2021/05/24

客先常駐SEは楽ではないと言われる11の理由|違うSE職種へ転職する方法とは

 
  

客先常駐SEとはどんな職種?


客先常駐SEとは、エンジニアを必要としているクライアントの会社に常駐してシステム開発を行うSEです。客先常駐は契約内容によって3つの種類がありますが、一般的には「特定派遣」が客先常駐SEとしては一般的な契約形態となっています。

また、フリーランスのSEとして働く場合も、セキュリティなどの関係から客先常駐SEとしてシステム開発に携わるのが一般的だと言えます。本記事では客先常駐SEについてご紹介します。

客先常駐SEの仕事内容

客先常駐SEはクライアントの会社に派遣され、勤務することになります。仕事内容としては、主にシステム開発に携わったり、客先のプロジェクトの人員として派遣されたりすることになります。

また、契約方法はほとんどの場合特定派遣と言われる契約方法となっており、客先の社員から指示を受けて業務を行うことになります。待遇としては正社員となるため、時間外手当なども付きます。

客先常駐SEの年収

客先常駐SEの年収は、会社によって差がありますが300万円〜400万円程度だと言われています。正社員として働く一般的なSEの平均年収が492万円だとすると、客先常駐SEの年収は低めの水準にあると言えるでしょう。

出典:システムエンジニアの仕事の年収・時給・給料情報

客先常駐の仕組みとは

客先常駐は派遣元の企業に正社員として入社した後、クライアントの会社へ派遣される仕組みとなっています。正社員として雇用されているため、派遣期間が終了してクライアント企業から離れても給与が発生します。

一方、客先常駐と似ている派遣社員の場合は、人材派遣会社に登録し、派遣先企業へ派遣されて仕事を行います。ただし派遣期間が終了すれば雇用契約も終了するため、次の派遣先が決まるまで給与は発生しません。

客先常駐SEが楽ではないと言われる11の理由


一般的なSEと違い、客先の企業へ派遣されて働く客先常駐SEですが、その働き方は楽ではないと言われています。それではどのような理由から客先常駐SEは楽ではないと言われるのでしょうか。

ここでは客先常駐SEが楽ではないと言われる11の理由をご紹介しますので、参考にしてみてください。

1:通勤する場所がプロジェクトのたびに変わる

客先常駐SEは派遣が決まったプロジェクトのクライアント企業へ通勤することになります。また、プロジェクトが終了したり人員が必要なくなったりすれば、また別のプロジェクトへ派遣されます。

そのため、プロジェクトのたびに通勤するルートや通勤時間が変わることになります。通勤先がころころ変わると、せっかく常駐先で人間関係を構築してもまた一から人間関係を構築しなければいけないため、ストレスにもなりやすいでしょう。

2:有給が取りづらい

派遣されるプロジェクトは納期が決まっており、納期に合わせて派遣期間も決められています。また、必ず納期までには仕事を終わらせなければいけないため、よほど余裕があるプロジェクトでない限り有給が自由に取りにくくなっています。

客先常駐は実際に仕事をしている会社と有給を付与している会社が違うため、どうしても有給をとりづらいのです。現実的には、現場が忙しいと休むに休めない場合が多いでしょう。

3:客先には新人でも一人前と見られる

新卒で派遣元の企業へ入社した新人でも、派遣先のクライアントの元へ行けば一人前として扱われることになります。

しかし客先常駐SEにはある程度のスキルや経験が求められることから、新人がいきなり客先常駐を行っても周りの人の話についていくことができず非常に困ることになるでしょう。

また、何もわからない状態で仕事を任されてしまうということもあるため、新人にとっては非常に大変な職種だと言えます。

4:クビになるリスク

客先常駐SEとして社員を派遣している下請けや孫請けのSIerは、安く業務を請け負うために社員に支払う給与も低く抑えたいと考えています。そのため給与を上げざるを得ない年齢になると、スキルが他の若手と同じ程度の人材はクビになる可能性もあります。

さらに客先常駐ではマネジメントスキルなども身につかないため、転職も難しく八方ふさがりになるケースもあるでしょう。

5:高年収が得られない

本記事でも最初にご紹介したとおり、客先常駐SEは年収が普通のSEよりも低い傾向にあります。客先常駐は下請けや孫請けのSIerの社員であるケースが多く、その場合は業務を請け負った元請けに派遣されます。

下請けや孫請けは元請けから中間マージンを抜かれており、安い単価で働かざるを得ず、どれほど頑張ったとしても予め決まっている単価を上げることはできません。そのため、年収もどうしても低い状態になります。

