IPとは?混同しがちなネットワークと知的財産のそれぞれについてばっちり解説

 
  

IPとは?

IPと表される言葉の一つに、インターネットプロトコルがあります。日本語に訳すと、インターネットは通信、プロトコルは規約や約束事という意味なので、通信規約を意味しています。

つまりここで言うIPとは、複数のネットワークを相互に接続し、コミュニケーションをコントロールするための通信規約・ルールのことです。IPによって接続された巨大なネットワークが、インターネットです。

パケット通信

IPでは、データをパケット通信でやりとりすると定められています。パケットとは英語で小包を指し、パケット通信は音声通話や動画、画像などのデータを小分けした箱に詰めて、送っているようなイメージです。

パケット通信では、データを小分けにして送るので、一人が回線を占有することはなく、複数の人が同じ回線を共有できることが特徴です。

ベストエフォート

ベストエフォートもIPの特徴の一つです。パケット通信は、複数の人が同じ回線を共有できると前述しましたが、同時通信数が増えれば増えるほど、通信速度は落ちます。

よって、ベストエフォートとは、「通信速度の保証をすることは難しいが、最大限努力をした通信速度で通信を行います」ということを意味しています。

エンドツーエンド

エンドツーエンドとは、通信を行う二者、もしくはそれらを結ぶ経路全体を指します。また、通信ネットワークの設計原理として「エンドツーエンド原則」というものがあり、IPネットワークは、この原則に基づいて構成されています。

これは、高度な処理は末端のシステムが行い、経路上ではデータの中継や転送などの単純な処理のみを行うというものです。この原則のおかげで、巨大なインターネットが実現できたと言われています。

IPアドレスとは?

IPアドレスとは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの通信機器に割り当てられた、ネットワーク上の住所のようなものです。

データの送受信やインターネットの閲覧などで、送信元や送信先を識別するために使われている番号のことを指します。これがないと、通信相手の特定ができず、通信が成り立ちません。

使われる範囲による区別

IPアドレスには、「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」の二種類が存在します。これは、そのIPアドレスが使われる範囲によって区別されています。

簡単に言うと、グローバルIPアドレスはインターネットなどの公共回線で、プライベートIPアドレスは家庭や会社などの特定の範囲内で使われます。

グローバルIPアドレス

グローバルIPアドレスは、インターネットなどの公共回線で使用するアドレスで、名前の通り全世界で通用するものです。データの送受信など世界中で間違いなくできるよう、決して重複することなくユーザーに割り当てられています。

全世界のグローバルIPアドレスは、大元はICANNという国際的な組織が管理をしており、最終的にはプロバイダーがユーザーの割り当てを管理しています。

プライベートIPアドレス

プライベートIPアドレスは、家庭や会社などの特定の範囲内で使用するアドレスで、そのネットワーク内でのみ識別できればよいので、自由にIPアドレスの割り当てが可能です。

よって、異なるネットワーク間では同じIPアドレスが使われている可能性もあり、プライベートIPアドレスのままでは、インターネットを使用できません。

グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの関係

グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの関係を見ていきましょう。グローバルIPアドレスを持つルーターなどを介すことで、プライベートIPアドレスを持つパソコンやスマートフォンがインターネットに接続できるようになります。

グローバルIPアドレスを持つルーターなどは、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスを相互に変換する役目を担っているからです。

例えば、ルーターはパソコンから要求があったら、グローバルIPアドレスでインターネットに接続し、レスポンスをもらいます。プライベートIPアドレスでどのパソコンに返すかを識別し、そのレスポンスを返します。

割り当て方法による区別

それぞれのIPアドレスには、「動的IPアドレス」と「静的IPアドレス(固定IPアドレス)」の二種類が存在します。これは、IPアドレスが割り当てられる方法によって、区別されています。

簡単に言うと、動的IPアドレスは使う度にIPアドレスが変わるもので、静的IPアドレスは一度割り当てられたIPアドレスは固定で変わらないものです。

動的IPアドレス

動的IPアドレスは、プロバイダーやDHCP機能を通じて、ネット接続や一定期間経過の度に自動でIPアドレスが割り当てられます。つまり、定期的にIPアドレスが変わっています。

家庭では、グローバルIPアドレス、プライベートIPアドレスともに、動的IPアドレスが主流となっています。プロバイダー費用も安く、IPアドレスが定期的に変わることでユーザーを特定されるリスクも低いです。

静的IPアドレス(固定IPアドレス)

静的IPアドレス(固定IPアドレス)は、グローバルIPアドレスの場合はプロバイダーから付与、プライベートIPアドレスの場合は手動で設定し、一度割り当てられればIPアドレスが変わることはありません。

会社ではグローバルIPアドレス・プライベートIPアドレスともに、併用または静的IPアドレスが使われることが多く、サーバーへの接続やログイン履歴など各機器を特定し、厳密に管理するために用いられています。

IPアドレスについて覚えておきたい5つの基礎


IPの大枠についてご説明しましたが、ここまでではまだ概要とIPアドレスの種類の理解に留まっているでしょう。IPアドレスについてより理解していただくために、その中身について、少なくとも覚えておきたい基礎が5つあります。

IPアドレスの基礎が理解できれば、IPの大枠を掴みやすくなるので、しっかりと理解していきましょう。

1:ドメインの存在

IPアドレスは、ネットワーク上の住所のようなものとお伝えしましたが、IPアドレスをわかりやすい文字列にしたものがドメインです。

IPアドレスはユーザーが扱うには少し複雑です。よって、IPアドレスはパソコンやルーター、ドメインはユーザーがそれぞれデータの送受信先や閲覧先を識別するために使われるものと認識しましょう。

