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AWSのマルチAZとは?

AWSが運用する施設は世界の約25の地域(都市)にある
AWSが運用する施設は世界の約25の地域(都市)にあり、AWSの施設がある地域を「リージョン」といいます。 各リージョンでは2つ以上のデータセンターが数kmから100km以内の範囲で離れて立地し、この同一リージョン内の独立したデータセンター群をAZといいます。 AZ間は物理的な距離がありますが、AZ間は高速な通信回線で接続しているため、別AZのリソース(仮想マシンなど)間の通信は遅延の少ない状態で通信可能です。 また、同じリージョン内のAZは互いに独立し、AZの障害発生時は他のAZは障害の影響を受けず稼働するよう設計されています。 そのため、2つ以上のAZにまたがってシステムを配置する「マルチAZ」は、システムの可用性が高いと考えられています。マルチAZと対比される構成「シングルAZ」とは?
シングルAZはよくマルチAZと対比されます。シングルAZはマルチAZと同様にAWSのシステム構成の1つで、1つのAZのみにシステムを配置する方式です。 シングルAZは1つのAZ内にシステムを配置するため、システムを配置したAZで障害が発生した場合、システムがダウンし、復旧できないリスクがあります。マルチAZと似ている構成「マルチリージョン」とは?
マルチAZと似ている構成としてマルチリージョンがあります。マルチリージョンとは、マルチAZと同様にAWSのシステム構成の1つで、複数のリージョンにまたがってシステムを配置する方式です。 「リージョン」と呼ばれるAWSの施設がある地域(都市)にまたがってシステムを配置します。リージョンはそれぞれ完全に独立し、リージョンでの障害発生時は他のリージョンに影響を与えず、稼働するよう設計されていますので、マルチAZより可用性が高いと考えられています。マルチAZ・シングルAZ・マルチリージンを比較

コスト
コストはシングルAZ、マルチAZ、マルチリージョン の順に高くなります。 シングルAZは1つのリージョンで1つのAZにシステムを配置する構成です。そのため、シングルAZは他の2つの構成とは異なり、システムが利用するインスタンスの数が少なく、1つのAZ内で通信が完結するため、インスタンスの維持費や通信料が安くなります。 マルチAZは1つのリージョンで複数のAZにシステムをそれぞれ配置する構成です。AZにそれぞれインスタンスを用意し、インスタンス間でAZをまたぐ通信が発生するため、マルチAZはインスタンスの維持費や通信料がシングルAZより高くなります。 最後にマルチリージョンは複数のリージョンにシステムをそれぞれ配置する構成です。マルチリージョンは別のリージョンにインスタンスを用意し、インスタンス間でリージョンをまたぐ通信が発生するので、他の2つの構成よりもインスタンスの維持費や通信料が高くなります。可用性
可用性はマルチリージョン、マルチAZ、シングルAZの順に低くなります。 マルチリージョンは複数のリージョンにシステムを配置しているため、一部のリージョンやAZで障害が発生した場合も他のリージョンでシステムが稼働できる可能性があります。そのため、マルチリージョンは他の2つの構成に比べ、非常に可用性を高くすることが可能です。 一方、マルチAZは複数のAZにシステムを配置しているため、1つのAZで障害が発生しても他のAZのシステムが稼働できる可能性があります。マルチAZではリージョンでの障害に対応できませんが、AZでの障害には対応できるため、シングルAZより可用性を高めることが可能です。 シングルAZは1つのリージョンの1つのAZにのみシステムを配置するため、システムを配置したリージョンやAZで障害が発生した場合、システムが停止する可能性が高くなります。そのため、他の2つの構成に比べ可用性が低いと考えられています。性能
性能はシングルAZ、マルチAZ、マルチリージョンの順に遅くなる傾向があります。 シングルAZはインスタンス間の通信が1つのAZ内で完結するため、他の2の構成に比べて性能では優位です。一方、マルチAZはAZをまたいだ通信が発生し、AZをまたいだ通信はAZ内の通信より時間がかかるため、シングルAZより性能が遅くなります。 マルチリージョンはリージョンをまたいだ通信が発生する場合、リージョン間は物理的な距離も遠く、AZ間のような高速な通信回線が利用されないため、通信に時間が取られてしまうのです。そのため、他の2つの構成に比べて性能が遅くなってしまいます。構築/運用の難易度
構築/運用の難易度はシングルAZ・マルチAZ・マルチリージョンの順に高くなります。 シングルAZはシンプルな構成なので、構築や運用は容易です。また、マルチAZは分散構成ですが、構築や運用がしやすいようにAWS側で機能を用意されているため、構築や運用は比較的容易です。 一方、マルチリージョンはAWSの機能でカバーできない箇所や、リソースをリージョン間では共有できないなどの制限をユーザー側で対応する必要があります。そのため、マルチリージョンの構築や運用の難易度が非常に高くなります。マルチAZの設定手順

Amazon EC2
AWSマネジメントコンソールからAmazon EC2をマルチAZで運用するための設定手順を紹介します。今回はAWSが提供するロードバランサー「Elastic Load Balancer」を利用して、複数のAZにあるEC2インスタンスを運用できるように設定します。【step1】EC2インスタンスを複数用意する
step1の手順はEC2インスタンスを複数用意し、インスタンスを別々のAZに配置するという手順です。 AWS マネジメントコンソールから1つ目のインスタンスにシステムを構築します。その後に作成したインスタンスのマシンイメージ(Amazon Machine Image : AMI)を作成し、インスタンスを複製します。 インスタンスを複製する際に「インスタンスの詳細の設定」画面の「サブネット」で1つ目のインスタンスと別のAZを設定したら、step1の手順は終わりです。【step2】Elastic Load Balancerを複数のAZに配置する
Elastic Load Balancer(ELB)は、EC2インスタンスを負荷分散するロードバランサーです。step2の手順は複数のAZに配置されたインスタンスへの負荷分散が行えるようにロードバランサーを作成するという手順です。 AWSマネジメントコンソールから「Application Load Balancer」を作成します。ロードバランサーの作成時に「ロードバランサーの設定」画面のアベイラビリティゾーン欄で選択可能な全てのアベイラビリティゾーンにチェックします。Amazon RDB
AWSマネジメントコンソールからAmazon RDBをマルチAZで運用するための設定手順を紹介します。RDBのAZで障害が発生した時にフェイルオーバーするためにDBインスタンスの複製を別のAZに作成するように設定するという手順です。 AWS マネジメントコンソールからRDBを作成します。RDBを作成する際に、「DB詳細の指定」画面で「マルチAZ配置」の「はい」に選択します。まとめ

この記事の監修者・著者

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未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを支援するサイト「キャリアチェンジアカデミー」を運営。これまで4500人以上のITエンジニアを未経験から育成・排出してきました。
・AWS、salesforce、LPICの合計認定資格取得件数:2100以上(2023年6月時点)
・AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞
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