ転送

Amazon S3 Glacierでは、Amazon S3の各ストレージクラス(標準、Intelligent-Tiering、標準IA、OneZone IA)からライフサイクルポリシーを設定することで、自動データ転送を実現できます。

ライフサイクルルールには、転送元のAmazon S3でデータを保管する期間、Amazon S3 Glacierへ移行後に保管する期間を設定する項目があります。

このライフサイクルポリシーを活用することで、必要なデータを一定期間保ちつつ、コスト最適なデータライフサイクルを実現できます。

ただし、Amazon S3 Glacierでは最低保存期間が90日で、Amazon S3 Glacier Deep Archiveでは180日のため、90/180日を待たずにデータを削除した場合でも残りの日数分を日割り計算で請求されることに注意が必要です。

データ取り出し機能

Amazon S3 Glacierには格納したデータを取り出す機能があり、取り出し速度が異なるモードが備わっています。

通常のAmazon S3 Glacierの場合、「迅速」、「標準」、「大容量」の3つのモードが存在します。迅速取り出しは1~5分、標準取り出しは3~5時間、大容量取り出しは5~12時間データの取り出しに時間を要します。

また、Amazon S3 Glacier Deep Archiveの場合、「標準」、「大容量」の2つのモードが存在します。Deep Archiveでの標準取り出しは12時間以内、大容量取り出しは48時間以内となります。

Amazon S3 Glacier Select

Amazon S3 Glacier Selectとは、保存されたアーカイブを全て復元することなく、必要なバイトだけを処理できる機能です。

Amazon S3 Glacier Selectがリリースされる以前は、処理が必要なバイトが限られた要件であっても、アーカイブ全体を復元する必要がありました。

Amazon S3 Glacier Selectを利用することで、データをアーカイブのまま復元することなくAmazon AthenaやAmazon Redshift Spectrumと連携できるようになります。

ポリシー設定機能

Amazon S3 Glacierには、ボールトに対する操作権限やユーザーに対するポリシーを設定できる機能があります。

そもそもボールトとは、アーカイブを格納するコンテナのことです。ボールトを1つの箱として複数のアーカイブを束ねることで、ボールトごとにタグ付けして検索時にフィルタリングを掛けたり、まとめてポリシーを設定したりと、統合的に管理ができます。

ボールトに対してポリシーを設定することでユーザー操作にロックをかけることを、ボールトロックと呼びます。

また、AWS Identity and Access Managementにより、IAMユーザーに対するAmazon S3 Glacierへのアクセスコントロールも可能です。

ボールトインベントリ

ボールトインベントリとは、ボールトが持つアーカイブ一覧の情報のことです。

ボールトインベントリはアーカイブの格納・取り出し時において即時に反映される訳ではなく、1日に1回の頻度で更新されます。

インベントリの情報は、CSVやJSON形式でエクスポートすることも可能です。

AWSのAmazon S3 Glacierを導入するメリット


AWSのAmazon S3 Glacierを導入するメリットについて、3つの観点で紹介します。

メリットを理解することで、AWSによるアーキテクチャ構築検討の際にAmazon S3 Glacierを採用するための判断基準を増やしていきましょう。

1. データのアーカイブ基盤を容易に導入できる

1つ目のメリットは、データのアーカイブ基盤を容易に導入できることです。

オンプレミスでデータをアーカイビングできるアーカイブ基盤を構築する手段の1つとして挙げられるのが、磁気テープを記憶媒体としたテープストレージです。

テープストレージは、記憶媒体であるテープカートリッジと、複数のテープカートリッジを格納できるテープドライブから構成されます。

アーカイブ基盤としてテープストレージを採用した場合、見積もり・設計・構築・運用など、管理面も含めた多くのコストと時間を要します。

Amazon S3 Glacierをアーカイブ基盤として採用することで、これらのコストと時間をかけずに、直ちに大量データのアーカイビングを実現できます。

2. AWSサービスとの連携で価値を高められる

2つ目のメリットは、AWSサービスとの連携で価値を高められることです。

マネジメントコンソール上のAmazon S3からGUI操作でAmazon S3 Glacierへデータのアーカイビングが可能な上、ライフサイクルポリシー設定による自動アーカイビングも可能です。

またAmazon S3だけではなく、S3 APIによるオブジェクト操作のリクエストも可能なため、AWS Lambdaと連携することも可能です。

3. 低コストでアーカイブ基盤を実現できる

3つ目のメリットは、低コストでアーカイブ基盤を実現できることです。

Amazon S3 Glacierは、AWSのストレージサービスの中で最も容量単価が低いサービスとなります。

Glacierを除くAmazon S3の中で最も容量単価が低いストレージクラスはS3 OneZone IAで0.0152USD/GBですが、Amazon S3 Glacierは0.005USD/GB、Amazon S3 Glacier Deep Archiveは0.002USD/GBとAmazon S3の低コストなストレージクラスと比較しても安価です。

AWSのAmazon S3 Glacierの料金体系


AWSのAmazon S3 Glacierでは、通常のAmazon S3 GlacierとAmazon S3 Glacier Deep Archiveで料金体系が異なります。

2つのサービスの料金体系はどのような違いがあるのでしょうか。コストの違いを理解し、安全にAWSアーキテクチャのアーカイブ基盤としてAmazon S3 Glacierを採用していきましょう。

Amazon S3 Glacierの料金体系

Amazon S3 Glacierの料金体系は、格納されている容量・データ取り出しでそれぞれ料金が異なります。

はじめに、1か月間格納されたアーカイブデータに掛かる料金は0.005USD/GBです。次に、取り出しは0.022USD/GBとなります。

Amazon S3 Glacier Deep Archiveの料金体系

Amazon S3 Glacier Deep Archiveの料金体系は、Amazon S3 Glacierと同様に格納されている容量・データ取り出しでそれぞれ料金が異なります。

はじめに、1か月間格納されたアーカイブデータに掛かる料金は0.002USD/GBです。次に、取り出しは0.005USD/GBとなります。

AWSのAmazon S3 Glacierの導入事例

AWSのAmazon S3 Glacierの導入事例について紹介します。

株式会社テレビ東京では、13PBにも及ぶテレビの映像アーカイブデータをAmazon S3・Amazon S3 Glacierへ移行することで、年間数千万円のメディア調達コストを削減しています。

Amazon S3でライフサイクルを設定し、自動でAmazon S3 Glacierへデータをアーカイブする方式を採用しています。

まとめ


AWSのAmazon S3 Glacierについて紹介しました。

3つのアベイラビリティゾーンによる冗長化により99.999999999%の耐久性を誇り、容量単価の低いAmazon S3 Glacierの強みを活かしたアーキテクチャを設計していきましょう。

また、Amazon S3と連携し、データのライフサイクルを上手に管理することで、必要なデータを残しつつ管理面を含めたコストの削減を検討していきましょう。

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この記事の監修者・著者

株式会社オープンアップITエンジニア
株式会社オープンアップITエンジニア
未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを支援するサイト「キャリアチェンジアカデミー」を運営。これまで4500人以上のITエンジニアを未経験から育成・排出してきました。
・AWS、salesforce、LPICの合計認定資格取得件数:2100以上(2023年6月時点)
・AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞

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