2021/03/29

AWSのバックアップにも使える!Amazon DLMの使い方とは

 
  

Amazon DLMはAWSにおけるバックアップの仕組み


AWSでサーバーを運用するならバックアップは必須と考えてください。しかし単にファイルのコピーを作れば良い、という訳ではありません。定期的にバックアップを作成し、過去の日付に遡ってデータを復元できるようにしなければなりません。

AWSで効率よくデータをバックアップするために使われる仕組みがAmazon DLMです。まずはAmazon DLMの概要について解説します。

Data Lifecycleという考え方

今回紹介するAmazon DLMのDLMとは、Data Lifecycle Managerの略です。なおDLMの名称の基になったData Lifecycleとは、データが作られてから削除されるまでを頻繁に更新される状態や長期保存状態など、幾つかのステージに分けて考える方法です。

具体的に頻繁に更新されるステージではこまめにバックアップが必要ですが、長期保存状態では最終データのみ復元できれば十分、といった管理方法が必要です。

Amazon DLMは、AWSのサーバーで使われるデータのライフサイクルのステージ毎に最適なバックアップを管理する仕組みを提供します。

Amazon DLMはAmazon EBSが対象

Amazon EC2でインスタンスを作成した場合、そのストレージに使われるのがAmazon EBSです。なおAmazon EBSのEBSとはElastic Block Storeの略で、ブロックレベルのストレージボリュームすなわちパソコンのHDDと同じように使えるストレージを提供します。

Amazon DLMは、このAmazon EBSからインスタンスに割り当てした領域を対象に、そのスナップショットを作成します。

なおスナップショットとは、ある時点にストレージに存在しているファイルやディレクトリにアクセスする技術です。ストレージのファイルが書き換わったとしても、ある時点の状態を保持しているので時間がかかるストレージのバックアップによく利用されています。

バックアップはAWS Backupを

先ほど説明したようにAmazon DLMはAmazon EBSのスナップショットを作る機能であって、バックアップしてくれる訳ではありません。バックアップは別のサービスのAWS Backupを利用してください。

なおAWS Backupとは、AWSのサービスで利用しているデータのバックアップを一元で管理できるサービスです。

ボリューム単位で時刻指定のバックアップなど、細かい設定が可能ですがデータを保存する機能しかありません。スナップショットを利用したバックアップにはボリュームを管理する仕組みでの対応が必要です。

つまり、Amazon EC2のインスタンスが使っているAmazon EBSのボリュームのバックアップを取るなら、Amazon DLMでAmazon EBSのボリュームのスナップショットを作成し、AWS Backupがそのスナップショットのバックアップを作成することになります。

Amazon DLMでできること


Amazon DLMができることとは、先ほど紹介したAmazon EBSのボリュームのスナップショット作成とマシンイメージの作成です。

スナップショットは先ほど説明したようにデータを安全にバックアップするための仕組みです。またマシンイメージとは、サーバーとして設定済のインスタンスの起動に必要な設定のことで、誤った設定でサーバーが動作しなくなっても、バックアップがあれば簡単に復旧できます。

次から、Amazon DLMを利用したスナップショット作成とマシンイメージの作成について紹介します。

スナップショット作成

通常バックアップにはかなり長い時間がかかります。そのため企業で長年使われている情報システムでは深夜にシステムを停止してからデータをバックアップするのが一般的です。

しかし24時間稼働するWebシステムではシステムを停止する訳にいきません。そこである時点のデータに長時間アクセスできるようにした技術がスナップショットです。

ただし、毎回全てのデータのスナップショットを作っていたのではサイズが大きすぎてバックアップしきれません。そこでAmazon DLMでは前回のスナップショットから変更のあったデータのみのスナップショットを作成します。

このようにAmazon DLMは、効率よくバックアップできる仕組みを提供してくれるサービスです。

スナップショットの課金

Amazon DLMを利用したスナップショットの作成に費用はかかりません。

しかしスナップショットを作成するとある程度の容量を持つため、その分ストレージの容量を消費します。そのためAamzon DLMのスケジュール機能を利用してスナップショットを幾つも作成すると、かなりの容量を使ってしまうので注意が必要です。

なお、スナップショットは実際のデータではなく、そのデータを参照する情報を集めたものです。スナップショットを削除してもデータそのものは影響を受けません。

マシンイメージの作成

Amazon DLMで作成できるマシンイメージとは、Amazom EC2でインスタンスを作る際に利用したAmazon マシンイメージ(AMI)と同じものです。

そしてAmazon EBSからインスタンスを起動している場合、その起動イメージを利用してマシンイメージを作成できます。ただし、データの整合性チェックのため、作成する際にインスタンスを停止する必要があります。

そのため、マシンイメージを作成する場合は、インスタンスの設定が完了した後に一旦そのインスタンスを停止し、マシンイメージを作成したらインスタンスを起動して運用を開始してください。

Amazon DLMを設定するには


Amazon DLMの機能はAWS管理コンソールからAmazon EC2コンソールを開き、その画面にあるElastic Block Storeで設定します。

なおインスタンスで利用できるAmazon EBSのボリュームに対してAmazon DLMを設定するので、まずはボリュームを選択してください。そしてタグを設定およびライフサイクルポリシーを設定によりスナップショットの自動作成を設定します。

次からAmazon DLMの具体的な設定手順について紹介します。

タグを設定する

Amazon DLMを利用してスナップショットを自動で作成するには、バックアップするリソースを特定するためのタグが必要です。まずはタグを作成してください。Elastic Block Storeの管理画面でボリュームを選択するとタグ設定のタブがあるので、そこで設定します。

ライフサイクルポリシーを設定する

スナップショットの自動生成に必要なスケジュールやタグの設定などをライフサイクルポリシーとして設定します。

Elastic Block Storeの管理画面から「スナップショットのライフサイクルポリシーの作成する」を選択すると設定画面に切り替われるので、この画面で設定してください。

なお、リソースタイプの選択で「ボリューム」を選択するとデータのスナップショットを作成し、「インスタンス」を選択すると先ほど紹介したマシンイメージを作成します。

最後に「ポリシーを有効にする」を選んで、「ポリシーの作成」ボタンを押すとスナップショットの自動生成が実行されます。

自動スナップショットの動作チェック

スナップショットの自動生成が正常に動作しているか確認をします。

スナップショットの自動生成は、ELASTIC BLOCK STORE管理画面のメニューからスナップショットを選択すると、切り替わった画面に実行履歴が表示されるので、この画面でチェックしてください。

Amazon DLMの自動スナップショットを


これまで紹介したようにAmazon EC2のインスタンスが更新したデータは、Amazon EBSのボリュームに保存されます。そしてAmazon EBSのボリュームは、Amazon DLMの自動スナップショットの機能を利用することで安全にバックアップできます。

さらにAmazon DLMの自動スナップショットは前回作成時以降更新のあった差分データのみを対象とするので、ボリュームを効率的にバックアップ可能です。

バックアップはシステムの安定稼働に必須の機能です。AWSのAmazon EC2などでシステムを運用するなら、Amazon DLMを利用して安全にバックアップする仕組みを準備してください。

ITエンジニアへのキャリアチェンジならキャリアチェンジアカデミー

この記事の監修者・著者

株式会社オープンアップITエンジニア
株式会社オープンアップITエンジニア
未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを支援するサイト「キャリアチェンジアカデミー」を運営。これまで4500人以上のITエンジニアを未経験から育成・排出してきました。
・AWS、salesforce、LPICの合計認定資格取得件数:2100以上(2023年6月時点)
・AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞

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