この記事の目次
AWSのインスタンスとは?
AWSとは、Amazonが提供するパブリッククラウド「Amazon Web Services」のことです。AWSでは 企業がコンピューティングで利用するさまざまなサービスを提供しています。
代表的なサービスでは、仮想サーバー「EC2」、リレーショナルデータベース「Relational Database Service(RDS)」、ストレージの「Simple Storage Service(S3)」などがあります。
AWS EC2
EC2とは「Amazon Elastic Compute Cloud」の略称で、AWSのサービスのひとつです。AWS上に仮想サーバーを構築できます。物理的にサーバーを構築すると準備に長期間かかりますが、EC2はWEBから数分で仮想サーバーを構築できます。
伸縮性や弾力性を意味するElasticという言葉どおり、EC2の利用中でもユーザーの必要に応じてスペックを柔軟に変更できます。
インスタンス
インスタンスとは、OSがインストールされた仮想サーバーのことです。AmazonのEC2はインスタンスという単位で、仮想サーバーを構築します。
インスタンスは複数作成して実行することもでき、アプリケーションサーバーとデータベースサーバーなどの、インスタンスを2つ作成して利用できます。EC2では必要に応じて複数のインスタンスを作成し、柔軟なインフラが構築できます。
AWS EC2のインスタンスを作成する7つの手順
これからEC2のインスタンスを作成する手順をご紹介します。
まずは、AWSマネジメントコンソールからAWSアカウントをセットアップし、ログインします。次に、EC2サービスへ移動します。 「サービス」をクリックし、一覧が表示されたら、「コンピューティング」の「EC2」をクリックします。
EC2サービスページが表示されたら、「インスタンスの作成」ボタンをクリックします。
インスタンスを作成する手順1:マシンイメージ(AMI)を決める
まずは、マシンイメージ(AMI)を決めます。Amazonマシンイメージ(AMI)は、ソフトウェア構成(OS、アプリケーションサーバー、アプリケーションなど)を記録しているテンプレートです。
Amazon LinuxやWindows Serverなど構築したい仮想サーバーのマシンイメージを選択し、次の手順に進みます。
インスタンスを作成する手順2:インスタンスタイプを選ぶ
続いて、インスタンスタイプを選択します。インスタンスタイプはさまざまなCPU、メモリ、ストレージ、ネットワークキャパシティーの組み合わせ構成です。構築したい仮想サーバーのリソースとして適切な組み合わせを選択できます。
インスタンスタイプは仮想サーバーの稼働後も変更が可能です。「t2.micro」などの必要なタイプを選択し、「次の手順:インスタンスの詳細の設定」をクリックします。
インスタンスを作成する手順3:インスタンスの詳細を設定する
続いて、インスタンスの詳細の設定を行います。この項目ではネットワークやサブネットの設定を行います。ネットワークではVPCを設定できます。
VPC(Virtual Private Cloud)とは、AWSアカウント専用の仮想ネットワークのことです。複数台サーバーを構築した際にはVPCを分けて、別ネットワークに配置することもできます。詳細を設定したあと「次の手順」に進みます。
インスタンスを作成する手順4:ストレージを追加する
ストレージの「サイズ」と「ボリュームタイプ」を選択できます。容量に応じて料金が変わります。
また一部のインスタンスタイプにはインスタンスストアというストレージがあります。インスタンスストアはインスタンスの停止、終了によって消去されるボリュームです。
Amazon EBS(Amazon Elastic Block Storage)は長期間データを保存できますが、料金がかかりますので、必要に応じて追加します。
インスタンスを作成する手順5:タグを追加する
次に、タグの設定を行います。この項目では作成するインスタンスにタグ付けすることで、他のインスタンスと区別できます。わかりやすくインスタンスに名前を付けられますが、設定を省略することもできます。
インスタンスを作成する手順6:セキュリティグループを設定する
次はセキュリティグループの設定を行います。セキュリティグループはEC2インスタンスの仮想ファイアウォールです。
タイプ「SSH」の「ソース」を「マイIP」に変更します。すぐ右の欄に現在アクセスしているIPが入力されます。「ルールの追加」をクリックし、「タイプ」を「HTTP」に、「ソース」を「任意の場所」に設定します。
HTTPSもHTTP同様に設定します。入力が終わったら「確認と作成」を押します。
