2022/08/12

AWS EBSの基礎知識|選び方から意外にわかりづらい料金体系まで解説

 
  

EBSの基礎知識

AWSにはデータを保存しておくためのストレージとしていくつかのサービスがあり、EBSはそのうちの1つです。

EC2仮想サーバーとは切っても切れない関係であるEBSについて、基本から理解して行きましょう。

そもそもEBSとは何か

EBSは「Elastic Block Store」の略で、AWSのEC2用に用意されているブロックストレージです。具体的に言うと「仮想サーバー用のストレージ」という事になります。ストレージとは、OSなどのプログラムや画像などのデータを保存しておく領域です。

通常のパソコンやサーバーであれば、ストレージとはハードディスクやSSDを指します。実際、EBSはEC2の仮想サーバー上からはハードディスクまたはSSDとして認識されています。

ただし、パソコンなどに内蔵されている物理的なハードディスクとは異なり実態は高価で高機能なネットワークストレージです。

EBSを使うメリット

EBSはEC2上からはハードディスクとして認識され、データの読み書きに使用する使い勝手も同じです。しかし、実際に運用してみると物理的なハードディスクにはない特徴が多数あります。

代用的なEBSのメリットを挙げてみました。

障害に強く、安心して使用できる

物理サーバーで使用されるハードディスクは使用時間や温度管理が必要だったり、機械部品の寿命や突発的な故障による交換といった手間もかかります。

EBSは高度に管理されたストレージのためハード障害の心配は不要です。大規模な冗長化構成などにより障害にも強く、ハードウェアに起因するデータ消失を気にする必要はほぼなくなるというのは大きなメリットです。

任意のタイミングで必要な容量を確保でき、容量変更も可能

EBSはAWSコンソールを操作すれば好きなタイミングで必要な容量を確保できます。

仮想化されたストレージなので、不要になればコンソールから簡単に削除でき廃棄物も発生しません。物理的なハードディスクでは容量の変更は不可能ですが、EBSなら気軽に容量を変更できます。

ワンタッチでバックアップができる

EBSスナップショットという機能を使えば、ディスクをまるごとバックアップする事ができます。

ハードディスクのクローンを作成する形になるので、新しいハードディスクに中身をコピーするよりもより確実なバックアップ手段となります。バックアップした内容はS3に保存されるため使用料金も控えめです。

EBSの種類と選び方

EBSには複数のタイプが存在し、それぞれ用途や料金が異なります。EC2のインスタンスタイプほど種類は多くありませんが、使用前に特徴を把握しておきましょう。

どれを選択してよいかわからない場合は、汎用SSDを選択してください。

汎用 SSD (gp2)

汎用という名が示すように、多くの用途に対応できる標準的なタイプです。料金と性能のバランスが取れているため、OSの起動ドライブからデータベースのデータ用ドライブまで幅広く使用できます。

EBSタイプに迷ったら、とりあえずこれを選択したほうが良いでしょう。

汎用 SSD (gp3)

2020年末頃に発表された最新のEBSタイプです。

前述のgp2タイプよりも低価格となり、追加料金により性能を向上させる事ができます。発表直後のため、他タイプと比較して機能制限があったり旧世代のインスタンスタイプでは相性問題があったりしますが、時間とともに今後の主流となっていくでしょう。

これから新規に作成するEC2インスタンスであれば、こちらを選んでも問題有りません。

プロビジョンド IOPS SSD (io1)

EBSの中で最も高速なアクセス速度をもつタイプです。

高負荷が予想される大規模データベースなど、汎用ボリュームでは性能が不足するシーンで使用されます。高性能な分、費用も割高になるので使い所を見極めることが大切です。

スループット最適化 HDD (st1)

巨大なデータ分析用ファイルやストリーミング用の動画ファイルといった、連続したデータ読み出しに特化したタイプです。

細かいデータを大量に読み書きするのであれば汎用SSDのほうが向いていますが、大きなデータを先頭から順番に読んでいくようなシーンではこのタイプのほうが高速となっています。ルートボリュームとしては使用できないという制限があります。

Cold HDD (sc1)

