Amazon RDS for SQL Serverとは?
Amazon RDS for SQL Serverは、Amazon Web Services(AWS)で提供している「Microsoft SQL Server」で、AWS上へのセットアップ、運用、スケーリングを簡単にする完全マネージド型の商用データベースです。
AWS上に数分でSQL Serverをセットアップし、Amazon Relational Database Service(RDS)がパッチ適用やバックアップなどのデータベースの管理タスクを行います。
また、AWS マネジメントコンソールで数回クリックするだけで、DBインスタンスのストレージやメモリをスケーリングアップ/スケーリングダウンすることが可能です。
このように、Amazon RDS for SQL Serverはパッチ適用やハードウェアのスケーリングといった面倒な管理タスクをRDSが自動で管理するため、ユーザーの運用負担を軽減します。
Amazon RDS for SQL Server のメリット
Amazon RDS for SQL Serverの代表的なメリットについて主に3つ紹介します。
メリットとしては、「データベース管理タスクの管理」「1回のクリックで可用性の向上を実現」「ストレージが自動スケーリング可能」などが挙げられます。
データベース管理タスクの管理
Amazon RDS for SQL Serverは、RDBが最新パッチ適用などのデータベース管理タスクを自動で管理するため、ユーザーの運用負担が軽減されます。RDSがユーザーに代わり、セットアップ・パッチ適用・バックアップといったデータベース管理タスクを管理しています。
また、AWSが提供するモニタリング/オブザーバビリティサービス「Amazon CloudWatch」を利用することで、AWSマネジメントコンソールからデータベースのメモリ使用率などの運用状況を可視化することが可能です。
1回のクリックで可用性の向上を実現
Amazon RDS for SQL Serverは、1回のクリックで、複数のデータセンター群にデータベースを同期・複製するオプションを有効にできるため、簡単に可用性の向上を実現できます。
Amazon RDS for SQL Serverは、アベイラビリティゾーン(AZ)と呼ばれるデータセンター群をまたぐ、複数のデータベース構成(マルチAZオプション)を1クリックで有効にすることが可能です。
マルチAZオプションが有効になると、複数のAZをまたぐデータベース間でデータが同期・複製されます。また、メインのデータベースで障害が発生した場合、データベースは自動的にスタンバイ用のDBインスタンスへフェールオーバーできます。
ストレージが自動スケーリング可能
DBインスタンスの設定で自動スケールストレージを選択すると、DBインスタンスはダウンタイムなしで自動的にストレージサイズを増やすことが可能です。
「RDS Storage Auto Scaling(Auto Scaling)」というRDBのストレージ容量を自動的に調整する機能を利用し、ストレージ容量の拡張上限を設定します。ストレージの空き容量が少なくなると、Auto Scalingが自動で拡張上限までストレージ容量を増やします。
Amazon RDS for SQL Serverのデメリット

Amazon RDS for SQL Serverのデメリットとしては、特定の分析ツールが使用不可であることが挙げられます。
Amazon RDS for SQL Serverでは、RDS側で機能が制限されているため、Microsoft社が提供している分析ツールが使用できません。
使用できない分析ツールは以下の表を参考にしてください。
使用できない分析ツール |
SQL Server Analysis Services |
Data Quality Services |
SQL Server Integration Services |
Master Data Services |
Amazon RDS for SQL Server の操作方法
Amazon RDS for SQL Serverでよく利用される、「DBインスタンスを作成する方法」と「DBインスタンスへの接続方法」について簡単に説明します。
Amazon RDSコンソールからDBインスタンスを作成する方法とSQL Serverクライアント「Microsoft SQL Server Management Studio Express(SQL Server Management Studio)」を利用してDBインスタンスに接続する方法になります。
DBインスタンスの作成方法
まず、Amazon RDSコンソールの右上隅にあるリージョンのメニューからDBインスタンスを作成するリージョンを選択します。次に、Amazon RDSコンソールのDashboard画面にある「データベースの作成」セクションで「データベースの作成」をクリックします。
データベースエンジンの選択画面でSQL Serverのアイコンを選択し、「次へ」をクリックします。DBインスタンスの設定を入力し、さらに「次へ」をクリックします。
詳細設定を入力し「データベースの作成」をクリックすることで、DBインスタンスの作成に必要な操作は完了です。
DBインスタンスへの接続方法
まず、Microsoft社の公式サイトよりSQL Server Management Studioをダウンロードします。なお、DBインスタンスに設定したセキュリティグループを変更する必要がないように、SQL Server Management StudioはDBインスタンス作成に使用した時と同じネットワーク、同じデバイスにダウンロードします。
ダウンロードしたexeファイルを実行し、SQL Server Management Studioをインストール・起動します。データベースの接続情報を入力し、「接続」をクリックします。
入力するデータベースの接続情報は以下の表を参考にしてください。
項目名 |
入力内容 |
サービスタイプ |
データベースエンジン |
ホスト名 |
[DBインスタンスのDNS 名],[DBインスタンスのポート番号] |
認証 |
SQL Server 認証 |
ログイン |
DBインスタンスに作成したユーザー名 |
パスワード |
ユーザー名に対応するパスワード |
オンプレ環境のSQL ServerをAWSへ移行する手段
オンプレ環境のSQL ServerをAWSへ移行する手段は2種類あります。
今まで紹介していたAmazon RDS for SQL Serverに移行する手段と、AWS上のPostgreSQLと互換性のある「Amazon Aurora PostgreSQL」に移行する手段です。
それぞれの手段について簡単に説明します。
Amazon RDS for SQL Serverへ移行
オンプレ環境のSQL Serverで完全バックアップファイル(bakファイル)を作成し、AWSの機能を利用して、Amazon RDS for SQL ServerのDBインスタンスに復元する手段です。
例えば、オンプレ環境のSQL Serverで完全バックアップファイル(bakファイル)を作成し、そのファイルをオンラインスストレージ「Amazon S3」に保存します。Amazon S3に保存したファイルからAmazon RDS for SQL ServerのDBインスタンスに復元します。
Amazon Aurora PostgreSQLへ移行
AWSが2021年提供予定の「Babelfish for Aurora PostgreSQL」を利用し、オンプレ環境のSQL ServerをAmazon Aurora PostgreSQLへ移行する手段です。
Babelfish for Aurora PostgreSQLはAmazon Aurora PostgreSQL用SQL Server互換の翻訳レイヤーで、ほとんど、もしくは全くコードを変更せずに、PostgreSQL上でSQL Serverアプリケーションを直接実行できるようになります。
まとめ
今回はAmazon RDS for SQL Serverについて紹介しました。
Amazon RDS for SQL Serverは、データベース運用時の負担軽減などのメリットがあり、オンプレ環境のSQL ServerをAWSへ移行手する手段も拡充されています。
Amazon RDS for SQL Serverを利用する際は、この記事を参考にしてください。]]>