インスタンスを作成する手順7:詳細を確認する
最後にインスタンス作成前の確認を行います。表示されている内容を確認し、「作成」ボタンをクリックします。「作成」を押すと「既存のキーペアを選択するか、新しいキーペアを作成します」のウィンドウが開きます。
SSH接続を行う場合はキーペアを作成し、ダウンロードします。ダウンロード後に「インスタンスの作成」を押すことができます。インスタンスのステータスがpendingからrunningになれば完了です。
AWS EC2を使う際のメリット3つ
Amazon EC2は、他の仮想サーバーやオンプレミスの物理サーバーに比べて次のようなメリットがあります。物理サーバー環境を構築する場合に比べて、ハードウェアを準備する初期費用や構築の手間がかからない点や、稼働までの期間の短縮なども大きなメリットです。
利用しながら柔軟に環境を増減できることもメリットです。それでは詳しく見ていきましょう。
AWS EC2を使うメリット1:サーバーを複製して使い分けられる
AMI(Amazon マシンイメージ)はインスタンスのソフトウェア構成 (OS、アプリケーションサーバー、アプリケーション)を含むテンプレートです。複製元となるインスタンスからAMIを作成し、AMIから新規のインスタンスを作成することでサーバーを複製できます。
本番環境から検証用の環境を構築したり、 開発サーバーから本番サーバーにコピーしたりと、サーバーを複製して使い分けることが可能です。
AWS EC2を使うメリット2:料金は稼働分のみ発生
EC2の料金は従量制で稼働した分だけ支払うため、最低限のコストで利用できます。料金は秒単位(最小課金時間は60秒)で計算されるので、無駄なコストがかかりません。
夜間や休日は利用しないサーバーであれば、インスタンスを停止させておくことでコスト削減ができます。オンプレミスの物理サーバーを構築する場合と比べて、大規模な初期費用や管理運用費を考慮せずに済みます。
AWS EC2を使うメリット3:自由にスペックを選べる
Amazon EC2では、さまざまなOSのAMIや、CPU・メモリなどのスペックタイプを多くのパターンから選択できます。そのため、利用用途に合わせたサーバーの構築ができます。
また、EC2の利用中にスペックタイプを変更することも可能です。高負荷が見込まれる時期にはスケールアップし、落ち着いたらスケールダウンさせることもできます。
AWS EC2を使う際の注意点3つ
柔軟に仮想サーバーを構築できるAmazon EC2ですが、利用するときには注意する点もあります。これから3つご紹介いたします。導入される前にチェックしておくと良いでしょう。
AWS EC2を使う際の注意点1:セキュリティを設定しないといけない
AWSではセキュリティについては「責任共有モデル」の考えをもとに、セキュリティの責任範囲をユーザーと共有しています。クラウドのハードウェア、およびサービスに関しては、AWSがセキュリティ対策を行ないます。
クラウド内にインストールするOSやアプリケーション、データ、およびAWSが提供するセキュリティグループのファイアウォールの設定などは、ユーザーがセキュリティを設定する必要があります。
AWS EC2を使う際の注意点2:データを別途保存する必要がある
EC2インスタンス作成手順のストレージの選択でも記載しましたが、データを保存するストレージを検討しておく必要があります。
多くは、AWSのサービスであるEBSやAmazon Simple Storage Service(Amazon S3)を利用します。EBSは仮想ディスクとしてマウントできます。S3はマウントできませんが、安価で大量にデータを保存できます。目的に応じて使い分けることが大切です。
AWS EC2を使う際の注意点3:機能が限られる
EC2は仮想サーバーを構築できる、コンピューティングサービスのみを提供しています。他に必要な機能がある場合は、ストレージと同じように、他のAWSのサービスを連携させて使いたいサービスを作る必要があります。
AWS Backupを利用して、EC2インスタンス全体のバックアップや、ELB(Elastic Load Balancing)を利用して、EC2の負荷分散を行うことができます。
AWSについて理解しインスタンスの作成をしてみよう
EC2などを利用してインフラを構築し、AWSのサービスやその他のソフトウェアなどを組み合わせることで、さまざまな機能を柔軟に、拡張性を持って活用できます。
AWSでは各種クラウドサービスを体験できるよう無料枠を設けています。まずはEC2を利用できる無料枠を活用して、インスタンスを作成してみましょう。AWSへの理解を深め、クラウドサービスとコンピューティングリソースを活用しましょう。