低速であるものの料金が安いというタイプです。データベースのバックアップやログの保存といった、容量が大きくアクセス頻度が少ないといった用途に向きます。

st1タイプと同じくルートボリュームとしては使用できないという制限もありますので注意してください。

AWSのEBSの料金計算方法

EBSの使用料金は確保した容量単位で計算されます。EC2仮想サーバーやRDSデータベースに比べるとストレージ料金はかなり低いものとなっています。

使用予定の容量で1ヶ月あたりの料金を計算し、プラスアルファで加算があるといったように大まかな料金計算にとどめておくほうが無難です。

単価表はリージョン毎に異なり単価の見直しも発生するため、必ずAWS公式サイトの料金表を確認するようにしてください。各タイプで最小課金時間が微妙に違っていたり、io1タイプのようにIOPSによって料金が変動するケースもあり、全てを把握するのはかなり大変です。

EBSの使用料金について注意したい点

EBSはインスタンスの起動状態とは無関係に課金されます。EC2はインスタンスを停止していれば課金されることはありませんが、EBSはそうではありません。基本的にセットで使用するため誤解してしまいがちな点ですので注意してください。

EC2インスタンスを停止した状態で料金を抑えたい場合は、EBSボリュームのスナップショットを取ったあとにEBSボリュームそのものを削除する必要があります。

スナップショットはAWS S3に保存されるためEBS料金よりは安価ではあるものの、少なからず費用が発生することに留意してください。

EBS以外の選択肢

AWSにはEBS以外のストレージも用意されています。しかしながら、ローカルディスクの代替としての用途に特化したEBSと比較すると使い勝手が変わってきます。

それぞれ特色があり、うまく活用すればコストの低減やパフォーマンスアップに繋がる可能性もあります。

EC2のインスタンスストア

AWSのEC2インスタンスタイプによってはインスタンスストアと呼ばれるストレージが使用できます。このブロックデバイスはエフェメラルディスクとも呼ばれ、利用料金が発生しない(インスタンス利用料に含まれる)という大きなメリットがあります。

ただしEBSと違い永続性がないためEC2の停止とともに内容も消えてしまいます。そのため、キャッシュなどの一時的なデータ以外には使いにくいのが欠点です。

AWS S3

AWS S3は「Simple Storage Service」の略です。EBSと比較して大幅にコストが安いという特徴があります。ただしS3はEC2と直接接続できないため、EBSやインスタンスストアのようなブロックデバイスとは性質が異なります。

設定によってはウェブサーバーを使用せずにウェブサイトを用意する事ができます。画像ファイルや静的なファイルなどをS3にホスティングさせればアクセス分散による負荷低減やストレージ料金の低減に繋がる可能性があります。

EBSのスナップショットなどはS3に保存される事から、無意識のうちにS3を使っている方も多いと思います。

AWS EFS

AWS EFSは「Elastic File System」の略です。ハードディスクのような役割であるEBSに対し、EFSはいわばNASのような位置づけのサービスです。

複数のEC2インスタンスから共有する事もでき、高パフォーマンスでスケーリングにも対応と非常に高機能なストレージですが、料金的にEBSより大幅に高くなってしまうのが欠点です。

EBSはサーバーの処理能力にも直結する重要な要素!


今回はAWS EBSとその料金体系、およびストレージの選択肢についてまとめてみました。

EBSはEC2仮想サーバーに直接接続されるため、サーバーの処理能力にも直結する重要な要素となります。タイプの違いや料金体系を把握して、コストパフォーマンスを引き出せる使用方法を身につけるようにしましょう。

ITエンジニアへのキャリアチェンジならキャリアチェンジアカデミー

この記事の監修者・著者

株式会社オープンアップITエンジニア
株式会社オープンアップITエンジニア
未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを支援するサイト「キャリアチェンジアカデミー」を運営。これまで4500人以上のITエンジニアを未経験から育成・排出してきました。
・AWS、salesforce、LPICの合計認定資格取得件数:2100以上(2023年6月時点)
・AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞

おすすめの動画

  • 【未経験からIT業界へ転職するなら】相談窓口とスキルの獲得はここで解決!IT転職が一気に有利に!【キャリアチェンジアカデミー】

  • 【費用一切不要】未経験からIT業界へ転職するならまずはここへ相談!【キャリアチェンジアカデミー】

  • 【何のエンジニアになれるのか?】未経験からITエンジニアを目指すとこんな道がある【キャリアチェンジアカデミー】