ドメイン名は、全世界で一つのみで、重複登録することはできません。ドメインを取得する際は、同一のドメイン名がないことを確認し、管理している組織に申請を出す必要があります。

2:ネットワーク部とホスト部という構成

IPアドレスは、ネットワーク部とホスト部という二つの部分に分かれて構成されています。IPアドレスの前半がネットワーク部で、後半がホスト部ですが、その境目はそれぞれ異なります。

ネットワーク部とは、そのIPアドレスが属しているネットワークを識別するもので、ホスト部とは、そのネットワーク内でのどの通信機器かを識別するものです。

3:クラスフルアドレスとクラスレスアドレスの違い

ネットワーク部とホスト部の境目はIPアドレスごとに異なると述べましたが、その区別方法として、クラスフルアドレスとクラスレスアドレスの二種類があります。

クラスフルアドレスは、先頭のビット列を見ればどのクラスかを識別でき、それによりネットワーク部とホスト部の境目が分かる仕組みです。

先頭のビット列が0であればクラスA、10であればクラスBとなり、クラスごとにネットワーク部とホスト部の境目が決まっているということです。

一方、クラスレスアドレスは、サブネットマスクというネットワーク部とホスト部を区別するための数値を用いさえすれば、クラスを分割して境目を自由に設定できます。IPアドレスの無駄がないので、現在はこちらが主流です。

4:IPv4とIPv6

IPアドレスの割り当てにはIPv4というプロトコルが使われていますが、インターネットの急速な普及により、IPアドレスが枯渇するという問題が出てきました。この問題を解決するために出てきたのがIPv6です。

従来のIPv4では、IPアドレスを32ビットのデータで表現するため、約43億台の通信機器に割り当てることが可能です。

一方、IPv6はIPアドレスを128ビットのデータで表現するため、約340澗(かん)台への割り当てが可能になり、IPアドレスの枯渇や、それに伴う回線混雑などの問題を解決する手段として普及が進められています。

5:IPアドレスの確認方法

普段、IPアドレスの確認が必要になることはほぼありませんが、トラブル時のために確認方法を知っておくと便利でしょう。グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスで、確認方法が異なるので、それぞれに分けて見ていきましょう。

また、もちろんですがパソコンやスマートフォン、タブレットなど通信機器によっても、確認方法が異なります。ここでは、パソコンのIPアドレス確認方法についてご紹介します。

グローバルIPアドレスの場合

グローバルIPアドレスは、とても簡単に確認することが可能です。アクセスするだけで表示してくれるWebサイトが多数インターネット上に展開されているので、検索して見てみましょう。その際、IPアドレスから個人情報が漏洩することはないので、ご安心ください。

プライベートIPアドレスの場合

Windowsの場合は、Windowsの設定→ネットワークとインターネットから、Macの場合は、アップルメニューのシステム環境設定→ネットワークから確認できます。

有線LANはイーサネットを、無線LANはWi-Fiをクリックし、SSIDをクリックすると、「IPv4アドレス」もしくは「IPアドレス」の項目にプライベートIPアドレスが記載されています。「192.168.」で始まるアドレスが多く使われているものです。

普通のIPとは違う?知的財産を指すIPについて

同じ「IP」でも、何が略されているかによって、大きく意味が異なります。ここまでは、インターネットプロトコルの略であるIPについて説明してきましたが、同じくIPと略す言葉として「インテレクチュアルプロパティ」というものがあります。

このインテレクチュアルプロパティは、「知的財産」を指します。知的財産とは、財産的な価値を持つ人間のアイデアや創作物のことです。

自社IPと他社IPの違い

自社IPとは自社が持つ知的財産、他社IPとは他社が持つ知的財産のことです。自社IPは、そのIPで得た利益はすべて自社に入るため、大きな利益に繋がる分、売れなかった場合のリスクも同時に抱えることになります。

一方、他社IPは、ある程度その利益効果は見えるものの、そのIPを使わせてもらう権利を最初に買う必要があります。

では、それぞれのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

自社IPのメリット・デメリット

まず自社IPのメリットですが、自社のIPなので利益はすべて自社に入ります。かつ、他社にそのIPの権利を売ることもできるため、ヒットすれば大きな利益に繋がります。また、ヒットすれば自社の代名詞ともなるので、ブランディング効果も期待できます。

一方、デメリットですが、ヒットする保証がなく、作成や集客、宣伝などにかけたコストが回収できるか分からないことです。利益を生むまでには、それ相応の覚悟と時間が必要でしょう。

他社IPのメリット・デメリット

他社IPのメリットは、既にヒットしているものなので、事前に利益の見込みを立てられることです。また、集客、宣伝にそれほどの投資が必要ないため、他のところに労力や時間、コストをまわすことができます。

一方、デメリットですが、自社のIPではないので、完全には自由に扱うことができない点です。相談しながら進めていくことになるので、タイムラグが生まれたり、思い通りのものを作れない可能性が出てきたりします。また、権利を買うための先行投資も必要です。

IPとはなにかしっかり理解しよう

「IP」と一言で言っても、何の略かによって、大きく意味が異なることを理解いただけたでしょうか。ネットワーク上の規約を表すインターネットプロトコルと、知的財産を表すインテレクチュアルプロパティ、どちらも「IP」ですが、全く違うものです。

「IP」という言葉が出てきた際に、誤解なくコミュニケーションや文章理解が進められるよう、両方の意味についてしっかりと理解しましょう。

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この記事の監修者・著者

株式会社オープンアップITエンジニア
株式会社オープンアップITエンジニア
未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを支援するサイト「キャリアチェンジアカデミー」を運営。これまで4500人以上のITエンジニアを未経験から育成・排出してきました。
・AWS、salesforce、LPICの合計認定資格取得件数:2100以上(2023年6月時点)
・AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞

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