6:1人で常駐する際はプロジェクトの成否の責任が重い

客先常駐では1人でクライアントの企業に常駐し、SEとして働くケースもあります。1人での客先常駐の場合、クライアントの全ての要望を1人でこなさなければならず、勤務管理を自分で付けて自社に送るといった雑務も行う必要があるため、多忙になることも少なくありません。

また、1人で常駐している以上、プロジェクトの成功も自分ひとりの力にかかってくることになります。そのためプレッシャーやストレスも多い仕事だと言えるでしょう。

7:客先に行って放置されてしまうことがある

常駐先の企業へ行っても、現場のプロジェクトが多忙すぎて誰も新しいメンバーに構ってくれないというケースもあります。また、担当者すら用意されておらず、受け入れ体制が全く整っていないといったケースもあります。

そういった場合、誰かが対応してくれるのを待っていても丸1日何もせずに帰ることになりかねないため、自分から積極的に質問して、自分の居場所を確保していく必要があります。

8:自分の市場価値が下がってしまう

客先常駐SEとして働いて得られるスキルは、その現場でしか使えないスキルが大半です。

また、SEとはいえ上流工程の業務経験を積める機会は少なく、責任のある仕事を任せてもらえるケースも少ないことから、客先常駐SEとして働いてもスキルアップができず自分の市場価値を下げてしまいかねません。

客先常駐SEとして長年働いていても、だんだんと新しい仕事が回ってきにくくなるでしょう。

9:正確な評価をしてくれない

客先常駐で働いていると、正社員として雇用関係にある会社の上司は実際の働きぶりを見ていないため、派遣先での評価がその人の評価となります。しかしクライアントが下請けSIerの社員を正確に評価してくれるケースは多くありません。

結局は現場で指揮をとっているリーダーと相性が良ければ良い評価、悪ければ悪い評価とされるケースも多く、どれほど頑張ったとしても正当な評価が得られない点は客先常駐SEの辛い点だと言えます。

10:教育環境がない

客先常駐では同じ会社から先輩や上司が派遣されるとは限らないため、新人だとしても教育指導してくれる人材が側にいないケースは多くあります。また、クライアントはプロジェクトの遂行のために下請けからSEを雇い入れている状態なので、教育を行ってくれることはありません。

そのため、自分でスキルを身につけていかなければいけない点は、新人にとっては辛い現場だと言えるでしょう。

11:偽装請負に巻き込まれる可能性がある

客先常駐SEは基本的に特定派遣と言われる契約形態で契約が行われていますが、知らないうちに偽装請負という違法な働き方で働かされる可能性もあります。

偽装請負は長時間労働を行ってもクライアント側は超過分の賃金支払いを行わないなど、下請けに不利な契約になっています。偽装請負に巻き込まれた場合は罰則の対象となるため、注意が必要です。

偽装請負のチェックポイント

偽装請負に巻き込まれていないかどうか調べるには、2つのチェックポイントがあります。1つ目は「客先の指示で業務時間や場所の拘束を受ける」、2つ目は「客先で作業の指示を受ける」です。

偽装請負は一見して特定派遣と同様の働き方のように思えますが、本来は請負契約であるにもかかわらず、客先で作業時間や作業場所、作業内容の指示を受けて仕事を行うことになります。犯罪を助長しないためにも、一度チェックしてみましょう。

客先常駐SEの将来性を判断する方法3つ


ここまでご紹介したとおり、客先常駐SEは楽な仕事ではありません。また、スキルが身につけにくいケースも多いため、客先常駐SEとして将来性があるかどうか自分でチェックすることも重要です。

ここでは客先常駐SEの将来性を判断する方法3つをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

1:今の会社で働き続けた場合の自分の生涯年収を算出する

客先常駐SEとして現在の会社で働き続けた場合の生涯年収を算出し、公開されている他のエンジニア職の年収と比較することで、このまま働き続けた場合将来性があるのかどうかがはっきりします。客先常駐SEの場合は簡単に賃金計算ができるため、チェックしてみましょう。

2:先輩社員を参考にする

客先常駐SEとして働き続けた場合の将来の姿を考える際には、身近にいる先輩社員を参考にするとわかりやすくなります。仮にその先輩が現在待遇や給与などに不満を持っているのであれば、自分の5年後や10年後に同じような将来が待ち受けていると言えるでしょう。

3:今の会社の強みがあるかどうか

会社に明確な強みがなく客先常駐として仕事を行っている場合、不況でプロジェクトの数が少なくなれば、その煽りをそのまま受けてしまうでしょう。さらに強みがないまま仕事を受注するためには単価を下げるしかないため、業務を行うSEがその影響を受けることになります。

客先常駐SEから転職する方法


このまま客先常駐SEとして働いていても、将来性が見いだせないというケースもあるでしょう。そういった場合には転職を行うのがおすすめです。

それでは客先常駐SEから転職したい場合はどうすればよいのでしょうか。ここでは客先常駐SEから転職する方法をご紹介します。

転職のタイミング

客先常駐SEはプロジェクト単位でクライアント企業の元へ向かうことになるため、プロジェクトが一段落するタイミングに合わせて転職を行うのがスムーズです。

1年以上かかる長期のプロジェクトであっても実際の契約は3カ月単位になっているケースが多いため、確認しておきましょう。

違うSE職種へ転職する方法

転職先の候補としてはさまざまなものがありますが、他のSE職種で転職しようと考えた場合、どのような方法で転職を行えばよいのでしょうか。

ここでは社内SEやSES、フリーランスなど違うSE職種へ転職する方法をそれぞれご紹介しますので、参考にしてみてください。

社内SEへ転職するには?

社内SEはIT系以外の企業の情報システム部門などで、社内システムの管理やトラブル対応などを行う職種です。社内SEに転職したいのであれば、転職先の業界などの専門知識も必要になります。

そのため、できるだけ若いうちに転職を希望する業界の専門知識を身につけておくのがおすすめです。

SESへ転職するには?

客先常駐SEから同じようなSES(客先常駐)へと転職したくても、現在の企業の社内規定で同業他社へ転職してはいけないなどの規定があるケースもあります。しかし社内規定で定められていたしても、職業選択は本人の自由です。

また、SESは特殊な形態となっているため、専門のエージェントを利用して転職するのがおすすめです。

フリーランスを目指すには?

他のSE職に転職するのではなく、フリーランスとして独立するのも良いでしょう。フリーランスのSEとして働く場合も、客先常駐SEと同様に客先に常駐して働くことが多くなります。

フリーランスのSEとして仕事を行う場合は、フリーランス向けのエージェントを活用するのが良いでしょう。

転職が決まるまで客先常駐SEとして働く場合の注意点3つ


転職活動を行いながら客先常駐SEとして働くというケースもあるでしょう。しかし客先常駐SEという仕事はプレッシャーもかかることから、無理をしていると精神を病んでしまうリスクもあります。

ここでは最後に、転職が決まるまで客先常駐SEとして働く場合の注意点3つをご紹介します。

1:とにかくストレスを溜め込まないこと

客先常駐SEはプレッシャーもかかりやすくストレスがたまりやすい仕事です。気づかないうちにストレスを溜めこんでしまい、精神を患ってしまうケースもあります。

普段の仕事が忙しいからと言って、休みの日も家にずっとこもっていると、余計に精神を病みやすい状態にしてしまいます。そのため、気分転換に定期的に外に出て遊んだり、仲の良い友人と会ったりして、うまくストレスを発散することが大切です。

2:睡眠時間を削らないこと

睡眠をしっかりと取ることで、ストレスも解消できます。そのため、どんなに忙しくても睡眠時間は削らないように心がけましょう。

睡眠時間が短い生活を長期間続けていると、だんだんと精神的に不安定になりやすくなります。また、不機嫌な状態で業務に当たっても本来のパフォーマンスを発揮することはできないため、できるだけ睡眠時間を確保できるような働き方を意識するようにしましょう。

3:整理解雇の対象にならないように注意

正社員として働いている以上、基本的には不当な理由で解雇されることはありません。しかし企業の経営難などを理由とした整理解雇の場合は、問題などを起こしていなくても整理解雇としてリストラされる可能性があります。

特に整理解雇の対象となりやすいのは、トレンドの技術が使えない人やクライアントと円滑なコミュニケーションが取れない人、40代以上で若手と同じくらいの技術力しかない人などです。そのため、整理解雇の対象にならないように技術力やコミュニケーション能力を磨いておく必要があります。

客先常駐SEからの転職は早めの年代から行おう


客先常駐SEは楽ではないと言われることも多い職種です。ぜひ本記事でご紹介した、客先常駐SEが楽ではないと言われる理由や客先常駐SEの将来性を判断する方法、客先常駐SEから転職する方法などを参考に、自分で将来性を判断して転職なども視野に入れるようにしましょう。

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この記事の監修者・著者

株式会社オープンアップITエンジニア
株式会社オープンアップITエンジニア
未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを支援するサイト「キャリアチェンジアカデミー」を運営。これまで4500人以上のITエンジニアを未経験から育成・排出してきました。
・AWS、salesforce、LPICの合計認定資格取得件数:2100以上(2023年6月時点)
・AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞

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